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2006/05/07(日)

実際のダメージは、たぶん読者の10倍くらいあると思う>「新人研修

自分の嗜好とは合わない作品を読むとき、読者の場合は単に、問題になりそうな箇所を飛ばし読みするなり斜め読みするなりしてスキップすれば良い。仮に全文を読むにしても、文章として書かれた事象だけを読んで先に進めば、それで済む。

書いているほうは、そうはいかない。自分の嗜好とどれだけ合わなくとも、その箇所をスキップして書くなどというのは物理的に不可能なわけで、やはりちゃんと文章につきあって書き進める必要がある。ということはその箇所の文章を全部読むということでもあるわけで、「嫌いだからって我が儘は許しません!! ちゃんと納豆も食べなさい!!」みたいなことになるわけだ。俺は納豆嫌いじゃないけど、ゴハン無しで納豆はかんべんして下さい。てか、食い終わる頃になってから出すってのはどうよ? 最初から出せゴルァ!!

さらに、書く側は文章を読むだけでは済まない、という事実もある。他の人はどうだか分からないが、私の場合、登場人物が何か行動したり喋ったりするとき、その心理もある程度を脳内シミュレートしたうえで書いている。どの程度シミュレートするかは、その行動やセリフの重要度にもよるが、たとえば「新人研修」第2章後半の「藤堂×馬」のシーンでは、所長の「悪意」の程度と内容とか、藤堂さんの恐怖と絶望とか、そういうところまで想像しているわけで。

もちろん想像した内容がすべて文章になるわけではないし、文章にする課程でもそれなりの劣化・変性がおこる。「書は言を尽くさず、言は意を尽くさず」ってやつだ。文章としてはあまり大したことない内容でも、私の脳内ではけっこうな地獄絵図になってたりする。

えー、そっちのほうを表に出してよ、とか言わない。無理。

たとえば所長の「悪意」。これの脳内シミュレートは、はっきり言って「新人研修」でいちばんダメージがでかかった部分だ。何をどう感じる、どう考える、というのを、単なる言葉上の表現ではなく、実際に自分の心を使って、そのように「感じ」たり「考え」たりする。自分の人格を悪意をもったそれに改造すると言ってもいい。「ペルソナ」って概念を知らなかったらやってらんねーような作業だが、でもいちおう自分の心でやっているわけで、いや、あのねえ、どうやったら相手を恐怖させられるか、絶望させられるか、っていう嗜好を追求するのはやっぱかなり、いや〜〜〜な作業ですよ? こんなのやってたら、精神が病気になる。

獣姦趣味はもともと病気、とか言わない。それとは別の病気だから(ってそれも違)。

たとえば、所長のセリフの1つに「原液」というのがある。読んでるほうはたぶん「ふーん、ちょっとマニアックな脅しかただな」くらいで次の文章に進んで行くだろうけど、書いているほうはそれどころじゃない。だってこのシーン、わざわざ「原液」を持ち出さなくても、そのまま次に進んでもあまり違和感ないシーンだよ? ここでなぜ「原液」なんかが出てきたかというと、

  1. 藤堂さんが嫌がって(怖がって)いるのを、所長が見る
  2. 彼女の恐怖・嫌悪はまだ充分でないと感じる(と私の心がシミュレーションで感じる)
  3. もっと怖がらせたい(と私の心がシミュレーションで発想する)
  4. 女にとって最も嫌な(怖ろしい)のはなんだ?(と私の心が以下同文)
  5. 胎内で異物が育つ、というのはどうだ?
  6. しかし獣姦で妊娠しないことくらい、この女も知ってるはずだ
  7. かまうものか、必要なのは生理的嫌悪感を煽ることだ
  8. 原液なので妊娠確率急上昇ざまーみろ

ん〜と、(8)の「ざまーみろ」でちょっと嫌悪感を感じた人もいるだろうけど、実際に「ざまーみろ」と考えたわけでは無い。でもそれに相当する「悪意」を私自身の心でシミュレートしたのは事実。私の本来の嗜好とは 100% 反発するんだが、それを抑えてシミュレートしている。読むだけなら目をそらせば済むが、私はシミュレートする当人なので、この悪意を直視してじっくり観察しなくてはならない。ほーら、ダメージでかいってこと、だんだん分かってきたでしょー。

読者の立場は「熱湯に腕を突っ込むのを見てる人」、作者の立場は「熱湯に腕を突っ込むのを実演(≠実行)する人」。

べつに作者と同じくらい想像力を働かせろとか言うつもりは無い。そうではなくて、読者に違和感なく読み進ませるためには、文章にならない裏側の部分もそれなりに考えないといけないだろう、ということ。で、その裏側の部分は表側の10倍くらい濃かったりするわけで、だから裏側を作る人間は読者よりダメージも大きいよ、と。

この話題はもうこれくらいでいいか。

と言いつつ、続きを書けない理由をもう少し。

現時点(って3年近くほったらかしているが)では、まだ藤堂さん1人が馬と姦っただけな状態なので、この先残り2名も馬と姦らせなくてはならない。で、藤堂さん以上の陵辱シーンって……? これはけっこう難しい。想像力の壁が、すぐ目の前に立ちはだかっている。陵辱度を落とせばなんとかなるかも知れないが、それは嫌だ。私が。

そもそも「新人研修」は、2003年の50000ヒット記念アンケートの結果を基に書き始めたものなので、どんなシチュエーションを詰め込むかは既に決まっている。そういや、馬輪姦もまだやってねぇなあ。で、このシチュエーションというか構成に従うなら、結末はハッピーエンドにはならない。ならないと思う。私は。

つまりこの先の展開は、よりハードに、より陵辱的に、そしてどん底に堕とすような結末で、書かねばならない。どうしよう? 何も思いつかねーよ。

ところでいつの間にか世の中は「ランブル・ローズXX」とか「N3」とか「大神」とか、面白そうなゲームがたくさん出ているな。こっちはまだ Empires 4 も遊びたおしてない(いちおう全シナリオクリアしたけど)のに、どうしろと言うんだ。そんな時間も体力も無いぞ。あと、金も。


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