ミスマッチ妄想シリーズ第2弾。麻雀小説。(ちなみに第1弾は 2002/07/10 に書いた)
麻雀小説っていうと、煙草の煙の立ちこめる部屋で男達がしのぎを削るような勝負を展開し、運と策略が絡み合って視線と視線がぶつかり火花を散らす。そういうイメージがある(コミックスになるとそうでもないけど)が、それでは獣姦物にならないので、えーと、もう数十年前に使い古されたとおぼしき、「負けたら肉体で」という路線でいこう。
「ロン、タンヤオドラ3。8000」鷹雌鹿乃(たかめ かの。23歳。昼はOL、夜は雀士の二足のわらじを履く)の声が淡々と響き、獣合犬二郎(じゅうあい けんじろう。27歳。兄は私立探偵をやっているらしい)は窮地に立たされた。
犬二郎の最後の親が流されて、彼我の差は4万点を超えている。三倍満でも直撃すれば逆転可能だが、親の鹿乃は1000点上がって終了宣言すれば、勝ちだ。窮地と言うより、崖っぷちで片足が向こうにはみ出している、という状況だ。
代打ちで呼ばれてきてみれば、1対1の変則二人麻雀で、しかも負けた方はその場で犬に犯されるという「賞品」付きだった。無論、負けて犯されるのは犬二郎ではなく、代打ちを頼んできた相馬夫人である。
そういう「賞品」をかけて打つ女がいるという話は聞いていた。どうせイロ物だろうと思っていたが、いざ勝負に臨んでみると、強い。そういえば、女のほうが負けたという話は聞いたことがなかった。イロ物と思って、相手のことをろくに調べなかったツケが回ってきたということか。俺もいつのまにか、ずいぶんとヌルい打ち手になっちまったようだ、と犬二郎は苦い思いを噛みしめたが、まだ勝負が終わったわけではない。最後の一局は、石に齧りついてもこちらが手に入れねばならない。
犬二郎は相手の手元から視線を外し、精神を集中させた。この状態でこまかいサマを気にしてもしかたがない。それよりは自分がでかい手を、超ド級にでかい手をあがることに、すべてを賭けるのだ。
その気配を感じたのか、相手のほうも刃のような鋭さをこめて捨て牌を打ち出してくる。しかし……
「ロン!!」その一索こそ、犬二郎が狙っていた牌だった。「リーチ一発天和清一小三元一盃口三色対々和多牌タンヤオ ドラ4。ふっ、なんとかひっくり返せたな……」
そういえばイッパツテンホーって馬がいたなあ。なお、役についてはあまり追求しないように。多牌なんてチョンボだし。
「くっ……!! そ、そんな手を……」歯ぎしりする、鹿乃。
「恨むな。俺もこんな手をあがれたのは、初めてさ」
雀卓に手をつき、がっくりと鹿乃はうなだれた。こんな奴には、勝てないと思った。初めての敗北であり、そして初めて自らが「賞品」の立場になった、屈辱の瞬間だった。
「さぁて、お役目も終わったし、俺は帰らせてもらうぜ」上着を指二本にひっかけて、犬二郎は立ちあがった。
「あ、あの……」それまで固唾をのんで隅に控えていた相馬夫人が、おずおずと声をかけてきた。「あの、どうもありがとうございました。私……」
「待ちな!!」鋭い声が、二人を振り向かせた。唇を噛みしめ、雀卓にすがるようにして睨みつける鹿乃の顔があった。「賞品が、まだだよ」
犬二郎は困惑してかぶりを振った。「ええ!? 俺は、別に……」と、相馬夫人を振り向く。「わ、私だって、その……そんな、無理にとは……」顔をあからめて答える夫人。
「そういうルールだったからね。あたしだって……あたしだって、肉体を張ってるってこと、見せてやるよ」鹿乃は雀卓に手をつき、片手でスカートを捲りあげた。白い、意外なほど清楚な下着が犬二郎の眼にとびこんできた。
下着を引き下ろす手が、一瞬、ためらいを見せ、そして一気に膝まで下ろした。瑞々しい尻が宙に揺れる。
「おいで、アレックス」
鹿乃が呼ぶと、待ちかまえていたかのように、彼女の飼い犬が歩み寄った。股間に赤い棒がぶらりと垂れ下がっている。そして、いつもの勝負で慣れているのか、ひょいと前脚を鹿乃の背に乗せると、ぐうっ、と腰を押し出した。
「あ……あぁっ!!」突然の挿入に、思わず鹿乃の声が洩れる。かっ、と顔に血の色がのぼったのは羞恥か、思わぬ快感ゆえか。雀卓に突っ伏した彼女を、その愛犬が背後から巧みな腰さばきで責め始めた。
むぅ……ふっと思ったんだが、こういう話の流れなら、別に麻雀である必要はないわなぁ。勝負事なら、なんでもいい訳だし。
うーん、やっぱり「負けたら肉体で」という設定にしたのが、敗因か。それ以前に、麻雀なんてあまり詳しくないけど。しかし、麻雀の駆け引きレベルに獣姦を絡めるというのは、さすがに無理なんでは……。獣姦しながら麻雀、ってわけにもいかないだろうし。交尾開始と同時に打ち始め、犬が射精し終わった時点で精算、とか。(うわ、下品なアイデアだなあ)
いや、そういう変則ルールじゃあ、結局おなじことだって。
いっそ、麻雀を打てる犬とか馬とかを登場させるか……?