途中で挫折したけど、もったいないので書いたとこまでアップしておくことにする。
春になると、緑が恋しくなる。
風が運んでくる新芽の香りに身をまかせ、真紀は大きく息を吸い込んだ。春の空は透明で高く、きらめく陽光が、さやめく広大な草原に降りそそいでいる。足下の若い緑からは、湿った土の匂いが立ち上ってくる。目覚めようとしている生命の匂いだ。その輝きと微風と香りの世界を、乗馬服を身につけた真紀は、ゆったりと歩む馬の背に揺られつつ満喫していた。
「なんだか、しあわせ……」
つい、そんな言葉が漏れた。
「わはははは、そりゃあまた……」馬の引き綱をとって先導してくれている男が、真紀の言葉に笑った。「……ごたいそうなお言葉ですなあ」
「あら……、つい……」はにかみつつも、真紀の顔にも微笑みが浮かんだ。
しあわせなのは、事実だった。自然に囲まれたこの場所で、大きな馬に身体を預けていると、なにもかもが透明になって消えてゆくかのようだ。普段のささいな予定や考え事が、そよ風に頬を撫でられただけのような些末な事柄に思えてくる。目を閉じると、全身に浴びた陽光が自分をあぶるのが感じられた。一歩ごとに揺れる馬の背中が腰を押し上げ、きつめの乗馬服がかすかに身体を締めつける。
ゴールデンウィークに合わせた、ごく小規模な乗馬ツアーだった。実際にはツアーというほど大層なものでもない。地方の小さな牧場が企画した、まあ十中八九今年かぎりの思いつき企画。バス路線もなく、鉄道の最寄り駅から車で70分の小さな牧場だ。陽当たりが良くて自然がいっぱい。でも他に見るものもない、一泊二日食事付きの乗馬ツアー。牧場の生活を体験してみよう!!
まあ、参加者が少なそうだということは、ツアーの広告を見て一目でわかった。“3組様限定”とあったが、真紀が申し込みの電話をしたときの応対ぶりでは、申込期限の締め切り直前だったにもかかわらず彼女が最初の申込者だったようだ。そして唯一の申込者でもあったことが、現地についてから判明したわけだが、真紀にとってそれはむしろありがたいことだった。
今年の3月に結婚したばかりだというのに、夫はさっそく会社に泊まり込みで仕事に没頭している。ゴールデンウィークは、今度の新システムを総合テストするための最後のチャンスなのだとか。新婚旅行もまだだというのに、ご苦労様としか言いようがない。
真紀のほうも、結婚のための準備やら式本番やら後始末やらで、ここ1年ほどだいぶ疲れがたまっていた。正直、人間関係はもうこりごり、という気持ちだったのだ。式の後始末がひと段落ついた時期の、夫もいない長い休日。人気のない牧場で一泊二日の旅行というのは、今の真紀にとって最高のバカンスだ。ここには草も、木も、馬も、山も、空も、すべてがある。そして人間だけは、必要最小限しかいない。なんという、しあわせ……。
厩舎に戻ってきたころには、だいぶ日も傾いてきていた。乗馬(もちろん、引き綱を引いてもらって)だけでなく、真紀が自分で馬を牽いてみたり、ちょっとニンジンを食べさせてあげたり、ずいぶんと楽しい思いをさせてもらった。人間関係はうんざりだが、人なつっこくて無邪気な馬の相手をするのは、新鮮な楽しさがあった。
厩舎には、留守番をしている厩務員がもう1人残っているだけだった。
「ちゃ、社長はまだ、戻んねぇか」
真紀たちを迎えに出た若い厩務員に、ずっと真紀の相手をしてくれていた中年の厩務員が声をかけた。真紀の前なので抑えているのだろうが、声の抑揚は方言丸出しなのが妙に可笑しい。
「んん、今夜は泊まりになるっと、んん、電話あった」
「奥さんも?」
「んん、奥さんもだ」
「ちゃ、しょうがねえ。そろそろ、馬、たのむわ」
「んん、わかった」
若い厩務員はそのまま、厩舎裏にある小さめの牧場のほうへ去っていった。小さいとはいえ周囲を囲む柵は高く、ぜったいに馬が跳び越えられないようになっている。よほど人手のない牧場なのだろう。見張りがなくても馬が逃げられないように、というわけだ。
「それでは、ああ、馬を厩舎に戻しますんで」中年のほうが真紀を振り返って言った。「仕切の中に入れるとこまで、いっしょにやりましょう」
「はい」
真紀は男といっしょに引き綱をとって、馬を厩舎の中へと導いた。
「どうですかあ、馬は」薄暗い厩舎の中を、馬を牽きながら男が訊いた。蛍光灯もない厩舎で、黄色っぽい裸電球がこちらに1つ、あちらに1つと、天井近くから弱々しい光をはなっている。「馬に乗るのは、おもしろいですか」
「ええ、とっても!!」真紀は答えた。まだ、馬の背に揺られていたときの幸福感が余韻となって残っているようだった。「なんていうか、すっごく楽しかったです」
「そりゃあ、よかった」薄暗がりの中で、男は笑ったようだった。「それじゃあ、ついでだから、もうちょっとおもしろいものを見せますか」
「え……?」
彼は引き綱をとると、厩舎の中の、そこだけぽっかりと広間のようになっている場所へ馬を連れて行った。たぶん、厩務員たちのたまり場か何かなのだろう。木作りの、背もたれもない長椅子が壁際に押しつけてある。隅のほうには簡単な流しらしいものがあるが、火の気は無いようだ。
「ようし、よし、お前ぇは頭良いやつだから、おとなしくしてろよ」
引き綱を近くの仕切の柵に結ぶと、男は可愛いそうに馬の頭を撫でた。
「さぁて、お客さん、よおく見てなよ」
男は馬の足下にしゃがみ込むと、馬の腹を下から覗きあげるようにして手をさしのべた。真紀は息をひそめた。何をする気だろう? 男の手が馬の下腹部を揉んでいる。やがてそこから……真紀は顔が火照るのを感じた……馬の“そこ”がはっきりと棒状に突き出てくるのが見て取れた。極太のソーセージのような“それ”が、力無く、けだるそうに股間から垂れ下がり、ずるりずるりと長さを増してゆく。
って、ここまで書いて挫折した。
書き始めたのは4月5日だったんだけど、書いてるうちに疲れて眠くなってきたんで「ま、後で書き足せばいーか」と中断したのが良くなかったようだ。翌日にはもう熱が醒めちゃって、ぜんぜん書き足す気にならない。そうこうしてるうちに、今日はもう10日。あきらめて白旗あげることにする。(-_-)P~~
最近、エロ小説/妄想について思うこと。
なんていうか書いてると「結局、動物のペニスが挿入されて射精する話だろ」と、あまりと言えばあまりな簡略化した感想を自分で持ってしまう。前フリがどうであれ、最終的にはそこに行き着くわけだから、まあ間違ってはいないのだが。もしかしてこれが「シチュエーションは出尽くした」とかいう状態なのだろうか。違うか。微妙に斜め上な気がするから、たぶん違うだろう。
問題はしかしシチュエーションがどうこうではなく、「結局、おんなじような話だよな」と自分で思ってしまうという部分にある。つまり飽きがきている。実際に同じような話かどうかは関係なくて(つーか、実際にどうなのかを自分では判断できない状態)、自分の眼には「同じような話」と映ってしまう。そして「同じような話なら、作る必要なんか無いよなあ」と言うことになる。
自分でもこれは何かアレな状態になっているということは感じるのだが……。
上記の自分の感想が、必ずしも正しいものでは無い、ということは、割と簡単に証明できる。(1)そもそもエロ小説というやつは、つまるところ「男と女がセックスする話」なわけで。(2)じゃあそれで全てのエロ小説が「同じような話だ」と感じられるかというと、そういう訳でもない。(3)ということは、獣姦ネタの場合も同じではない話を作れるはずだ。以上、証明終わり。
証明になってるかな、これ? なんか穴がありそうな気もするが。まあ、いいや。(^_^;
証明なんかどうでもいいが、この状態から脱出する方法はあるのだろうか。そっちのほうが問題だ。
とりあえず思いつく脱出方法。
同じように思えるから飽きたのではなくて、飽きたから同じように思えるのだ、という可能性もあるなあ。まあサイト立ち上げて以来、ほとんど毎日、そういうネタをこねくり回してたわけだし(実際に文章に出来なかったのがほとんどだが)。
まあ、いいや。どうにかなるだろう。次の波に乗ればいいだけだ、って事にしておくか。
それはそうと、妖精さん妖精さん、私に(以下略)。