夕方近く、クルーザーはゆっくりと桟橋に接岸した。
与志子が桟橋に移ると、向こうから加藤が歩いて来た。
「お帰りなさい。」
加藤がにっこり笑った。
「ただいま。」
「他の人達は?」
与志子は周りを見回した。
「オスカーは、監督と田中さん達と向こうの砂浜に居ますよ。」
加藤が砂浜の方を指して言った。
砂浜に向かうと、与志子は岩陰からそっと覗き込んだ。
オスカーが小山と田中の間に座っていた。
この光景を見ただけで、与志子はオスカーが2人によく懐いているのが解った。
暫く、オスカー達を見守って、与志子はオスカー抱きつきたい気持ちを抑えてクルザーに戻った。
久しぶりにオスカーを見たら、与志子の媚裂は潤みパンティーを濡らした。
「ねえ、お願いがあるの。」
「後で、小山さんに内緒でここに来るように伝えて。」
与志子はクルーの1人に頼んだ。
小山が1人クルザーに乗ってきた。
「おおッ、久しぶり。」
小山は片手を挙げて挨拶した。
「オスカーも随分あなた達に懐いたようね。」
クルーザーのリビングのソファーに与志子は座っていた。
「ん、見てた?」
「最初の頃は君を捜して、なだめるのに苦労したけどね。」
小山は与志子の反対側に腰を下ろした。
小山と与志子は暫くの間、雑談をして時間をつぶした。
「そろそろ、どうだろうか?」
小山が本題を切り出した。
「明日、撮影しましょ。」
「でも、貴方と、田中さんの二人だけでお願いしたいの。」
与志子が言った。
「俺と田中だけ?」
小山が驚いた顔をした。
「周りに沢山の人がいると、また失敗すると思うの。」
「それと、あなた達2人ならオスカーも大丈夫だと思うの?」
与志子は紙を取り出しながら言った。
与志子は簡単な地図を書きながら撮影場所と撮影方法を伝えた。
「ここに大きな木があるの、この木を南に曲がって少し歩くと滝の音がかすかに聞こえるの。」
「滝の音?」
小山が聞いた。
「ええ、この滝の所に泉があるの。」
「ここが、本当の水源池なのよ。」
「へぇー知らなかったな。」
翌朝、小山と田中は撮影用カメラを担いで、与志子が書いた地図を頼りに撮影場所に行った。
与志子の書いたとおり、大きな木を南に曲がると少しして滝の音が聞こえてきた。
小山達は音のする方に走った。
被い茂った草むらから急に視界が開けた。
「へえ〜ッ、こんな所に泉があったのか。」
2人は暫くその場に立ち竦んだ。
泉の向こう側に小さな滝があった。
「いいロケーションじゃないか。」
小山が言った。
「そうですね。」
田中が答えた。
「さてと、準備しようか。」
2人は通信機のイヤホンを耳に差した。
クルーザーのシャワールームで、与志子は陰毛を綺麗に剃り落としていた。
Orangutan
Only
↓
右の太腿の付け根には、ビキニラインに沿って彫ってあるReserved for Orangutan cookの文字。
左にはHuman not cook Enter、の文字が白い肌に青く、刺青がくっきりと彫られている。
シャワールームから出て、バスローブに着替えると化粧を始めた。
化粧を始めると、あの別荘での章吉との撮影が脳裏に浮かんだ。
「章吉・・・・ごめんなさい」
「こんな私を許してね・・」
与志子は1人呟いた。
小山は腕時計を見た。
「もうそろそろ来てもいい時間なんだがなぁ。」
「田中、そっちからはふたりが見えるか?」
小山と田中は反対側に位置を取り、与志子達を隠れて待っていた。
「まだ見当たりません。」
田中が向こう側で手を振るのが見えた。
暫くすると、ガサガサッと草を掻き分けてこちらに向かってくる人の気配がした。
小山は慌ててカメラを肩に担いだ。
「田中、スタートだ。」
小山はマイクに向かって小さく叫んだ。
「小山さん、こちらはOK」
田中も急いで肩にカメラを担いだ。
音のする方に向かって2台のカメラは回り始めた。
最初に姿を現したのは、オスカーだった。
オスカーに手を引かれて現れたのは与志子であった。
与志子は撮影用にいつもより濃いめの化粧をして、豹柄ではなく純白のビキニを着けていた。
小山と田中は、与志子の美しさに暫し、見惚れてしまった。
「き、綺麗だ。」
田中の呟きが、小山のイヤホンから聞き取れた。
泉の畔まで来ると、オスカーは与志子を見た。
オスカーはここへ来た事ですでに交尾をする気になっていた。
まるでここが与志子と交尾をする聖地だと思っているかの様であった。
与志子は黙って背中をオスカーに向ける。
オスカーの腕が伸び、慣れた手つきで与志子のビキニの紐の結びを解く。
押さえ付けていたビキニの布がはじくと、形のよい豊満な与志子の乳房が弾ける様に露になった。
「ゴクッ」思わず、小山は生唾を飲み込んだ。
与志子の腰辺りにオスカーの腕が伸び、また慣れた手つきで紐の結びを解く。
バタフライがパサッと足元に落ちた。
与志子は生まれたままの姿になった。
「ん。なんだ」
小山は与志子の下腹部とビキニラインの模様が気になり、その部分をアップで捕らえた。
小山はその文字が刺青で彫られていることを悟った。
「与志子さん、そこまで・・・・」
小山は声が出なくなった
与志子はあぐら座りをしているオスカーに抱かれるように横たわった。
甘えるようにオスカーの首に腕を廻し、胸に顔を埋めた。
オスカーは与志子の背中に片腕を廻しグイッと少し抱き上げると、与志子の上半身は軽い弓反りになり、乳房が前に突き出た。
既に与志子の乳首は硬くなり、ツンと尖っているのが小山達にも見えていた。
目の前に突き出た与志子の乳首にオスカーは舌を尖らせ、嘗め回しては吸い付くことを繰り返し、もう片方の掌で乳房をこね回す様に弄ぶ。
「ああッ・・ううッ」
与志子の切なげな呻き声が口から洩れる。
首に廻した掌で愛おしくオスカーの顔から頭を撫で回す。
1週間ぶりのオスカーとの行為に身体はすぐに反応した。
すでに与志子の股間の奥は妖しく息づいていた。
媚裂の内襞はまだ触れてもいないのに、ヒクヒクと蠢いていた。
オスカーは乳首を吸いながら、乳房を弄ぶ掌を与志子の股間に移した。
与志子はカメラにも映り易いように大きく両脚を広げた。
オスカーは長い指を割り入るようにくねらせながら、与志子の媚裂の奥へと入れてゆく。
これもすべて与志子が交尾の前の前戯としてオスカーに仕込んだのである。
オスカーのゴツゴツとした長い指が、媚裂の最奥目指して縫うようにゆっくりと進んでくる。
「ああ・・いいッ・・」
与志子は自然と腰をよじり、くねらせていた。
親指で女芯を弄ばれ、媚裂をゆっくりと出入れする長い指、舌先で転がすように舐められ、時々強く吸われる乳首。
与志子はオスカーにしがみ付いているのがやっとであった。
小山も田中も無言で撮り続けた。
自分のズボンの股間がテントを張っている事すら気付かないでいた。
滑り落ちるようにオスカーの首に廻した腕を解き、うつろな目をした与志子が地面背中を着けた。
オスカーは身体を入れ替えて、与志子の太腿に掌を当て大きく両脚を割り開いた。
与志子の豊満な乳房は形よく張りつめ、滑らかな腹部から細い腰、そして女の色香が溢れ出る太腿の付け根は妖美で魅惑の丘となっていた。
そして今、その丘の裂け目にオランウータンのオスカーの長い舌がピチャピチャと淫靡な音を立てて嘗め回している。
舌を尖らせ、与志子の子宮の入り口まで嘗め回す。
与志子は呻きながら、首を左右に振り、全身から玉のような汗を噴出し、腹部をうねらせながら媚裂をオスカーの顔に押し付けている。
小山と田中は今すぐにでも飛び出して、至近距離から撮りたかった。
M時に曲げていた与志子の両脚がピーンとつま先まで伸びると、与志子が絶頂を迎えたのがカメラ越しから解った。
「田中、今の表情お前の方から抑えたか?」
小山は田中に聞いた。
「ばっちりです。」
イヤホンから田中の弾む声が聞こえた。
「はぁはぁ」と与志子が身体全体で呼吸をしている。
その間もオスカーはまだ与志子の媚裂を舌でまさぐっている。
与志子は呼吸を整えると、オスカーの腕を引いた。
オスカーは媚裂から顔を離すと、与志子の上に乗った。
与志子はオスカーの背中に腕を廻し両脚をM時に開きオスカーの腰に巻きつけた。
オスカー腰がくねくねと動くと与志子は「うッ」と呻き声を上げた。
与志子とオスカーが繋がった瞬間であった。
小山はそこをアップで逃さずに撮っていた。
オスカーの腰が上下に浮き沈みし始めた。
ジワジワと入ってくるオスカーの肉棒に、とろけたぎった肉襞がいっせいにざわめき、待ちかねたように絡み付いていくのが解った。
小山のカメラは与志子の媚裂を出入しているところを撮っている。
与志子が手を振った。
「よし、合図だ。」
それを見た小山と田中は、飛び出してすぐ横で取りたい衝動を抑えて、オスカーを刺激しないようにゆっくりと近づいた。
これは与志子との約束であった。
与志子が合図するまで隠れて撮影すること。
合図があっても急いで傍に寄らないこと。
撮影は5メートル以内近づかないこと。
この3つであった。
「はぁ、はぁ」と与志子はオスカーの動きに呼吸を合わせていた。
オスカーが突き上げる度に豊満な乳房がタプタプと音が聞こえそうなくらい揺れていた。
与志子の媚裂からは愛液が溢れ出し、オスカーの肉棒が出入する度にぐちゅぐちゅと淫靡な音が聞こえる。
与志子はオスカーの背中を愛おしく撫で回す。
虚ろになった目はオスカーを見詰め、唇を吸って欲しいと訴えていた。
ピタッとオスカーの腰の動きが止まった。
田中と小山の存在に気付いたのである。
牙を剥き、鋭い眼光で二人を威嚇した。
田中と小山もドキッとして、一、二歩後退りした。
「いいのよ」
与志子が両掌でオスカーの顔を挟み、自分に向かせ唇を吸った。
オスカーは眼だけは、二人を睨みつけている。
与志子が掌でオスカーの目を隠し、舌を強く吸い始めた。
腰に廻した足で、オスカーのお尻を突っ突き、交尾の催促をした。
オスカーはまた腰を動かし始めた。
最初はオスカーは二人の存在が気になり、何度も眼で威嚇をしていたが、二人が何もしない事が解ると交尾に集中しだした。
いつものように与志子の媚裂に強く打ち付け始めていた。
与志子の内襞はオスカーを逃すまいと絡みつくように蠢きだす。
媚裂からは愛液が、なお多く溢れ出し、打ち付ける度に恥骨がぶつかり合い、パン、パンと音を立て始めていた。
与志子は愉悦を隠し切れず、輝くばかりの色を美貌に昇らせ、ハァハァと喘いだ。
腰をうねらせ、乳首をツンと尖らせた乳房が重たげに弾んでいる。
虚ろになった目で与志子はオスカーの唇を追う、オスカーは唇を吸われると息苦しいので横を向く。
恥も外聞もなく、与志子はオランウータンのオスカーの唇を追う。
与志子は唇を奪うと強く舌を吸った。
オスカーの腰を打ち付ける速度が早く、力強くなってきた。
与志子は大声を上げ、汗まみれの乳房をゆすりたて、腰を大きく振った。
総身を震わせ、両脚をピンと突っ張らせてのけぞり、ガクガクと腰を跳ね上げ、与志子は昇りつめた。
だが、オスカーはまだ腰を打ち付けている。
与志子のきつい収縮に耐えながら、腰を打ち付けている。
「はぁはぁ」と呼吸を整えていると、オスカーはドンと一度強く腰を打ち付けると、腰を振るのを止めた。
与志子の恥骨とオスカーの恥骨が密着した。
オスカーの肉棒から与志子の子宮口目掛けて熱い獣液が吐き出された。
「あ〜ッ」与志子の口から歓喜の声が洩れた。
ドクッ、ドクッ、と獣液を吐き出す度に、与志子の肉襞たちはそれを感じ取っていた。
オスカーは与志子から離れると傍に座り、小山達を威嚇していた。
暫くして、与志子は上半身を起こすと、小山を手招いた。
内股を大きく開いて、膣栓で塞がった媚裂を指差した。
Orangutan
Only
↓
の刺青が白い肌に艶やかに映えた。
↓が指す媚裂周りが与志子の愛液オスカーの涎でヌラヌラと光っていた。
小山のカメラは、つい先程までオスカーの肉棒を咥え込んでいた、与志子の生々しい媚裂をアップで捕らえた。
媚裂の入り口を塞ぐ、白濁としたガム状の膣栓が映し出された。
「ヤラセじゃない証拠を見せるわ。」
と、言いながら手を股間に伸ばす。
与志子が膣栓をゆっくりと剥がし始める。
オスカーの獣液が漏れ出したところから、固まり始めるのが映された。
「これは、学術的にも価値が有りそうだな。」
小山はファインダーを覗きながら呟いた。
数秒ほど間を置いて小山が叫んだ。
「はい、カット」
撮影が終了した瞬間であった。
小山は肩に担いだカメラを下ろすとフーッと息を吐いた。
興奮した田中が、カメラを担いで小山の隣に来た。
「興奮しましたね。」
「でも、これで無事終了ですね。」
二人は高揚した顔で見合った。
小山も田中もズボンの股間辺りが少し濡れていた。
「ねえ、お願い。」
「暫く私達だけにして。」
与志子はオスカーに甘える様に身を寄せ、恥ずかしいのかオスカーの胸に顔を隠して言った。
バーベキューを挟んでスタッフ達は大はしゃぎであった。
撮影が成功に終わった事と、年越しを覚悟していたが、年内に帰れるからだ。
そんな喧騒から少し離れた所で、与志子は一人腰を下ろしてジッと海を見ていた。
「皆とは居ずらいだろうから、ほら、持って来たよ。」
小山が皿に料理を載せて与志子の所へやって来た。
「ああ・・ありがとう。」
与志子は皿を受け取った。
「冷めない内に食べた方が良いよ。」
「そして、明日でこの島ともおさらばさ」
「ねえ、小山さん。」
立ち去ろうとした小山に与志子は声をかけた。
小山は止まって振り向いた。
「ねえ、オスカーはこの後どうなるの?」
寂しそうな瞳で小山を見た。
「さー、多分、本村の親父のコレクションの1つに成るんじゃないか?」
「あの親父にとっては、ペットじゃなくてコレクションだからな。」
「そう」
与志子は寂しそうに呟いた。
暫く、海を見詰めていた与志子が言い出した。
「小山さん・・・人間とオランウータンが交尾をしても妊娠しない事は知ってるわよね。」
「ああ・・染色体がどうのこうのって事だろう。」
小山が少し笑みを浮かべて言った。
与志子は海をジーッと見詰めてポツリと言った。
「でも、受精はするのよ。」
「私のお腹の中で・・・・」
「でも・・着床しないから流れちゃうの。」
小山は黙って聞いていた。
「ねえ、もしもよ、万に一つの可能性で妊娠しちゃう事だってあり得るわよね。」
与志子は海を見詰めている。
小山は苦笑いしながら首を横に振り言った。
「そんなことは絶対あり得ない。」
「もし、あり得たら、この島を私達の子孫でいっぱいにできるわ。」
与志子は遠くを見て言った。
小山は馬鹿馬鹿しいという顔をして首を横に振った。
与志子は遠くを見詰めながら小山に言った。
「小山さんにお願いがあるの。」
「私と彼は、ここに残るわ。」
「この島なら、水と食べ物があるから生きて行けそうだわ。」
「私と彼はこの島でアダムとイブになるの。」
小山は驚いて与志子に言った。
「駄目だよ、そんな事、ハイそうですかなんって聞けないよ」
慌てふためく小山を見据えて与志子が言った。
「ギャラの代わりにオスカーを頂くわ。」
「会長に宜しく言っておいてね」
「それと明日は私達を探さないで下さい。お願いね。」
与志子は空になった皿をポカーンとする小山の手に持たせると、立ち上がり別荘へと歩いて行った。
2,3歩歩き出したところで、与志子は何かを思い出したように立ち止まり、小山の方に振り向いた。
「いけない忘れるところだったわ。」
「お願いついでに、もう一つ聞いて頂戴。」
「帰ったら、これを郵送して欲しいの。」
与志子は1通の封筒を小山に手渡した。
「お、おい冗談だろう?」
小山はポカンとした顔で言った。
「切手代は悪いけどあなたが払ってね。」
「お願いね。」と、言って与志子は小山にバイバイと手を振りながら別荘へと歩き出した。
小山は封筒と皿を手に困惑した顔で、与志子の後姿を見続けていた。
翌朝、与志子とオスカーの姿は見当たらなかった。
朝食を摂っている時であった。
「そういえば、与志子さんの姿がみえませんね。」
田中が言った。
小山は黙っていた。
「どうしたんでしょうね」
田中は小山に尋ねた。
「・・・・・・・」
小山は皆になんと説明したらい良いか困っていた。
「捜してきましょうか?」
田中が言った。
「・・・いや、捜さなくていい。」
「彼女はここに残ると言っていた。」
食事を摂りながら小山は言った。
「そんな、置き去りなんて駄目ですよ。」
加藤が立ち上がった。
「彼女の希望なんだ。」
「それに、この木々の生い茂った、広い島からどうやって捜し出すんだ。」
「田中、お前も昨日見ただろう、与志子さんの下腹部の刺青を。」
「彼女は本気なんだ。」
「本気で人間の世界を出て行ったんだ。」
小山が八つ当たり気味に言い放った。
皆は黙ってしまった。
「皆、撮影機材以外の物は全てここに置いて行く。」
「解ったな。」
小山は皆を見回した。
与志子は高台の木陰から桟橋を見ていた。
皆が、撮影機材をクルーザーに忙しく積み込んでいる。
小山が両指で四角を作って周りを見渡している。
おそらくカメラアングルのつもりで見ているのであろうと与志子は思った。
クルーの一人が小山に声を掛けると、小山が片手を挙げて返事をした。
小山がクルーザーに乗り込むと、ゆっくりと後進し離岸した。
少し沖に出て向きを返ると、速度を上げ島から遠ざかって行った。
小山は遠ざかる島を何か思いを込めたように見詰めていた。
(この島を私たちの子孫でいっぱいに出来るわ。)
(私達はこの島でアダムとイブになるの。)
小山はこの言葉が頭から離れなかった。
「・・・・・猩々の島・・か・・・」
小山は小さくなって行く島を見詰めて呟いた。
「監督」
背後から田中が声を掛けてきた。
小山は振り向いて田中を見た。
「これで良かったんですかね?」
田中は小山の隣に並んで言った。
「・・・ああ・・これで良かったんだ。」
小山は呟いた。
「ありがとう、小山さん。」
「私のわがままを聞いてくれて。」
与志子は小さくなって行く、クルーザーを高台の木陰から見送ると、呟くように言った。
「さあ、今から貴方はアダムで、私はイブよ。」
与志子は隣のオスカーに向かって言った。
「さあ、行こう。」
与志子はオスカーの手を取り、歩き出そうとした。が、オスカーは動こうとしない。
「どうしたの?」
与志子は微笑しながらオスカーを見た。
オスカーは与志子のパジャマ代わりのTシャツの裾を引っ張った。
「・・・・・?」
与志子は最初は意味が解らなかったが、少し間を置いて理解した。
「そ、そうよね、オランウータンの妻がシャツを着ていちゃ駄目よね。」
与志子はTシャツの裾を捲り上げ脱ぐと、木の枝に引っ掛けた。
肉感のある形の良いEカップの乳房がプルルンと揺れた。
オスカーがパンティーの淵に指を掛けて、脱ぐ事を催促した。
「わ、解っているわよ。」
与志子はパンティーの淵に指を掛けた。
しかし、与志子は脱ぐ事に少し躊躇した。
何故か、このパンティー1枚が人間の世界と、オランウータンの世界の境になると思ったからだ。
与志子は意を決したように、純白のパンティーを脱いだ。
パンッと張った締まりのある肉付きの良い、シミ一つ無い双臀が露になった。
脱いだパンティーを目の前に持って来て、まるで人間の世界への別れを惜しむかのように、まじまじと見た。
パンティーを木の枝に引っ掛けると、サバサバとした表情でオスカーの手を引き、森の中へと歩みだした。
歩く度にクリッ、クリッ、と妖しく揺れる白いお尻が森の中へ消えて行った・・・・。
与志子達が去った後には、木漏れ日に浮かぶ純白のパンティーが、南から吹くそよ風にヒラヒラと揺れていた。