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2007/02/21(火)

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奈美は携帯を閉じた。たった5分の会話だった。結局もう一度会うことになったが、このまま彼とつき合うことになるかどうか、まだ分からない。合コンで出会ったばかりなのに、そのままホテルに行ってしまったのはやはり気軽すぎたような気がする。都合よくヤレる女だと思われたんじゃなかろうか。

男との経験はそう多くない。彼でまだ3人目だ。前の2人は学生のころの経験だが、自分も相手も学生同士で、場所も彼の自宅というロケーションで落ち着かず、テンパって何だかよく分からないまま行為が終わってしまった。

でも今回の場所はラブホで、なにも気兼ねすることもない。しかも合コン後に直行だ。ありえないほどテンションが高かった。もうなんでもヤっちゃえみたいな気持ちだった。おかげでフェラまでさせられた。男の性器を自分の口に入れて、舌でこすったり、吸ったり……だが何より、ペニスというものを間近で観察する機会を得たのは、あれが初めて。グロテスクと言えばグロテスクな形状だが、奈美は興奮した。あの器官の全身から、ヤりたいというエネルギーがギンギンに放出されていた。そのエネルギーに惹かれて、気がついたら奈美は唇を半開きにして、先端に押し当てていた。フェラそのものは気持ちよくも何ともなかったが、ヤりたいという意志に、ヤらせてあげると応えた自分が、いやらしく思えてドキドキした。

あれから1週間とちょっと、まだあのドキドキが胸に残っている。

サンが吠えたので、奈美は夢想から引き戻された。

「なあに? ゴハンはさっき食べたでしょ」

奈美の気のない返事を聞いて、サンはもういちど吠えた。レトリーバーのサンは、体格に比例して吠え声もそれなりだ。あまり吠えさせてばかりいると近所迷惑になる。

マンションの窓から見上げると、今日は雲ひとつ無い青空だった。小春日和というやつだろう。サンを散歩に連れて行ったら喜ぶにちがいない。

「ん〜、たしかにいい天気よね」

どっこいしょ、と伸びをしながら奈美は立ち上がった。フローリングの部屋だが、犬の足音がうるさくないように、毛並みの短いカーペットを敷き詰めてある。そのカーペットの上にクッションを置いて座布団にし、1.5m×1.0m のテーブルに張りついて食事したりテレビを見たりぼーっとしたりするのが、奈美の生活スタイルだ。難点は、甘えたがるサンが見境無く鼻面を突きつけてくること。テーブルに片肘ついてテレビを見ていたら、いきなり肩の上に頭をのっけてきたこともある。甘えられているのか、玩具にされているのか。最近ちょっと分からなくなってきた。

腰を上げた奈美を見て、サンは勇躍、自分でリードを咥えて駆け戻ってきた。体力が有り余っていそうだ。今日の散歩は、疲れるぞー。


お話の途中だが、今年に入ってから「妄想断片の倉庫」は火曜日にしか書いてない。なんでだ。

そして散歩終了。


走った。今まで無かったほど走った。普通の道路ではなんとかサンの暴走を抑えこだが、河川敷ではぶっちぎられた。リード引きずったまま走るな。飼い主を置き去りにするな。予備動作なしで方向転換するな。こっちは追いかけっこで遊んでるわけじゃないのを理解しろ。無理か。無理だな。サンだもの。

サンにはとりあえず水を用意してやって、奈美はシャワーを浴びた。

まだ2月だというのに、今日はずいぶんと暖かかった。そういえば今年は全国的に暖冬だとニュースで言っていた。犬の散歩に行くには、ちょっと厚着が過ぎたかも知れない。おかげで下着どころかセーターまで汗が染みとおっている。

バスタオルを巻いて部屋に戻ると、サンは奈美のクッションを相手に遊んでいた。あれだけ走った後なのに、よく遊ぶ体力が残っているものだ。

冷蔵庫を開けて、奈美は飲み物を物色した。休日とは言え、昼間からビールはやめておくか? しかし紅茶系ではイマイチ物足りない。やはり運動の後は、炭酸の爽快感が欲しい。

「あら……?」

誘惑に負けてビールをぐいっと半分ほど一気飲みして、ふと見ると、サンのお腹に赤い何かがくっついていた。サンはひっきりなしに、その赤いのをクッションに押しつけている。どうやら遊んでいたわけではなく、お腹に貼りついたそれをこすり落とそうとしていたらしい。

「お散歩でなに拾ってきたの? 取ってあげるから見せなさい」サンの腰を持ち上げて覗きこむ。「なあに、この赤いの? どうくっついて……」

奈美は息を呑んだ。

それは、お腹にくっついてなどいなかった。それは、サンの下腹部から直接、生えていた。

「やだ、これって……おチンチン……」

どう見てもペニスだった。奈美はホテルでの記憶を掘り起こした。たしか男のあれは、まっすぐ立っていて、血管が走っていて、先っぽがちょっと逆三角形になっていた。でもサンのこれは形が違う。1週間以上前の記憶はすこし曖昧だが、それでも明らかに形状が異なる。

それは皮膚を剥ぎ取ったようにヌメリとしていて、血の袋のように生々しく赤くて、つぷりと突き刺さりそうに先端が尖っていた。奈美が見つめている間にも、それは、犬の体の生理反応をあらわすかのように、ゆっくりと角度を変えつつ揺れていた。人間のペニスはグロテスクかも知れないが普通の器官だった。犬のこれは相手の肉体を遺伝子でハイジャックするための凶器のようだった。こんな凶器にも、性欲が宿ったりするものなのだろうか?

サンの呼吸がせわしない。ペニスの勃起に呼応しているのだろうか。ヤりたくて堪らない? 相手になる牝犬も無しに? そもそも、いったいなぜ勃起したのだろう。いや、もちろん生理的な反応だ。たまたまクッションに下腹部が擦れたか何かで、勃起する反応が引き起こされただけだ。サン自身は、別に牝が欲しいなどという欲求を感じているわけではないだろう。敏感な部分を刺激すれば、体が反応する。それだけの話だ。

でも、もし、牝の味を教えてやれば……。

それはちょっと邪悪で、背徳的なアイディアに思えた。サンがセックスの快楽を覚えたら、自分の意志で、牝を求めるようになるのだろうか? 牝が欲しいという欲求を自覚して、人間の男のように性欲で勃起するだろうか? サンに性欲を教えてやれるだろうか? 犬を相手に、この自分が、性の手ほどきをしてあげられるだろうか?

奈美は深呼吸した。まあ、興味深くはある。だがそんな思い付きを実行に移すのは、ごく普通の嫁入り前の娘として、大きく間違っているのではないか? 今どき、性に興味のない女なんていない。だからといって、犬にセックスの楽しさを教えてあげるというのは、明らかに常軌を逸している。変態とまでは言わないが……いや、変態と言っていいのか? いずれにせよ、そこまでエロに直進するのって、どうよ?

サンが身をよじらせ、奈美の手から逃れた。彼はふたたびクッションに突進すると、下腹部を激しく擦りつけ始めた。

あれと姦ってみたい。

天啓のようにそれはやって来た。犬とのセックス。牝とやる快楽を知って性欲を漲らせたサンに、自分と交合らせる。理性の歯止めのない剥き出しの欲望を、奈美自身の肉体で満足させるのだ。

ホテルでの記憶。男の欲望をオーラのように纏った肉の棒。奈美はあれに唇を押しつけ、自分の口中に受け入れ、舌と喉で奉仕した。男が具体的な指示を出したわけでもないのに。もちろん、フェラのやり方くらい、知っている。今どき知らない女がどれだけいるものか。しかし自分からその知識をひけらかすなんて、しかもその日に会ったばかりの男にしてあげるなんて……。

それをもう一度やれる。もう一度どころか、何度でもやれる。もちろん上手くいけばの話だが、フェラどころかどんな行為でもアリの、性欲にどっぷり浸かれる世界がやってくる。その世界への扉が、いま、目の前にあるのだ。自分さえその気になれば……ダメもとでも何でも試してみる気にさえなれば……自分だって……いやらしいことを、たくさん……。

奈美はバスタオルを落とした。

「じっとしてなさい」サンの下半身を押さえ、奈美はあらためてその下腹部を見つめた。「教えてあげるから……気持ちいいこと、たくさん」

サンが低く唸った。不安げな、か細い声だった。きょときょとと視線が定まらない。いったい何をされるかと思っているのだろう。

「いい? あらかじめ言っておくけど」奈美はごくりと唾を飲みこんだ。呼吸が震えていた。「犬にこんなことしてあげる飼い主なんて、いないのよ。これは……あなたは、特別なの。感謝して……そう思って、欲しいわね」

顔を寄せると、生殖器は目の前だった。目を閉じれば簡単だ。そう思ったが、真っ赤な肉棒から目を離せなかった。床に跪き、奈美は唇をひらいて、舌を伸ばし、舐めた。

心臓がおかしくなりそうだ。いやらしい。これは、すごく、いやらしい。舐めてる。犬のおチンチンを舐めてる。動物の、どんな細菌が付いてるかも分からない、こんな異様なおチンチンを、自分の口で、自分の舌で、サービスしてあげている。相手が人間の男ならともかく、犬を相手にサービスしている。女として最低だ。最低にいやらしい女だ。だけどこんなのは、まだまだだ。奈美は舌をたっぷり唾液で濡らして、赤いペニスに巻きつけるように絡めた。そして巻きついた舌をペニスに沿って、左右に、前後に動かす。唾液のぬめりと舌の体温で、快感を演出する。犬を気持ちよくしてあげるのよ。気持ちよさを教えてあげるの。自分の舌が汚れたからって、どうだっていうの? もっとご奉仕しなさい。もっと卑屈になりなさい、変態飼い主さん。

股間から太腿をしたたり落ちた滴は、すでに一滴や二滴ではなかった。奈美は濡れていた。濡れまくっていた。

奈美は舌を使ったマッサージをやめ、犬のペニスをまざまざと見直した。それは奈美の唾液に濡れ、てらてらとひかっていた。初めて知った性感のせいか、ペニスはさらに太く、大きく膨張し、燃えるような体熱を放っている。

唇をひらき、奈美は口を捧げた。

「ぅん……っ!!」

それは長くて、大きかった。少なくとも前回の人間の男よりも、いや今までの3人の男の誰よりも、長さも、太さも、上だった。犬のくせに、男としての能力が人間を凌駕しているのだ。そして何よりも、口中でじっと脈打つ彼の体温が、ひたすらに愛おしかった。

教えてあげる。

奈美は心の中で宣誓した。

教えてあげる。ペニスを使うとどんなに気持ちいいのかを。それが牝の体温に包まれるとどれほどの悦楽を感じるのかを。それを牝に突き入れるときどれだけ心が躍るのかを。

教えてあげる。あなたに突き入れられた牝の啼き声を聴く悦しさを。あなたに姦られた牝が屈服する様を見る優越感を。あなたに屈服した牝を好きなように陵辱する全能感を。

教えてあげる。わたしを牝だと思ってもかまわないことを。わたしを飼い主の立場から引きずり下ろしてかまわないことを。わたしをあなたの性欲に奉仕させてかまわないことを。

奈美は自分から頭を動かして、口をサンに犯させた。ペニスが唇をこじ開け、舌を滑り、喉の奥を突く。教えたかった。人間の女は、そのつもりになれば、全身のどこでも犯せるということを。どこでも犯せるし、どこを使っても良いのだ。大事なのは、気持ちよくなれること。サン自身が快感を堪能できることなのだ。

教えてあげる。わたしを突いて。わたしを犯して。わたしを舐めて。わたしを焦らして。わたしを征服して。わたしを屈服させて。わたしを隷従させて。

もう、堪らなかった。奈美は口を離した。息が荒くなっていた。仰向けになったサンが、途惑ったような、熱に浮かされたような、潤んだ瞳で見上げている。奈美は自分の股間に、前後から両手を押し当て、左右の指を操って襞を裂いた。中指が入る。もう一本、中指が入る。人差し指が入る。指がひらく。指が押しひらく。

膝立ちになったまま、サンが見上げる視線の先で、奈美は自分の膣穴を拡げた。だらだらと溢れる愛液で、指先も手首もべとべとに濡れていく。

股間を押し拡げた格好を維持しつつ、奈美はサンの横にそっと身体を横たえた。

「立って、サン」声がかすれて老婆のようだ。「立ちなさい。教えてあげるから……調教してあげるから……わたしとセックスするやりかたを……実地で、教えてあげるから」

よたよたとサンが立ち上がった。膨張しきったペニスが、股間でぶらぶらと揺れている。

「こっちへ来て……ちがう、そうじゃなくて」仰向けになった胴体を横切ろうとしたサンを肘で押しとどめる。「こっちよ……こっち……そう、両脚の間……そこから……そう、その姿勢よ」

仰向けになったまま見下ろすと、腰のほうからのしかかる姿勢をとったサンと目があった。「いい子ね」とりあえず褒め言葉をかけておく。

サンの腹の下で、奈美はゆっくり腰を持ち上げた。そして内心、舌打ちした。高さが足りない。いや、高さは何とか足りるかも知れないが、この姿勢のままでセックスするのは、ちょっと無理だ。体力が持たない。なにか腰の下に支えがあれば……。

奈美はクッションを引き寄せ、二つ折りにして腰の下に差し込んだ。これでいい。

「さあ、いらっしゃい」

片手で開口部を維持しつつ、奈美はサンを引き寄せた。犬の腰が、両脚の狭間の奥へ捻り込んでくる。自由になった片手で、奈美は彼のペニスを探した。どこだろう? さっきは太腿に当たっていたのだが……あった、これだ。

「サン、ファックして」言いながら奈美はペニスを膣の中へ誘導した。

ずぶり? いいや、そんな感覚ではなかった。あえて言えば、ずん、という感じだ。充分に拡がった膣口はほとんど抵抗感など無かった。そしていきなり最奥部に、突入の衝撃が撃ち込まれたのだ。

「あぅん……」

その啼き声は、自分の嬌声だったろうか、それとも愉悦を知ったサンの声だったろうか。

「さ……さあ……」腰の奥から全身に、痺れるような強烈な波が疾り抜けている。「動いて……サン、動いて……」たどたどしく、サンは身体を揺すった。「もっと……おおきく……あぅっ……そう、そんなふうに……うまいわ……いい子ね、サン……さあ、もっと……腰よ……腰を動かすの……そう……そう……そうよ!! そうよ!!」

何が起こっているのか、初めのうちは理解していなかったサンも、ペニスの感覚を通じて、それが本能が知っているなにかの感触と一致することに気づいたようだった。そしてそのための動きがどうあるべきかも、同時に理解した。

「あっ……あぁっ……サン……そうよ、サン!!」激しく動き始めたサンの腰に翻弄され、奈美は我を忘れそうになった。上手い。サンはどの男よりも上手い。「き、気持ちいい? ねえ……どう? サン」

もう奈美は自分で膣穴を拡げてはいなかった。そんな必要はとっくに無くなっていた。サンのペニスは奈美の膣道に深く挿さって、抜ける心配どころか、奥の壁を突き刺す異様な感触で奈美を嬲っていた。何度も、何度も、何度も、サンが腰を打ち込むたびに、奈美はびくっとのけぞった。最高だった。期待以上だった。

「そうよ……もっとよ、サン……もっと」それはもう、ほとんど悲鳴だった。「きもち……いいでしょ……サン……」犬の腰の動きが速すぎて、呼吸も満足に出来ない。「きもちいいでしょ……それが、ごほうびよ……あなたの……あっ!!……はぁっ!!……あなたへの……ごほうび……なのっ!! あぅぅぅーーーっ!!」

悶絶しそうになりながら、奈美は自分の上にのしかかったサンを見上げた。サンは、もはや奈美など見ていなかった。ただひたすら、ペニスの感触に酔って腰を振っていた。それはもう飼い犬のサンではなく、交尾中のただの犬だった。

奈美はさらに脚を開いて、彼を受け入れるために腰を持ち上げた。もっと犯されてあげたかった。ついに牝を手に入れた彼のために、最高の快楽をご褒美にしたかった。彼の生殖器が飼い主にどんな効果を持っているのか、たっぷり実演してあげたかった。

「あぁっ!!……もうっ!!……もうっ!!……もうっ!!」膣をつらぬき、奥の壁を撃ち抜く感覚でさえ、もはや快感になってゆく。「あたしっ!!……もうっ!!……駄……」駄目、という言葉をかろうじて呑み込んで、奈美は哀願した。「もっとっ!!……もっとよ!!……サン!!」腰の動きにさらに情熱が加わる。「姦って!!……犯して!!……あたしっ!!……もうっ!!……牝っ……牝だからっ!!……あなたの!!……牝だからっ!!……もうっ!!……めちゃめちゃにしてえええええぇっ!!」

もう、狂ってもいい。犬の肉体が可能にするこの超絶的な動きは、この世の奇跡だ。これ以上のセックスはない。この振動するような前後動。入り口から奥壁まで一気に到達するリーチ。純粋な欲望。人間の男で、誰がこれらの1つでも持ちうるものか。まして獣に奉仕し、陵辱され、いいように扱われるという屈辱感。それが倒錯だろうがかまうものか。サンのおかげで、サンが犯してくれたおかげで、牝の満足を実感できたのだ。

奈美は身体をのけぞらせ、歓喜しながら、犬に犯された。

「もう、すきにつかってぇぇ!!」

大きく腰を打ち込んだサンが、そのまま、上体を反らせてびくびくと震えた。

びしゃっ、と何かが腹の奥に漏れたような感触があった。

「あ……っ」

サンが、奈美の身体の上でもがく。飼い主の股間にふかく腰を埋めたまま、サンは動きを止めた。なにか、今までとは違うことが起こっていた。両脚の間で、膣の中で、今までの犬との交合いでは無かった感触が起きているようだった。

状態をひねって、サンは状態を床に降ろした。

「あ、ちょ、ちょっと……」

飼い主のとまどいを無視して、サンが身体の向きを変える。ほとんど無理矢理な動きで、挿入されたままのペニスがねじ切れそうだ。犬の後脚が蹴り上げられるに至って、奈美はしぶしぶと、サンに合わせて自分の下半身をひねった。

奈美の腰が横向きになり、腹を下にして斜めになり、それでもサンの動きに合わせていくと、いったんは持ち上げた奈美の足が床についてしまった。サンは完全に後ろ向きになり、奈美は床に四つん這いになった。変わっていないのは、膣深くに埋まったサンの生殖器だけだった。

その生殖器が、変だった。

膣が何だか窮屈になったようだった。サンのペニスが膣いっぱいになって、いつのまにか、奈美は彼の肉棒をぎゅうぎゅうに締めていた。だがそれでも、ペニスは大きくなり続ける。膨らんだペニスが入り口を塞ぎ、押し拡げられた進入口が膣壁を引っぱる。膣全体が入り口のほうへ引き寄せられ、奥壁がサンの先端にぎりぎり押し当たって、めちゃくちゃ痛い。

そして何か出ている。奥壁を貫通しそうなほど当たっているペニスの先端から、何かが噴出している。ちょっと絞りの甘い水鉄砲を奥壁に押し当てて撃ったら、きっとこんな感じだろうか。液体、それも水よりはちょっと密度のありそうな液体が、一定間隔で、びゅう、と膣壁に撃ち当たるのだ。撃ち込まれた後はさらさらと流れ去るが、あり得ない箇所で肉体を嬲られる感触は、これも犬ゆえのものなのか。

ペニスの根元は、さらに膨らんでいく。いったい、どこまで膨れあがるのだろう? 引き伸ばされた膣が悲鳴をあげている。いくらなんでも、大きすぎる。未婚の女が経験して良い大きさではない。そこまでがばがばであって良いはずはない。

「こ、これって……もしかして……あっ……そうよ、犬ってたしか……」

犬の交尾の知識なんて、ほとんど忘れていた。だがサンを飼うことになったとき、かすかに、説明を聞いた憶えがある。犬のペニスは、射精時に根元が膨らんで瘤状になる。その状態で接合を続けたまま、犬は膣内で射精を続ける。この状態は数分から数十分ものあいだ続く。

数十分。

自分はそんな長い時間、これに耐えていられるだろうか。瘤はまだ大きくなっている。膣が裂けそうだ。先端が刺さった奥の壁は、今にも突き抜けそうな状態で、犬の射精を浴び続けている。

「あふぅっ……」

瘤のほうに引っぱられた膣が、とがった先端を支えきれなくなり、ずるり、と大きく動いた。じん、と強く痺れる痛みが一瞬あって、ペニスの先端は膣から別のところへ動いた。

びゅう、という射精の感覚があった。犬の生殖器が肥大して収まりきらなくなったせいで、膣とそれに続く管が移動し、先端を管のさらに奥へと呑み込んだのだ。

さらに、射精。奈美はすすり泣いた。サンは子宮の中に直に射精していた。奈美の子宮の中で、四つ足の獣の生殖器が、我が物顔で精液をふり撒いている。卵子を犬の精液が直撃するイメージが脳裏に浮かんだ。しかも放出された精液は、そのまま子宮の中に溜まっている。動物の精液漬けになった自分の卵子。

膣内での射精であれば、精子が卵子まで辿り着けないこともあるだろう。だがこれでは……子宮の中に直に注入され、精液で子宮を満タンにされてしまっては、逃れる可能性はゼロだ。肉体だけでなく、生み出される遺伝子までも、犬に犯される。

「だ……だめぇ……」奈美は泣いた。耐えられない、と思った。それなのに、もっと徹底した陵辱を望んでいる自分も、どこかにいるようだった。「こんなの……こんなの、すごすぎる……あたし、もう……もう……」気を失いそうな絶頂感が押し寄せる。「あたし……人間でいら……いられなくなる……」絶頂が終わらない。「あたしぃ……か……かいぞう……される……されて、る……ぅ……」

理性がとんだ。記憶の順序がばらけて、もうなにがなんだか分からなくなった。

「いいぃぃぃ!! あたし、もう、いいっ!! だめ、だめだからぁ!! すきにしてえ!! サンのすきに!! ちょうきょうしてえぇ!!」


カーペットに大きな染みが出来ている。昨日のサンとの交尾の結果だ。ペニスが引き抜かれた後、子宮に溜まっていた精液が逆流してカーペットに流れ落ちた。なるべく丁寧に掃除したつもりだが、染みが出来てしまうのはどうしようも無かった。

ぼんやりと染みの上を漂わせていた視線を時計に振ると、男にTELをかけてから、まだ5分と立っていなかった。男ともう一度会う話は無くなった。ホントは彼がいるから、やっぱり会えない。それでもう話は終わりだった。どうでもいい世間話を挨拶代わりに、通話は切れた。そしてもう二度と通話することもない。

奈美は携帯を閉じた。


書いているうちに翌日の朝5持になってしまったので、翌日の日付にしてアップしてみるテスト。「火曜日にばっかり書いてる」というのはその名残。

テストってレベルじゃねーぞ。さっさと寝ろ。

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