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2008/06/29(日)

とりあえず、まだ生きてるよ。自分もサイトも。でもってサイトのほうは、さらに1年の延命が決定しました。以上、近況報告おわり。

ちかごろの少女マンガはすごいんです、性的な意味で。とかいう話をどこぞで拾い読みしたので、おためしのつもりで適当にいくつかチョイスして読んでみた。最近ネットでちょっと名前を知ったまゆタンのを1冊と、似たようなジャンルのを Amazon で検索して北川みゆきの「罪に濡れたふたり」(文庫版)を3巻まで。

この「罪に濡れたふたり」がなかなか良かった。あまりにも良かったので、以下感想文。

このマンガは姉弟相姦モノなんだけど、常識的な方向に話を持って行くのでもなく、かといって成人向け18禁エロな方向に落ちてしまうのでもなく、その両方を全力でぶつけあってガチンコ勝負に出ている。絵は完全に少女マンガで描写もたいしてエロくはないんだけど、話の展開がかなりエロ。「私たち姉と弟なんです、でも姉弟でセックスしたいんです!!」という主人公二人と、「そんな不道徳なこと許されるわけねーだろ、おまえら普通じゃねーよ!!」という周囲の常識的反応の、真っ向勝負。

前述のとおり私は文庫版で読んでるんだが、第1巻は普通に恋愛マンガ。両親が離婚したせいで子供の頃に生き別れになった二人が、そうとは知らずにセックスしちゃって、その後、姉弟として再会。Σ( ̄□ ̄; えっ!? あたしら姉弟だったのっ!? という……。え、普通じゃないですか。まあ姉弟で姦っちゃってるというのはアレかもしれないが、この時点ではまだ、目先の変わったテーマを持ってきたって程度。言っちゃ何だがハッタリの域を出ない。で、お互い好きなんだけど、でも姉弟じゃ無理だし、でもやっぱりあきらめられないし……という、少女マンガにありがちな、どっちつかずにフラフラする展開。あなたが、あなたでなかったら良かったのに、という、まあロミオとジュリエットなお話。うーん、こんなものか、って感想。とりあえず第1巻までは。

で、第2巻。個人的にここから神展開。

えっと、コミックス累計で数百万部も売れたという有名なマンガらしいんで、いまさら私がネタバレしようが構わないよね? んじゃネタバレしまくりながら感想文いくよ。

まず、周囲にバレます。主人公二人(香純(かすみ)/姉、由貴(よしき)/弟)には、まあ当然ながらそれぞれ片思いでくっついてる脇役がいるんだが、その脇役2名(和樹、恭子)それぞれが「あいつら姉弟でデキてる」と察知。まあ和樹のほうは第1巻の最後のほうで、すでに気づき始めてたが。

「ああ、そうだな。普通の姉弟だって旅行くらい行くかもな!」「でも違うだろ? お前達は普通じゃないよな?」とか。

「結婚しないんじゃない、できないんでしょ。あなたたち二人は!」「でなきゃ頭がおかしくなっちゃったのよ。だって、あなた達二人は…っ」「姉弟なのよ…?」とか。

近親相姦まっしぐらの主人公二人に対し、脇役二人は真面目に常識を提示するわけだが、そうやって真面目に常識を提示されるとなおさら背徳的シチュエーションがくっきりはっきり意識されて、エロさがよけい際だつ。

というか、バレた時の主人公側の反応もすごいな。「二人は絶対、結婚なんかできないのよ。あなた達を許す人なんて誰もいないわ」「わかってる」「あなたの夢だった考古学の道も失くなるかもしれないのよ」「そうかもしれない」。迷いがあったのは第1巻だけで、2巻以降はもう、如何にして姉弟でくっつくか、周囲が如何にしてそれを邪魔するかという展開になっている。バレたんでかえって覚悟が決まったかのかもしれないが、とりあえずバレてるのは脇役二人までなんで、それ以上延焼するような事すんなよと読んでるこっちがヒヤヒヤする。

そして定番とも言える「戸籍を調べてみました」イベントもこの巻で発生。まあ、これは……、実は義理でしたフラグだよね。しょーがないよね、少女マンガなんだし。うん。……などとヌルイ展開にはならないのが、すごい。戸籍謄本を見る香純。で、その次のページが見開きでベタ。完全真っ黒。なにがあった。

普通なら(って何にとっての普通かわからんが)こういう「実は義理の姉弟」とかいう逃げ道は最後までとっておくものだろうに、もうここで自分で逃げ道を塞いでしまうという展開。そうくるか。なんにもしなきゃ読者だって普通に姉弟だと思ってるだろうに、わざわざイベント起こしてまで「姉弟です、それ以外の可能性はありません」と強調してくれる。うおお。

さらに第3巻。親にバレる。

おいおいおい、そこまでやるか。たいてい近親相姦モノだと、親バレの可能性自体をスルーするか、全力を挙げてバレないように誤魔化すんじゃないのか。が、このマンガは真っ正面から親バレを描く。

バレたらさすがにマズイだろう。そんなの当たり前だ。しかしその当たり前をやられると、激しくスリルがある。しかも一度は「しゃべっちまった、おふくろさんに」「(でも)大笑いして全然本気にされなかった」と安心させておいて、「お母さん、あたし達の関係知ってるのよ」「荷物もってなかったでしょ。仕事で急用なんてウソよ」と突き落とす。来る、来る、来る、と思わせておいて来ない、と安心したところへいきなり来る! ホラー映画的展開。

その他、台詞回しやモノローグなんかも、いちいち地味にエロかったりするなあ。「一度は出て行ったのよ」「だって間違ってるでしょ。あたし達、姉弟だもん」「どうしてかなあ。戻って来ちゃったの。どうしてかな、由貴……」とか。「弟とセックスしそこねた後、笑って母親と話してる――――あたしが親ならこんな娘いらない」とか。

まだ3巻までしか読んでないわけだが、これはもう全部読むしかないな。通常版は全18巻だそうだが、文庫版だとどのくらいになるやら……10巻くらいかな?

とは言え。ここまで読んで思ったんだが、もしこのマンガが成年向け18禁エロな雑誌に掲載されてたら、ここまで「すげえ」とは思わなかったかも知れない。これって少女マンガだからこそ「おい本当にそこまでやるのか?」って気になるけど、成年向けエロだったら「そこまでやるのは普通だよな。フーン」てことになりそうな気がする。ストーリーの組み立てとかで心理的にエロを読ませる構成になってるとはいえ、感動3割減くらいにはなっちゃうかも。エロいのが当たり前かどうか、という環境要因は無視できないと思う。

そしてもう1つ。当たり前のことを正面からきちんと描写するって、心理戦としてはけっこう有効かもしれない。近親相姦は背徳的な行為だけど、「周囲にバレたらヤバイ」→「具体的にどうヤバイのか」、「親にバレたらヤバイ」→「具体的にどうヤバイのか」といった事柄を描写すると、それが如何に背徳的で反倫理的行為かってのが強調されることになる。いいなこれ。自分でもこの手を使ってみる……というような気力は今のとこ無いが。○| ̄|_

たくさん書いたら疲れた。ふう。

さて、またしばらく冬眠するか。おやすみ。

……あ、日付変わっちゃった。


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