【第二話】辻馬


今は昔と物語るはおほけれど、これもみとせ(三十)、よとせ(四十)は昔の話なりけり。

人のおほく住まふるところにて、馬を曳きて柱につなぎし者あり。この者、人の知らずして去れり。男どもみな稼ぎにて居らざれば、女ども出でて見れり。馬の大きくて恐ろしげなれば、ちかくへば寄ることもできずとて、小声にて騒ぎたるなり。このさゐさゐしきを嫌ひて馬の怒るには、つちを蹴り、くびを振り、はな息はなはだ荒し。女どもなほ畏れて寄らざるなり。

わかき女房の出でて、馬に乗りたるためしあればとて、優しげなるこへにてなだめ、そばへ添ふて撫づれば、やうやうにして馬の穏やかなる。つひにはこの女にいと懐きたるなり。

馬の安げなるを見て、女どもちかくへ寄りて、みな背を腹を撫づるなり。わかき女房、馬のかほ(顔)もろ手にてはさみて、むつまじく遊びたり。馬、舌ながくして女房のかほ濡らし、興じて笑ふさまを見て、まなこの怪しくなりぬる。見よとて人の指すに、馬の腹より根の伸ぶるなり。

馬のまた猛ぶるに、根ををさめんと思ふにも、人を嫌ひて荒ぶれば、またわかき女房のこへをかけ、首を抱きて撫づるも、なほ根のかたくなりぬる。さればこの女房にて馬のこころ果たさむればと人の言へば、女房も畏れ恥づかしげなるにて退かんとするなり。

さても他に人のおらざるなりとて、人みなで馬の肩腰に縄輪をかけ、直土(ひたつち)に筵置くなどして、床を造るなり。これもさだめなりしかと、女房も衣おとして筵に這ひ、根をなぶれば、いと剛(つよ)きさまにておどろし。肩輪にくびくぐらせ、腰輪に尻のせ、脚の高くして、夫のある身にては許したまふとなほ言ふも、股に馬の根の当たりて女陰(ほと)のふくらむはいと艶めかし。人、みなで女房の女陰(ほと)おし分かちて、根を穴に挿せり。穴に水の豊かなるにては、めをとの契りたがふは明らかなりて、とく馬の根染むるなり。

昼なれば女の股の開きて馬の在るはいと明らかなりて、なまじひて根の突かば喉の白きよりむせぶなり。女陰(ほと)のさらに開きては、をのこ(男)ならずしてかひな(腕)と交合ふるごとくなりとても、また根の深く咥へるこそ畏ろし。

交わひては馬のなほ猛きにて、馬よりは人の女(むすめ)の恋しきとおぼすなりと言はば、女房も人よりは馬の恋しきと答ふるなり。これ相思ふなりかと、人のいとあやしう驚きたり。

馬の突き女の咥へては、馬の身振るへさやぎてつひに至るなり。根のしぼみて女陰(ほと)より馬の水ささらぎ流れ出づれば、根のかしらの脹れてはぜるさまにて、なほ湯の湧くやうにして女陰(ほと)へ汁そそくも、いと汚げなる。強ひて根の先ささげ持ちてまた穴に埋(うづ)むる人あれど、いとをこがまし。

馬のつなぎし人の戻らざれば、くち曳きて女房のいへに住まふるなり。また夫の恐ろしふとて去ぬれば、ただ女房と馬のみとなれり。つひには馬めをととなりぬ。

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