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2002/08/08(木)

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ミスマッチ妄想シリーズ第4弾。スパイアクション。今回はもう、細かいことには拘らないことにした。妄想大爆進でいいや。ちなみに第1弾は2002年07月10日、第2弾は2002年07月13日、第3弾は2002年07月28日を参照されたい。


世間では一般に「お盆休み」と言われる夏の休暇期間も、今日が最終日だった。

「あぁもう、なんであたしがこんな目にぃ〜」

歯ぎしりしながら、白鷺久美(しらさぎくみ。23歳。某中堅ソフト会社OL)は独り会社で、キーボードをがががががががと叩いていた。とある馬鹿野郎が、ユーザー先に収めるソフトの設定データをきれいに初期化してくれたおかげで、彼女の休暇予定はすべてデータの再入力作業に費やされることになった。設定データと言っても、ハンパな量ではない。しかも決定された仕様に基づいて、間違いのないように入力し直さなければならないのだ。データが消される前に、ドキュメントだけはプリントアウトされていたのが、不幸中の幸いだった。が、だからといって自分一人が休み返上で作業するのは、納得がいかない。いかないんだってば。

ユーザーへの納品日は、休み明けの初日である。今日中に残りすべてのデータを入力し、過誤がないかどうか確認しなければならない。が、データ入力はほぼすべて終了し、あとは面倒なチェック作業が残っているだけだった。萎えかけた気力も、なんとか最後まで持ちそうだ。時刻はそろそろ日暮れ時になろうとしており、8階の窓からは斜めになった西日が差し込んでいる。

コーヒーでも淹れようか、と伸びをしながら立ちあがった彼女は、後ろを振り向いたところで硬直した。

「……あんた、どっから入ってきたのよ?」

両手を上に伸ばしたままの格好で、久美はそいつに声をかけた。間の抜けた格好だが、ほかに出社しているやつがいるわけでもない。

「くぅ〜ん」

甘えた声で、闖入者は啼いた。シェパードだろうか。どうやってビルの中に入り込んだのかはわからないが、やや大柄な、知性的な眼をした犬だった。半開きになったドアから、とっとっと、と平然とした顔で入ってくる。

「こら〜、駄目でしょ、入って来ちゃ」距離を保ったまま、しっしっ、と追い払う手つきをする。「もう……これ以上トラブるなんてヤだからね。しっ! しっ! や〜ん、こっちこないでよぉ」

犬は久美の足下まで来ると、ふんふんふん、と鼻を鳴らして彼女の匂いを嗅ぎまわった。

「くぅ〜ん」久美を見上げて、情けなさそうな声を出す。

「なによ……エサでも欲しいの?」突っ立ったままどうしていいかわからず、久美は途方に暮れた。「あら? あなた、立派な首輪してるじゃない」

犬の首には、黒い幅広の、なにやら高価そうな首輪が嵌っている。まったく汚れていないところを見ると、ごく最近までちゃんとした飼い主がいたことが伺える。散歩の途中ではぐれたばかりなのかも知れない。

「ねえ? あなたもしかして、迷子なの?」

彼女は犬の前にしゃがみ込むと、そうっと頭をなでてみた。犬はなでられるまま、おとなしく立っている。

「あらぁ、可哀相にねえ……」

犬を撫でてやりながら、しかし久美は困った。まだ仕事が残っている。犬にかまっているわけにはいかなかった。

「くぅん……」

甘えた声を出し、犬は久美の頬を舐め上げた。

「やん! 人なつっこい仔ねぇ」そう言いながらも、久美のほうも悪い気はしない。顔を舐めるにまかせ、相手の頭や背中を撫でて、ちょっとだけじゃれあってあげた。

とん、と犬が久美の胸を鼻で押したので、彼女はよろけて尻餅をついた。「こら! ひどいわね……」久美は途中で言葉を呑んだ。犬は頭を下げると、その鼻面をスカートの中に突っ込んできたのだ。

「なに? やめ……あぁん」犬の下が、スカートの奥を舐めていた。太腿の付け根を重点的に、せわしなく舐め回す。その力強い舌は、下着の上からでも充分な存在感があった。「駄目! やめなさい、こら……」両手で押しのけようとはするものの、犬のほうが力が強い。思ったより温かい舌が意外なほど気持ちよくて、身体から力が抜けそうになる。

舐められ続け、下着は生暖かい唾液でべったりと股間に貼りついていた。その下着の上から、犬の舌が、ぐうっ、と膣口のあたりを的確に押してくる。思わず仰け反るような快感だった。何度も何度もその部分を舐められているうちに、床にこすれたせいか、ショーツがずり下がってくる。どうしよう、と思ったときには、ずり下がったことで広くなった隙間から、彼女の性器そのものへと犬の舌が伸びていた。

「あっ……だ、駄目……許して」思わず懇願してしまった久美の言葉には耳もかさず、犬はすでに潤った性器の割れ目を、存分に舐め上げていた。たっぷり唾液を含んだ舌が、敏感な谷間を擦りあげてゆく。二度、三度と舐められるたびに、久美の息は荒くなっていった。「やだ……やだ……イかせないで……お願い!」もはや抗うすべもなく、彼女は犬の舌に翻弄されるのみだった。溢れた蜜が太腿を濡らし、もう、どこまでが犬の唾液で濡れたものか、判然としない。

久美が反応し始めたことを察したのか、犬は彼女の蜜を味わうことに重点を置き始めたようだった。舌を丸め、膣口に押しあて、ぐっ、と内部に挿し込んでくる。内部を掻き回し、雌の蜜をたっぷり絡めて、舌を引き出し、味わう。いかにも場慣れした舌技だった。

いつのまにか完全にずり下がってしまった下着を、久美は脚から引き抜いた。もう、どうなってもよかった。

すかさず、そして今度はおおっぴらに、犬は舌を使ってきた。膣内に入れ、割れ目をなぞり、クリトリスを舐め上げる。「あぁ……あぁぁぁっ!!」あられもなく声を上げ、久美は身もだえた。今までつきあった男たちにも、こんなテクニックのある男はいない。

ふと見ると、犬の股間からはすでに、真っ赤に充血した生殖器が突きだしていた。

久美は寝返りをうって俯せになると、スカートを捲り、尻を突き出した。自分でも、何故そんなふうにしてしまうのか、わからなかった。片手を股間に伸ばし、指で自分の襞を左右に開いた。犬の眼前には、欲情した女の秘所が晒し出され、ぬらぬらとひかっていた。

犬の舌が開いた部分を舐め上げ、久美は身体を震わせた。誘いを無視して、彼はなおも舌で久美をいたぶった。邪悪なほど意地悪な男だった。このままでは、舌だけでイってしまう。

「来て……」久美は言った。「舌だけでなんて、意地悪しないで……あなたのを、入れて……おねがい」

その言葉を待っていたかのように、犬はふわりと前脚を宙に浮かせ、かろやかに牝犬の背に降ろした。犬の腰が押しつけられ、久美の尻を毛皮がこすった。ちょっとざらざらして、暖かい毛皮だった。そして、杭が肉を突き刺した。

「はうっ!!」

ぎゅん、と身体を絞り上げるような快感で、久美は息が止まった。犬の性技は、絶妙だった。挿入をはっきり確認すると、彼は激しく腰を振り始めた。ずし、ずし、と内奥を突き上げられ、ときおり左右に揺すられる。久美は床につっぷして、快感に耐えた。耐えねばならないほどの快感だった。

「ああぁぁぁっ!!!」絶頂と共に、久美はひときわ深く突き上げられた。だが、まだ終わりではなかった。久美の体内に深く挿入された生殖器は、どくどくと脈打ちながら、その付け根を膨らまし始めた。と同時に、犬は少しづつ体の向きを変えてゆき、ついには久美と正反対の方向を向いてしまった。彼と彼女は、いまや尻を押しつけ合って、床に這っていた。

それは、犬類独特の交尾結合だった。これからさらに数10分間、雄犬は相手の牝犬の中へと、最後の射精をし続ける。

「あぁぁ……あ〜、あうぅぅっ……」

油のように粘りつく汗が、全身から滲み出る。びゅっ!! びゅっ!! という勢いのある射精が、膣内で感じられる。気が変になりそうだった。

ながい時間が経って、久美が息も絶え絶えになったころ、犬はようやく彼女から離れていった。栓を抜かれた膣口から、溜まりに溜まった精液と愛液が溢れ、床に滴った。

久美は床にぐったりと寝ころんで、目を閉じた。掃除が大変だ、と頭の片隅で思った。

犬のほうは元気なもので、性器が鞘に収まるのを待って、部屋中をくんくん嗅ぎまわり、うろついている。この犬を、どうしたらいいだろう。保健所に引き渡す? とんでもない!! 飼い主を捜して、返す? まあ、そうすべきではある。でも、飼い主が見つからなかったら? 今のアパートでは、犬は飼えない。新しい部屋を探した方がいいだろうか。

そのうち、犬は何かを見つけたらしく、がりがりと歯を立てる音が聞こえた。久美はあわてて起きあがった。機材を壊されたりしたら、大変だ。

いつの間にか日が落ちようとし、窓から差し込む陽射しは朱色に染まっている。その赤光の中で、犬は保管棚から一巻のDAT(磁気テープ)を咥え出すところだった。「ちょっと、何を……!!」犬の口に咥えられたDATのラベルを一瞥し、久美は跳びあがった。それは、会社の主力製品であるアプリケーション・ソフトの次期バージョンを収めた、超重要なテープだった。まだβ版の段階だが、実行モジュールのみならず、仕様書からソースコードからひととおり全部格納されている。もちろん、そのDATはバックアップとして作成されたものだから、壊れたとしても製品開発に直接的なダメージはないが……。

犬はちらりと久美に視線をはしらせると、突然身を翻し、窓に体当たりした。

弾けるような異様な音と共に窓ガラスが砕け散り、犬の身体は窓の外に消えた。その口にDATを挟んだまま。

「あおぉぉ〜〜ん!!」落下してゆく彼が、ひときわ高く吠えるのが聞こえた。「あおぉぉ〜〜ん!!」こだまするように、どこかの犬が吠え返した。

久美は慌てて割れた窓に駆けよった。ここは8階だ。落ちたら、まず助からない。

しかし。

久美は我が眼を疑った。いったんは落下したはずの犬の体はふたたび高度を取り戻し、空を駆けてゆく。その背から左右に大きく拡がった雪白の翼が、風を切る。

飛び去ってゆくその姿へ、低空からもう一つの姿が合流した。その口に落下したはずのDATを咥え、おなじく純白の翼を広げた犬。「おまえばかり、いい思いしやがって」とでも言いたげな視線を相棒に向け、2匹並んで大空を滑ってゆく。

コードネーム「ジェミニ・ウィング」として知られる、凄腕のスパイ。遺伝子改造によって、人間に匹敵する知能と、飛行能力を与えられた、双子のスーパードッグだった。

むろん、久美にはそんな知識はない。彼女はただ呆然と、夕日の中に消えてゆく、いっときの愛人の姿を見つめるだけだった。

久美の夏は、終わった。


いちおう予告はしたけれど、ここまで妄想大爆走だったとは、誰も思わなかっただろう。って言うかこれ、スパイ・アクションか? っつーか、スパイがそんな目立つ行動とるんじゃない!! だいたい、窓を割って飛び出す必然性なんて、無いじゃん。いやそれ以前に、獣姦パートとアクション・パートが完全に分離してるぞ。スパイものにする必要、あったのか? ただのオフィスものでよかったんじゃないのか? わんわん、ばうばう。

ところで昔の映画に、わたしを愛したスパ……いや、何でもないです。

ちなみに元ネタ。むかーしむかし、「ジェミニ・ウィング」という名前のゲームがありました。最近それを思い出して、「どこら辺が『ジェミニ』なウィングだったのかなぁ」などと考えてしまったのが発端。

以上。(って、その発端でどーしてこーいう妄想になるの?)

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