【第1話】第1話


もうもうと立ち昇る湯気が星の夜空に掻き消える露天風呂に、少女達の華やかな話し声が響いてきていた。

やり〜っ♪

猿を追って藪の中を掻き分けてきた私は、思わぬ拾い物に、思わず息をひそめて心に喝采を叫ぶ。

猿どころではなかった。この穴交町では、猿はどこででも見る事が出来るが、女の子達の入浴シーンなどは、どこに行ってもなかなかお目に掛かれるものではない。

私は夜陰に紛れて、明るい方にこっそり近付いた。

その露天風呂は旅館の近くに人工的に施設された物で、露天風呂というくらいだから当然屋外に剥き出しであるのだが、洗い場が最近では珍しい板張りで、その板張りの中央に岩が突出して湯槽を形作っているのだった。

周囲は木々に囲まれて真っ暗だが、その板張りの四隅に設置された照明が、立ちこもる湯気に乱反射して、そこだけ昼のように明るい。それ故、影に隠れて覗くと、風呂に入っている客からはまず見つからない。ここらでは有名な覗きスポットなのだ。ただ、あまりにも覗きに適し過ぎているため、若い子が実際に入ってくる事はほぼ皆無であった。まさかこのような幸運に恵まれるとは、予想だにしない事である。

最初、話し声がしている、というだけで、話の内容まではよくわからなかったが、近付くにつれ、次第に何を話しているのかわかるようになってきた。

「なーにー?佐和さん、オナニーもした事ないのー?」

「えー、マジー?信じらんねー。ぶってんじゃねーのぉ?」

おお。

いきなり期待の盛り上がる話題。

覗き込むと、いずれも高校生よりちょっと子供っぽい感じだが、身体の発育はすでに女の子のそれで、見た所、中学生、といった感じか。5人の少女が、1人の少女を取り囲んでいる様子だった。

おそらく修学旅行の子達だろう。今日、どこかの中学校が修学旅行で、この露天風呂の背景に見えている旅館に宿泊しているという情報を、私は思い出した。

私はこの穴交町の私立穴交大学の教授だ。そこで動物行動学を教えている。であると同時に、ネットではわりと名の知れたデバガメだった。覗きも、私くらいベテランになると、覗きスポットの情報が、向こうから勝手に集まってくるようになる。ちなみに私のハンドルネームは、「覗亀頭(のぞきがしら)」君だった。

湯気の向こうに見える、若すぎる肌は、遠目に見ても瑞々しく、まるで夢のようなピンク色だった。色の濃い薄いの個人差はあるが、色の濃い子でも、浅黒いというよりは、溌剌とした小麦色で、これはこれで健康的な色香を放っている。幼さを残しながらも、十分な弾力と感度を想像させる彼女達の胸の膨らみに、私は早くも激しく張り詰めだす己自身を感じていた。

5人の少女達は、温泉の中に階段状にしつらえられた岩場の縁に腰かけて腰湯で浸かっていたり、お湯の外の岩に腰かけて足でパチャパチャしながら火照った身体を冷ましていたりと、思い思いの格好でくつろいでいた。それに対して、佐和と呼ばれた一人の少女は、彼女達に取り囲まれて脅えたようにお湯の中に立ちつくし、タオルで身体を隠すようにしている。お湯の深さは、その女の子の腰下あたりまでしかなかったから、タオルがなければギリギリで股間が見えるくらいだ。タオルで隠しているのが誠に遺憾である。

おとなしい印象が大人びて見えるのか、肩にかかる髪が濡れてへばりついた様が、妙に色っぽく見えた。

「ちょっと、こん中でオナニーした事ない奴っているー?」

「ありえねー」

「ちょー、それってヤバくない?佐和さん、かわいそーじゃん。アタシらでオナニーの仕方、教えてあげた方がいくない?」

「だよねー。なんたってほら、アタシら、お友達だしー?」

ドッと笑い声が起こる。

「圭奈、マジ、それ、面白すぎだって」

圭奈と呼ばれたその子は、5人の中でも群を抜いて可愛い女の子だった。胸も発達途中ながらなかなかの美乳だ。むしろ発達途中ならではの危げな敏感さを秘めて、感度良さそうにすら見えるようだった。髪を肩に届かない程の長さで切りそろえた美しい顔は、言動のせいか、多少きつめの雰囲気があるが、それがまた、かえって男の征服欲混じりの妄想を刺激する。

圭奈は、湯面の縁の岩場に座ってニヤニヤしながら

「んじゃあまず、オッパイ揉んで」

と、佐和というその女の子に向かって言った。

女の子達の間で、密やかな忍び笑いが交わされる。

どうもあの佐和という女の子は苛めを受けているようだ。こうなってくると、下の名前も知りたくなってくる。よし、歩美という名前にしよう。

佐和歩美。

いい名前だ。

私は勝手に女の子に名前をつけて喜んだ。

「ゆかりー、もしかしたらタオル邪魔かもー。タオル持ってやったらー?」

「んだねー」

そうだあ、いけー!

心の中でその女の子の主張を全面的に肯定する。

褐色に日焼けした少女が腰湯で浸かっていたお湯から立ち上がった。歩美は、ビクリとして後退りしかけたが、ゆかりはかまわずタオルを取り去った。

白い肌が露わになる。今はその白い肌が蒸気に蒸れて赤みを差し、それがいかにも恥じらっているようで、ぞくぞくするほどかわいい。それに、胸が大きい。大き過ぎるという事はないが、この中では一番大きいのではないだろうか。片手でその大きな胸をぎゅっと隠し、もう片方の手で股間を隠してもじもじしていると、別の女の子が

「ほらぁ、さっさとやれよぉ」

と催促し始めた。すると

「もしかしたらさぁ、やり方わかんないんじゃない?佐和さん、おしとやかだし」

と更に別の女の子が口を挟む。

「ちょっと、教えたげる?」

口調は歩美に語りかけるものだったが、目は明らかに圭奈の方を窺(うかが)っていた。

「河合、教えて上げたらー?」

圭奈にそう言われてから、その女の子はいそいそと歩美の背後に回った。

どうもこの圭奈という女の子が、この子達の間でリーダー的な存在であるらしい。その事が、私にもようやくおぼろげながらわかってきた。

微かな抵抗を示して身動(みじろ)ぎする歩美の身体を、後ろから伸び出てきたしなやかな両手が、抱きすくめるように少女の豊乳に迫る。

「あ、や・・・」

歩美は他人に敏感な場所を触られる恥ずかしさに、か細く悲鳴を上げた。

「ほらぁ、お手てが邪魔」

胸を守ろうとする歩美の手を、河合の腕が邪険に振り払う。河合は少女の可憐な乳房をわし掴みにしながらも、同性ならではの優しい手付きで揉みしだいた。

「ん、・・・く」

歩美はそれでも河合の手の上に自分の手を重ね、あきらめ悪く形ばかりの抵抗を示して見せる。が、声を押し殺して恥辱を耐えるその様は、かえって感じてしまってるのを強調しているようだ。

「うわ。マジで感じてるよ、この子」

「何こいつ。ありえねー」

「顔真っ赤にしてさあ。佐和さん、なんか、やらしーよね」

殊更に侮蔑の言葉を放り投げて、歩美を内側から辱める。

「ち、ちがぅ・・・ふはぁ」

あゆみは否定の言葉を口にしようとしたが、同級生の繊細な指使いに乳首を捕らえられてクリクリ弄繰(いじく)り回されると、それも弱々しくたなびいて、ついには掻き消えてしまった。

「いくらオッパイ揉まれてるからってさあ、人に見られてんのに、気持ち良くなるかぁ?フツー」

「見られてんのがいいんじゃないの?」

圭奈が口の端を歪めて、バカにしたように言う。

他の女の子達は、一瞬顔を見合わせて、笑い声をたてた。

「え?なに?佐和さん、露出狂?」

「うひゃ〜、変態ちっくぅ」

はやしたてている少女達の方も、情欲の昂ぶりを如実に示して、淫靡に顔が赤くなってきていた。

「うう・・・うっ、ぅうう」

歩美の悩ましい呻き声が次第に潤みを帯びていき、やがて悔しげな涙声に変わってくる。

「あらら。ちょっと、この子。泣いてんじゃないのぉ?」

「へぇ、佐和さん、男の前以外でも泣くんだー」

「あれじゃない。気持ち良すぎて泣いてんじゃないのぉ?」

「泣くほど気持ち良いってか?」

「こんなのでこんなに感じちゃってるんじゃ、クリちゃん弄ってやったら、どうなっちゃうんだろうねー」

圭奈のその言葉を聞いて、歩美はドキッとしたように微かに腰を引いた。

「あ、見た見た?いま腰引いたぜ、この女」

「なんだ。わかってんじゃん。やっぱりぶってたんだー」

「河合ぃ、もういーんじゃねー?自分でやらせたら」

「そう?」

河合が離れる。

「ほらあ。何やってんだよー。さっさとクリちゃん触れよお」

揶揄され、真っ赤になった歩美は両側に垂れ下がった手の指をピクピクさせながら、決心しかねているようだった。きっと、本当は身体は、そこに触りたがっているのに違いない。だが、同級生の目の前だから、思い切る事が出来ないのだ。私はそう、分析した。

圭奈は立っていって、歩美に近付いた。いつの間に手に取ったのか、その手には乳液のビンらしい物が握られていた。

蓋が球状で、こけしのような形をしている。それを左手に持ち替えて、右手で歩美の顎を掴んだ。

「佐和さん、ナニ調子こいてんの?ん?もしかして、ナメてる?」

「うぅ・・・」

歩美は驚いて声も出せない。首だけで頭を振る。

「じゃあ、私がやれって言ってんのに、さっさとやらないのはなんで?ねぇ、なんで?」

言いながら、圭奈は乳液のビンを歩美の口に捩じ込んでいった。そして、強制的にフェラチオさせるみたいに、ゆっくりと出し入れさせる。

「いい形してるでしょ。なんならこれで初体験しちゃう?ほら、ほら、ほぉら。ねぇ、どうすんの。ほぉら。ほぉら。さっさと決めないと入れちゃうよ」

「ん・・・んぅ・・」

圭奈が顎を掴んでいた手を離したが、歩美は苦しげに呻きながらも口に突っ込まれた乳液のビンを吐き出さなかった。

吐き出したら、即座にそれを下の口に挿入される。

そう思ったのかも知れない。

いや、そうでなくとも、そんな逆らうようなマネ、怖くてとても出来なかったろう。苛められっ子とは、そうしたものだ。

ついに観念して、歩美の右手が動きだした。自らの股間に向かって、にじり寄っていく。

敏感な肉豆のあるあたりを中指と人差し指の間に捉え、おずおずといった様子で揉み始める。

「うわ、やべ。本当にオナニー始めちゃったよ。やべー」

「ほらほらぁ。バリ知ってんじゃーん、カッコつけてーっ。ハズーい!」

「てゆーかてゆーかあ、変態っしょ。ドスケベのくせにさぁ、生意気にぶってんの。ちょー、バカくね?」

散々に罵られ、歩美は炎が風に煽られるように興奮を煽られ、耳の付け根まで顔を真っ赤にした。

口を塞がれているので、必然的に鼻息が荒くなる。だが、今はそれが、興奮でよけいに激しくなってきているようだった。

腰が断続的にヒクつきだしている。ヒクッと反応して、しばらくしてまたヒクッと反応する。その間隔が短くなっていくにつれ、肉豆をこねくる手付きも、次第に熱のこもったものになってきていた。

熱した額を、いく筋もの汗が流れ落ちていく。かすかに震え戦く華奢な肩。少女の身体が昂ぶっていく様が、手に取るようにわかる。私は歩美の絶頂に達するのを、息を詰めて待った。と、その時、不意に圭奈の手が伸びて、歩美の手指をそこから引き剥がした。

「んふぅ・・・っ」

切なげな声が歩美の口から漏れる。

「ちょっと、なにイこうとしてんのよ。みんなに見られてんのよ? 全く、信じらんない。オナニーしろとは言ったけど、誰もイッていいなんて言ってないでしょ」

「おいおいおい、マジィ?おしとやかどころか、とんでもねぇド変態じゃん」

「こりゃ号外もんだね」

「号外もん?」

「そ。だって、こんなの、みんなにも教えてあげなきゃでしょ」

「ぎゃはははっ!それいい!『佐和さん、露天風呂でオナニー!』『絶頂寸前で同級生に止められ・・・』みたいな?」

「んう、んううっっ・・・んふぁぅ・・・」

圭奈は乳液のビンの猿轡から、歩美を解放してやった。唾液の糸を引かせながら

「そ、そんな事・・・」

と狼狽(うろた)えた声で歩美が抗議しようとする。だかそれも、歩美の下半身に向かった圭奈の手指によって断ち切られた。

「ひゃうっ・・・!」

反射的に押さえ込んだ悲鳴が、変な風に響く。

「いやだ。ビショ濡れじゃないの。ホントに処女ぉ?」

「や、やめてください」

腰を僅かに左右に振って懇願する声は、消え入るかのように細い。

「クリちゃんもこんなに尖らせちゃって。処女とは思えないなあ。ん?どーよ」

「あ、あ、あぁ、しょ、処女です。あぁんっ、やめ、やめて、ください」

イキそうになった事を散々バカにされたためか、歩美は執拗に「やめて」という言葉を繰り返す。だがそれとは裏腹に、身体の方はさっきよりも速い勢いで駆け昇ってきているようだった。

だが寸前になると、やはり圭奈は手をスッと引いてしまう。

「うくぅ」

「ほらほら、ホントの事言いなさいよ。アンタねー、こんなに感じてるくせに、これでヤッてないだなんて、信じられるわけないでしょ」

「ホ、ホントに、私、そ、そんな事・・・あぁ、も、もう、ゆる、し・・・ん、ふぅっ」

「ふーん。あ、そう。じゃ、いいわ。良い具合に濡れてきたみたいだし、ついでに初体験させてあげるわよ」

褐色のゆかりが意地悪そうに笑う。

「んだねー。佐和さんも腰動かしたりして、たまんないぃーって感じだし、いんじゃない?」

ショートカットの女の子がギャハハと笑った。

「いきなり乳液のビンで処女喪失ってか?」

ぞくっ、と、一際大きな戦きが、歩美の背筋を駆け抜けるのを私は見た。

「や、いや・・・お願い・・・」

恐怖でうまく言葉が喋れないみたいで、懇願の言葉もうわ言のようになってしまっている。

「まさか。初体験がこんなんじゃ、いくら佐和さんだってかわいそーでしょ。やっぱ初体験はナマじゃなきゃ」

「どーすんの?旅館から適当なオヤジ連れてくる?」

と河合が半笑いを浮かべて言った。

「そんなの連れてこなくたって、ほら、そこに似たようなのがいるじゃん」

圭奈は視線を湯槽の隅の方に走らせた。他の女の子達もそちらを向く。私も、つられるようにして、そっちを見た。

そして、あっと声を上げそうになった。

そこに、私の追ってきた猿、ケンタがいたのだ。

いつの間にそこにいたのだろう。湯船につかって目を細め、気持ち良さそうにしている。

ケンタは穴交町名物「けっこう猿軍団」のリーダー猿だった。つまり、猿回しの猿だ。ここ、穴交町は、町中を猿が普通に徘徊している事で有名だが、いくら頭が良いとはいえ、通常、猿回しの猿が単独で夜中にヒョコヒョコ出歩くなどは、有り得ない。私は夜の町で彼の姿を見付けて、興味を惹かれ、ここまで追ってきたのだった。すっかり忘れていたが。

しかし・・・

歩美に初体験させてやると言って露天風呂に入りにきた猿の方に目を向けて、圭奈は一体、どうするつもりなのだろうか。

私は激しい期待に、ドキドキと胸を高鳴らせた。

ケンタを含む、この穴交町の猿達は、アイブザルという、穴交町だけに生息する、いわゆる固有種だ。アイブザルは私の研究対象であり、私自身、アイブザル研究では、自ら第一人者と自認している。自ら、というのは、学会ではまだ、「穴交町の猿は普通のニホンザルと別種である」という私の学説が認められていないからだった。アイブザルという名称も、私が命名したものである。

その名が示す通り、アイブザルは交尾において、単に交わるだけでなく、愛撫のような行為を行う。いや、はっきり愛撫と言っていいだろう。それはヒトにも劣らぬ高度で淫らな営みであった。クンニリングス、フェラチオ、そして驚くべき事に、言葉責めまでするのだ。

生殖目的に寄らない性交渉を行う猿というのでは、ボノボが最も有名だが、アイブザルの性行為では、生殖目的に寄らないという事はまず考えられない。アイブザルの場合、性的快感には必ず、生殖目的、即ち、「孕ませる」という事が含まれるのだ。しかし、アイブザルの知能はそのボノボをはるかに凌駕する、というのが私の持論だった。

もしも圭奈が本気であれば、それは即ち・・・

「おー、獣姦だ獣姦だ♪」

私は心の中で喝采を叫んだ。

自慢ではないがこの竹本、実は獣姦画像のコレクションでもちょっとしたものなのだ。つまり全然ストライク。ここまでくると、もはや変態の神様が私に味方しているという他ないであろう。

しかも、彼女達は当然の事知らないのだろうが、彼女が目を向けたのは他でもない、あの、アイブザルなのだ。

アイブザルが人間の女を襲ったという例はこれまでなかったが、しかしアイブザルたちの淫らな交尾を観るにつけ、私はいつも必ず夢想しないではいられなかった。アレが、あの陰湿でありながらしかもなお野獣らしい彼らの荒々しい性欲が、もしも女の子に向けられたら、と。

他に何を期待する事があるだろう。

圭奈は温泉の中に入っていって歩美の腕を取ると、ザブザブお湯を腰で掻き分けるようにして、ケンタの方に向かっていった。私も、露天風呂の敷地を回り込む樹々の陰の中を巡って、ケンタの背後に場所を移した。

「い、いやっ、や、やめっ」

断続的に途切れる弱々しい拒絶の声を上げて、小さくかぶりを振るように歩美が抵抗する。檻に入れられているわけでもなく、紐で繋がれているわけでもない猿の側に寄るという行為は、それだけでも怖いだろうに、その猿に犯させるというのだ。彼女の恐怖と嫌悪を思うと、いやが上にも男根に力が入る。

ケンタはビクリとして立ち上がっていた。ケンタにしてみれば、相手が自分に危害を加えるつもりがあるのかないのか、この段階では何もわからないのであるから、警戒するのが当たり前であろう。

ケンタはかなり大きめの猿だった。少女達より多少背が低いくらいだろう。立ち上がると、水面が腹部の辺りまでになった。

「あれぇ?やっだー、なにこのサル。ちょっと大きくなってるぅ」

圭奈が嬉しそうな声を上げる。

なんと。

私の方からはその様は見えない。ケンタは少女の恥ずかしい姿を目の前にして、早くも興奮しつつあるというのか。

私は想像の羽根をひろげて、ケンタの心中に思いを馳せた。

大事な所が見えないのに、いつまでも私の視点でズラズラ書き続けていてもしかたがない。どうせ想像で書くしかないのであれば、ここからはいっその事、ケンタの視点で書き綴ってやろう。



・・・温泉の向こうの方でキャイキャイ騒いでいた人間様の女の子達の中から、2人の少女がケンタに近付いてくる。片方が嫌がってて、もう片方の少女の方が、その嫌がっている少女をムリヤリ引っ張ってきているのは、ケンタの目から見ても明らかだった。



なんだなんだなんだ



何の用だ何の用だ何の用だ

頭の中で警戒警報が鳴り響き、ケンタは思わず湯船から立ち上がった。

しかし目は釘付けだ。二人ともいい身体をしている。柔らかそうなオッパイ。少女特有の初々しい身体の稜線。ピチピチした肌。しかも、ケンタの最も興味を惹かれる、毛の薄いその股間すら露わにしているのだ。

猿舎を抜け出して、たまにこの温泉に来る事はあるが、こんな若い女の子が入って来る事はほとんどなかったし、ましてこんなに近くでその無防備な身体を見せられるなどは初めての事だった。

ケンタの牡が即座に反応し始めている。

「あれぇ?やっだー、なにこのサル。ちょっと大きくなってるぅ」

腕を引っ張っている方の女の子・圭奈が、言いながら、連れてきた女の子・歩美の身体を盾にするように後ろに回った。

「ほら。わかるでしょ。この猿、生意気に私らの身体見て勃起(た)っちゃってんの」

湯気立つ水面の下に、発射準備完了したミサイルのように真っ直ぐ歩美の方に弾頭を向けた、獣の男根が見える。怯えた表情でソレに目を向けた歩美に、圭奈は畳みかけるように言った。

「初めての相手がこんなデカチンなんて、運良いじゃん。ほら、早く触ってやりなよ」

歩美の右手を後ろから掴んで、持ち上げようとする。

歩美がハッと驚いてそれに抵抗する。

圭奈の左手が、すかさず反対側から回り出てきて、歩美の股間の中心を急襲した。

「はくぅ!」

突っつかれた魚のように歩美が反応する。その瞬間、抵抗していた腕の力が抜けて、歩美の手がケンタの男根に触れさせられた。

熱い。

温かい温泉の中ですら、なお熱く感じてしまう、獣欲の高まりであった。

「あ、あ、あっ、安藤さん、や、やめてっ、はっ、あ、ぁぁ・・・」

歩美は圭奈を苗字で呼んで、クリトリスの捏ね繰り回されるのがわかるような喘ぎ声で懇願した。手を引っ込めようとするが、次々と襲い来る快感に蝕まれて、力が入らない。

ケンタは動かなかった。半立ちのモノを少女の手に柔らかく触られ、針のような鋭い快感が駆け抜ける。

警戒心の壁に衝撃が走り、ひび割れたその狭間から、欲望が覗き出ていた。

「そうだ。佐和さん、手コキして上げなよ。そしたら初体験は許して上げる」

圭奈・・・安藤圭奈が歩美の耳元で囁いた。

「ん、んぅ、は・・・んうぅ」

歩美は絶え間なく身悶えを続けながら、圭奈の言葉に促されて、ケンタの男根をあらためて見詰めた。手に触れている内に、嫌悪感は薄れつつあった。それと同時に、もっとしっかり触ってみたい・・・もっとしっかり握りしめて、男性器の逞しさを確かめてみたいような気が、少し、し始めている。

この手をスライドさせればいいのだ。大した事ではない。それで許してもらえるのだ。

歩美は自分自身に言い聞かせた。

ゴクリと喉を鳴らし、おそるおそる手を動かした。

手の平に感じる、肉の隆起。それが、ピクンと反応する。

「ぁ・・・」

思いの外のその衝撃的なおぞましさに、歩美は危うく声を上げそうになる。

男根自身に力が入ってきていた。僅かに高度を上げ、水面に頭を覗かせている。

「うわあ、手コキしてるう。佐和さんが猿のチンコ握って、手コキし出したあ!」

固唾を飲んで成り行きを見守っていた他の少女たちが、ハッと我に返ったように歓声を上げた。

圭奈に耳打ちされた事を、彼女達は知らない。彼女達の目には、猿の男根を握らされて、歩美が自分から擦り出したように見えただろう。そう思うと、歩美は居たたまれないほどの恥ずかしさに襲われ、あらためて頬がカッと燃えるの感じた。

しかし、獣の牡の逞しい欲望を擦るデコボコした感触と、他人の手で肉豆を弄られる喜悦で、今や抗議する余裕は歩美にはなかった。

熱い脈動。

ケンタの男根は真っ黒だ。まるで悪魔のように見える。それが、歩美の手の中で、ピクン、ピクンッ、と断続的に亀頭を跳ね上げながら、邪まな欲望を漲(みなぎ)らせ、次第に、大きく、硬くなってくる。

ケンタの方にも、最初に感じた驚きはもはやなく、腰の中心から送り込まれてくる得も言われぬ快感に、ただただ夢中になっていた。しかし、「人間様の女の子に生殖器を擦らせている」という事が、なんとなく後ろめたい感じもする。

ケンタたち穴交町の猿にとって、人間様の女は雌ではなく、「女」という、雌とは違う別の性別だった。当然男だって、「男」であって牡ではない。

神様と猿の間に位置づく人間様を、牡だの雌だの、自分らと同じ性別で切り分ける事など、とても出来ないのだ。いや、そこまではっきりと自覚している者すら、ほとんどいまい。ただ慣習的に、盲目的に、なんの疑問を差し挟む余地とてない周知の事として、人間様の事は、犯すべからざる、一種の禁忌の事であった。

その人間様の女の子に、浅ましい肉棒を握らせているという背徳感は、そうそう拭いきれるものではない。だが、むしろそれだけに、ケンタの邪淫な思いはよけいに熱く硬く、張り詰めて、燃え盛った。

「うひゃ〜、バリ勃起(た)ってる」

圭奈はごくりと唾を飲み込んで言葉を切った。その言葉通り、いまやケンタの男根はお湯の中から完全にその威容を現し、天に向って聳え立っていた。

「ん、エッチ〜」

真っ赤になった顔を照れ隠しのように仲間の方に向けて笑って見せるが、その視界に仲間の女の子達の顔は映っていない。すぐに視線を戻した。

「あ、」声を上げてまたごくりと唾を飲み込む。

「先っちょからなんか出てきてる・・・」

「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、」

「んあっ、・・あ、ふぅ・・・くうぅ。や、あっ・・・ぁぁ!・・んぅう」

圭奈の興奮の高まりを示すように、歩美の肉芽を捏ね嬲る指の動きは次第に激しいものになっていき、歩美の喘ぎとケンタの早く短く吐き出される息が、折り重なって夜闇に響いた。

亀頭の先端からトクトク溢れ出てきた粘液が、幹を伝って歩美の上下する手指に絡み付き、ニュルニュルと淫らな汁音をたてる。

早熟ながら幼い欲望に燃えている少女達の身体。先ほどから漂い香っている雌のフェロモンのような性臭は、少女達の身体が発情している徴(しるし)だ。

ケンタはどれほど男根に力が入ろうと、精液を雌の胎内に放たなければ、もうどうにも収まらぬ気がした。人間の少女の手で擦ってもらっているのも、その衝動を煽り立てるばかりだ。

もはや疼いて疼いてどうにも堪らない。気がついた時には身体が勝手に動き出していた。

「ひっ・・・!」

驚いて歩美の手が引っ込む。圭奈もビクリとして後退った。だが突然の事にどうしていいかわからず、それ以上動けなかった。

ケンタが襲いかかる。

その襲いかかった相手は、歩美の後ろにいた圭奈だった。

「きゃ、やっ!・・・いやぁっ!!」

ケムクジャラの手に腕を捕まれ、圭奈はパニックに陥った。身体を反転させ、逃げる格好でケンタに背中を向ける。ジャバジャバと水飛沫が立ち、湯気が沸き起こった。

ケンタの目の前に差し出された、圭奈の小さな尻肉。逃げようと焦って上半身ばかりが前に出て、下半身がついてこないのだ。ケンタはヘッピリ腰になった圭奈の腰に手を乗せ、ジャバッとお湯を蹴立てて飛び上がった。

「いやっ、いやああ!たす、たすけてぇ!!」

圭奈の逃げようとする方向にいた仲間の少女たちは、驚いて温泉から上がり、板張りの洗い場で一旦立ち止まって振り返ったが、ジャバジャバお湯を掻き分け掻き分け思った通りに動かない脚でこちらに向かってくる圭奈を見ると、再び黄色い声を上げて、アタフタと脱衣場の方に逃げ出した。歩美はその様子を茫然と見守っている。

猿に直接身体を触られる恐怖とおぞましさに、圭奈ははや半べそを掻き始めていた。その圭奈の腰をさらにケンタが両手でしっかりと掴み、圭奈の上に乗り上がろうとしていた。猿の手の平のような足が、後ろから圭奈の太股をがっしり掴む。

「ひ!ひいぃ!!」

圭奈はスベスベのかわいいお尻を右に左に振って、ケンタを振り落とそうとするが、慌てているので思ったほど腰は大きく振れてなかった。しかも突然自分以外のものの体重も掛けられて、咄嗟に重心を取り直す事が出来なかった。

バランスが大きく崩れ、身体が前傾して倒れる。湯の中に腕が突っ込んでいく。四つん這いだった。今、もっともとってはいけない態勢だ。尻に棍棒のようなものがコンコンあたる度に、圭奈は呼吸困難の痙攣のような、ひぃひぃという悲鳴を上げた。

ケンタも必死である。本当はその張り詰めた肉の棍棒、少女の腰の中心に突き刺したいのだ。だが尻が不安定な動きで逃げ回るので、なかなかうまくいかない。

ケンタは欲望で頭がいっぱいだった。自分が犯そうとしているのが、人間様の女の子だという事にすら、思いが至らなくなっていた。そもそも歩美を襲わないで、圭奈に襲いかかったのだって、無意識の内の選択だったのである。

ケンタは気の強い雌がタイプであった。理想の女性は、猿回しのお姉さんだというくらいで、ちょっと高飛車なくらいの雌を、ムリヤリ屈服させるのがいいのだ。そういった事は、無意識下のレベルで多少ケンタの行動に影響していたかも知れない。

しかしいくら逃げ惑いながらの不安定な態勢とはいっても、腰は既に両手でがっしり捕まえられている。まして太股を足で掴まえる猿独特の態勢は、人間の男が後ろから襲うよりはるかに安定した体位であった。圭奈がいかに暴れようと時間の問題である。

そして、圭奈が広い湯槽をようやく渡り切って、板張りの岸に這い上がろうとした時、その瞬間はついに訪れた。

にゅ

肉の棍棒が圭奈自身に野太い先端を押し当ててくる。

「ひやああっ!だ、だめえええ」

必死の思いで板張りの上に這い上がりながら、圭奈は狂ったように腰を振り、ケンタを振り落とそうと試みた。だがやはり、身体は思ったように動かず、腰の代わりに上半身がくねるばかりだ。

にゅじゅじゅじゅ

「いっ!・・・あ・・あ・・・あっ・・あ・・・」

顔を仰向け、仕留められたように圭奈は動きを止めた。

熱くて硬い異物が圭奈の愛液にズルズル滑りながら侵入してくる。猿の男根を挿入されて始めて、自分かこれほどまでに激しく濡らしている事に気付いた。

ほとんど抵抗がない。

あっても、圭奈の力を奪ってゆくような心地好い摩擦を生じる程度のものだった。それが、中程で強い抵抗にぶつかって、止まる。

ついに処女膜に到達したのだ。

猿に処女を奪われる。

その思いが、圭奈の中に再び激しい拒絶を生んだ。その拒絶の膜を、ケンタの肉槌が力まかせにグイグイ攻め入ってくる。そしてついに

「だ、だ、だめっ・・・いや・・・うくぅー!」

重い痛みがずうんと下腹部を襲い、圭奈は戦きながら全身を緊張させた。

動物に汚されてしまった事。

猿の男根が胎内深くに埋め込まれている事。

信じられなかった。圭奈の中で、否定と現実が互いの尻尾を噛み合ってグルグル回る。

その圭奈を現実に引き戻したのは、他でもない、圭奈をしばしの自失に追い込んだ、苛酷な痛みと悪夢のような快感の、その衝撃自身であった。

子宮が突き上げられる。押し広げられて膨れた膣口に、男根の根元が密着する。

しかも圭奈には、悲しみに暮れる余裕すら与えられなかった。ケンタは衝動に突き動かされるまま、ただちにそれを引き抜き、また再び突き込むという、凌辱の反復運動を開始していたのだ。

「かはっ!かはっ!かはっ!たっ、いっ、ぃたっ!」

処女膜を破られたばかりの傷口が、野性の仮借のなさで無造作に擦り立てられる。圭奈は目の縁に涙を滲ませ、突き上げられる度に苦悶の声を上げた。

しかし信じられない気持ちはケンタも同様である。腰をひねり押し出せば、尻尾の付け根から頭の芯まで痺れさせる快感。下半身を見下ろせば、人間様独特の毛のないツルツルの尻の狭間に、己の黒い男根が、じゅっぷじゅっぷと出入りして、処女の血潮を掻き出(いだ)している。

猿の習性でケンタは十数回ほど圭奈を突き上げると、一旦引き抜いた。

ズルズルと現れた男根はドロドロに汚れ、互いの体温でホカホカと湯気をたてている。その先端からはネバネバした淫汁が糸を引いて、圭奈の陰唇との間に、淫らな吊り橋を掛けていた。

不幸な少女の、四つん這いのまま裸の肩をはぁはぁと弾ませている様が、儚げで、悲しげで、人間様の雌とは思えないほど可愛い。

もっと虐めてみたい。

もっと辱めたい。

貴い人間様なのに、ケンタはその衝動をどうにも抑えられなくなっていた。

猿の長い指が、ふやけてメコメコになった圭奈の女陰を弄る。

ちゅ・・・くちゅ・・にちゅちゅ・・・

「!・・・ん・・いや・・・いやぁ」

痛みが遠ざかると、その感触の気色悪さが再び圭奈の中に蘇った。と同時に、ヘタに抵抗するとまたあの痛苦の棍棒を捩じ込まれるのではないかというの恐怖に支配されて、身動き出来なくなってしまう。

ぷっくりピンク色した肉襞だ。それが、ケンタの無骨な指に嬲られて、様々に形を変える。血と汁でズルズルになった溝に指を這わせれば、摩擦の快感に耐えるように少女の背筋が微かに戦いた。

緩急をつけて、上下上下に何度も指を往復させる。

「う・・く・・・くふうぅ・・ん・・・」

切ない責め苦に、圭奈の小鼻が膨らんでいた。肉裂の下に覗く小さな芽が、次第次第にムクムクと立ち上がってくる。

人間様の少女は、ケンタに弄繰られて感じているのだ。

ケンタはそれを見ると激しい興奮を感じて、口を突き出し、顔を寄せていった。

ちゅ、ちゅっ、ぷちゅ

「ひぃっ・・・!」

突然急所を柔らかい唇で急襲され、圭奈は激しく反応してしまう。

だめっ

信じらんない

私・・・私・・・猿にアソコ触られて、クリちゃん、舐められてる・・・!

実際には舐められているというよりは、吸われながら、しゃぶられている、という感じだった。既に包皮からは半ば剥き出しになっていたが、それを唇の先で完全に剥き上げられ、優しく吸引されながら舌でレロレロされると、もう、腰砕けになりそうなほどの激烈な感覚が生まれた。あるいは、猿に辱められているという気持ちの悪さの中での突然の快感が、余計に強調されて感じられたのかもしれない。

「ひ・・・ひぅ・・ん・・・ぅうんん・・っく」

顔が熱い。アソコが、舐められている所が熱い。汗がタラタラと流れ、きつく閉じた口の端から、絶対人に聞かれたくない、自殺したくなるような恥ずかしい喘ぎが、次から次へと漏れ出てしまう。

一方ケンタの男根は、肉筒の余韻を粘膜神経に留めながらも、徐々に冷静さ取り戻しつつあるようだった。

激情に押し流されるような忘我の境涯から快感を味わう心地へと少しづつ移行していく中で、気がつけばケンタは、人間様の少女を犯しているというその背徳的な行為に、ほとんど罪悪感を感じていない自分を感じていた。否、罪悪感がないのではない。むしろ、背徳的であるがゆえに、それを犯す事に堪らない全能感が伴うのだ。

衝動が沸き起こる。

「いい!たっ!・・・はっ」

何の前兆もなく、甘い屈辱を再び熱い肉棒に破られ、圭奈は悲鳴を上げるのと息を飲むのを、一緒にした。

胎内の傷口を擦り立てられる刺激が、鈍い痛みとなって圭奈の下腹部を駆け抜ける。

ケンタの腰使いは仮借がなかった。圭奈が苦しめば苦しむほど、もっともっとと夢中になる。

快感への渇望というよりそれは、雌の身体をメッタ刺しに刺し貫きたいという、半ば破壊衝動にも似た情動であった。

圭奈はブルブル震えながらその責めに耐えている。

やがて再びケンタは圭奈の膣内(なか)から、節くれ立った己の黒い刀身を引き抜いた。ピンクがかった粘液がトロリ、一緒に掻き出される。

激烈な責めの次は、圭奈を恥辱の淵に陥れる執拗な愛撫だ。二本の長い指が、圭奈の最奥にまで潜り込み、ぐねぐねと折れ曲がって傷口をいたわるように膣壁を撫で摩る。

クリトリスはいやらしい刺激を期待して、背伸びするみたいにはしたなく佇立していた。

それが、ベロベロ舐められる。

「ああっ・・も、もう・・・ん、ぅぅ、・・あぅん」

何を言おうとしているのか自分でもわからないまま、何かを言おうとして声が弾む。

だが、尖りきった急所を猿の薄い長い舌でベロベロ舐められ、チュウチュウ吸われる刺激は、圭奈の期待をはるかに上回る強烈なものだった。

声がうわずり息が弾んで、言おうとしたその言葉も途絶してしまう。

猿に弄繰られるおぞましい喜悦が、膣の内側にまで波及してきて、処女を破られたばかりの新しい傷口をもジンジンと疼かせるようだった。

身体が昂ぶってくる。

だがすぐにまたそれも中断され、獣の男根が押し入ってきた。

「ひうぅっ!」

再び襲ってきた痛みに驚いて、四つん這いの身体が反り返る。

だがさすがにもう、最初ほどの激烈な痛みはなかった。痛みよりむしろ、甘い刺激に慣れかけた身体の中に、いきなり巨大な男根が侵入してきた、その驚きの方が大きい。

否、それどころか、下腹部の奥で鈍痛を訴えていた部分は、しばらく放置されていた事で、仄かな疼きを混じらせていて、そこを肉槍の傘で擦られると、痛みだけではない、なにか心地好いような、奇妙な爽快感のようなものさえ感じるようだった。だが、圭奈の意識の方が、まだそれを快感だと認める事が出来ないでいる。

歯を食い縛って顔を上げると、涙で潤んだ視界に、脱衣場のガラス戸が見えた。

そのガラスに浮かぶ、級友達の、顔。

圭奈が猿に襲われるのを見て逃げ出した少女達は、ひとまず安全な場所に逃げ込むと、助けをを呼びにいくでもなく、途端に下劣な好奇心を剥き出しにして、同級生が猿に犯される所を見物しようと、今自分達が逃げ出した所を覗き込んでいたのだった。

猿と結合している所を見られてる。

そして、猿にイタズラされて感じていたのを見られていた。

級友達の視界にある今の自分のいやらしい姿が急に意識されて、圭奈はドッと恥ずかしさが込み上げてくるのを感じた。

この距離では当然の事、表情までは読み取れない。だが、圭奈には、そこに浮かんでいるであろう侮蔑の色を、まざまざと思い浮かべる事が出来た。

「い、いやあぁ・・・っ」

思わずか細い悲鳴が上がる。身体の中をヌイヌイと抜き差しする男根の存在が、たちまち別の意味をもって圭奈の意識に迫ってくる。

それは単に苦痛をもたらすのみにあらず、圭奈を辱め、貶めるものだった。耐えていればいずれ過ぎ去る苦難ではなく、圭奈の身に永遠に刻みつけられる、汚辱の刻印であった。ぞわり

恥辱が、ダイレクトな感覚となって身体中を駆け巡る。

ぞわ、ぞわ、ぞわぞわぞわっ

それは猿の男根の刺し貫く動きと連動して幾度となく、圭奈の皮膚神経を波立たせた。

その少女の反応の変化が、ケンタの中にも伝わってくる。キュウキュウと締め付け、これ以上気持ち良くなってしまうのを必死で我慢するみたいに、肉棒にしがみついてくる、少女の膣肉。

ずるずるずるぅ

「ひうぅっ」

また引き抜かれた。

男根の肉瘤やら脈動する血管が、膣壁の密着を引き剥がして、思いの外峻烈な刺激を圭奈のそこに生じさせる。そしてまた、長い指と巧みな舌が、それにとって代わって圭奈の女芯を嬲りたてるのだ。

三本の指を器用に使って、濡れ綻んだ肉襞をヌリヌリ執拗になぞり続けながら、すっかり剥き出しになって元の肉鞘にも収まらなくなったクリトリスを、ケンタが舌で舐めしゃぶれば、圭奈は声を上げて狂おしく尻を揺らめかした。

また、ケンタが熱い鼻息を吹きかけながら、ぬちょぬちょ舌で秘孔を抉り、肉芽を指に摘んでクリクリ撫で転がすと、ブルブル身体を震わせて、まるでその耐え難い気色の良さに必死で耐えているかのような反応を示した。

そうしてひとしきり泣かせられた後、またも挿入される。

「はんんぅぅ・・ぁ・・・ぁぁあぁ・・っっ」

頭を垂れ、四つん這いになった華奢な身体を小さく震えさせて、少女は苦痛とも愉悦ともつかぬ声を細くたなびかせた。

肉棒を押し込まれる様が手に取るようにわかるような反応である。

その様を見てケンタが鼻の頭に皺を寄せ、キーキー鳴いて圭奈の小さな尻肉を叩いた。唇を反り返らせて歯茎を剥き出しにし、尻を叩いた手で撫で摩(さす)る。

これが、彼らの言葉であった。

相手の身体をこのように叩くのは、嘲笑を表し、鼻の頭に皺を寄せるのは、激しい感歎の気持ちを表す。そしてキーキー鳴くのは否定の気持ちを表現し、唇を反り返らせるのもまた、否定の気持ちを表現する。

二つの否定の表現が、どのように使い分けられているのかはまだ研究がそこまで至っていないが、驚くのは、二つ組み合わせて二重否定のような意味をもつ事になる事だ。

歯茎を剥き出すのは二人称、すなわち、「あなた」という意味だ。だが単純に相手の事を指し示しているだけではない。剥き出す場所や剥き出し方によっても細かく意味が違ってて、今のような場合は更に同時に、程度の激しい様も表すのだ。

圭奈の尻を撫で摩っているのにも、ちゃんと意味があった。そしてこれもまた、摩り方や摩っている場所によって、さまざまに意味が違う。

今の場合は、耐え切れない程の快感、といったほどの意味になるかもしれない。

「うわあ。うわあ、すげえ。いやだとかなんとか言ってたくせに、おケツ動かしちゃって、メッチャ気持ち良さげー」

人の言葉にすればこんな風になるだろうか。彼らは身体のあらゆる部分をつかって言葉責めをするのだ。

再び歯を剥き出す。そして、奥まで突っ込んだ肉棒で圭奈の内臓を掻き回すように、腰をグリングリン回転させた。

「ひううぅぅっ!」

「まだ子供のくせにオマンコもこんなにグチョグチョに濡らしちゃって。やれやれ、しょーがないなあ。これが高貴な人間様なんて、とっても見えないよ。てゆーか、これじゃまるっきり、ドスケベな雌猿じゃないかあ」

圭奈の凄艶な悲鳴に、ケンタの淫靡なジェスチャーによる言葉責めが重なる。

もしも圭奈にケンタの言葉がわかったら、あまりの恥辱にいっそ死んでしまいたくなっただろう。その言葉通り、圭奈のそこは今や熱く燃え立ち、溶け出した快感の雫が亀頭の傘に掻き出されて、板張りの床にポタポタと滴っていた。

言いながら、ケンタは自分のその言葉に、不意に胸を突かれた思いがした。何気なく放った自分自身の言葉が、それまで意識されなかった思いを、フトした弾みで突然意識の表層上に浮かび上がらせてくる事がある。

ケンタにとっては今がまさにそれだった。



そうか。人間は猿よりエライいと思っていたが、そうではないんだ。

その証拠に、俺は人間のメスを犯しているじゃないか。

ケンタは自分の黒い大きな男根が、ヌメヌメ光りながら少女の中に出たり入ったりしているのを見下ろして、今、現実に自分が人間の少女を屈服させているという事を、自分自身に強く認識させた。

少女の中の反応も、すこぶる具合が良い。まるで吸盤の中心にチンコを突っ込んでいるみたいだ。抜き差しをゆっくりにすると、膣内が何度も喉を鳴らすみたいに、気持ち良さげに蠕動しているのがはっきりとわかる。



つまり、猿だって人間の雌を犯してもいいのだ。

一つの事が“わかった”喜びに、ケンタは激しく高揚した。

否、そもそも、猿より人間の方がエライなんて、一体どうして、いつの間にそういう事になってしまったのか。先祖代代俺達はそう教えられてきたが、なぜそうなのかなんて、考えた事もなかった。

猿の牡は人間の雌を犯してもいい!

猿の牡は人間の雌を犯してもいい!

という事はつまり、人間と猿は、本来平等なのだ!



「だ、だめ。だめぇっ、・・・もう、くぁ・・く、もうぅぅ・・・おかしくなるう」

ぬっぽり、ケンタが引き抜くと、少女は涙混じりに、苦痛とも喜悦ともとれる哀願の声を挙げて身体を波打たせた。

圭奈にはケンタの言葉はわからないが、ケンタにはそれがわかる。そしてその少女の声が、男根に屈伏した雌の呻きである事も。

アイブザルの知能が並外れているというのは、決して「猿としては」といった程度の事ではないのだ。

だが、圭奈がイクまでまたず、ケンタの男根はまたも引き抜かれてしまった。狂暴に反り返った男根が、ライトの灯りをテラテラ照り返して現れ、圭奈の小さな尻がそれを追うように動いて、「うう〜ん」とむずがるように左右に揺れた。

「あはは〜、尻ふってねだってんじゃないよ。もー、いやらしいなあ。猿のチンコがそんなにいーのぉ?まあまあ、そんなに慌てないで」

アイブザルの言葉でそう言いながら、いまや欲望に爛れたように綻んで、ぽっこり暗い洞を覗かせている圭奈の陰部に、ケンタは後ろから顔を寄せた。

「ふぁ、はああ」

細長い指で内側を抉(こじ)ると、上の口は切なく鳴き声を上げ、舌の口はびっくりしたようにキュッと窄まる。そうすると必然的に猿の黒い指との狭間から、濁った粘液がジュンと絞り出された。

「うわー、締め付ける締め付ける。ここがいいの?ほらほら、ここがそんなに気持ちいい?」

とケンタが言えば、まるでその言葉がわかったかのように

「あ、あぁ・・・いい、いいぃ、ああン・・も、もう。あ、あっ、ごめんなさいごめんなさい、あ。あ、あん・・・」

はあはあ喘ぎながら屈従の言葉を発してヨガり続ける。

そうされながら、猿の突き出した唇でクリトリスを断続的にちゅっちゅと吸われ、上下左右に薙ぎ倒され、圭奈は散々に声を絞り出させられた。それでも、いや、入口の方で気持ちよくなればなるほど、奥の方の刺激を奪われた部分の疼きはよけいに高まってくるようだ。

圭奈の腰は耐え切れない欲求を溜めて、なお一層にもどかしく蠢いた。

「やれやれ、他の雌猿だって、こんなに浅ましいカッコしないよ。ほら、お待ちかねのチンコだよ」

そういってまた、ズブズブと挿入する。

挿入しては弄り回し、弄り回しては刺し貫き、ケンタはそれを延々と繰り返した。ケンタには同じ事の繰り返しでも、圭奈にとっては恥辱の快感と凌辱の苦痛が交互に責め立ててくる快楽の波状攻撃である。

絶頂の高みに追い上げられては、その寸前で中断され、また絶頂に追い上げられては中断されるという、永遠に続くかと思われるような拷問に晒され、少女の心は少しづつ壊れていっているようだった。つい一時間ほど前まで処女だったのが、今は自分から腰を使い、腹の中深くに埋め込まれた猿の逞しい男根を、自らの子宮に押しつけそれで追い回すみたいにグリグリ抉り回しているのだ。

「おおー、凄い凄い。気持ち良すぎて、わけわかんなくなっちゃってんじゃん。人間様のくせにさあ。猿にチンコ突っ込まれて、喜んで腰振ったりして。恥ずかしくないの?」

「あぁ、あ、あっ、もう。もう、もっ、もうぅ、い、い、いいっ、く、いくっ、いくっっ、いく・・・!」

もちろん、会話などまともに成立しやしない。ほんの数回抜き差しされただけなのに、圭奈の身体は早くも絶頂の兆しを見せてブルブルと震え始めていた。あまりに焦らされ続けて、身体がすっかり敏感になってしまっているのだ。どこを触られてもビクビクしてしまう。

ケンタも、さっきまでだったら圭奈がこんな反応をし始めたらすぐにサッと抜いていたのに、今度は抜かずに、それどころか更にピッチ上げていた。

圭奈の喜悦の声が水蒸気に反響して、夜の静寂(しじま)に響き渡る。

汁が糸を引きながら飛び散り、板張りに粘液の水溜まりを作る。

上気した圭奈の顔は、もはや恥ずかしさのためではなかった。あまりの気持ち良さに、どうしていいかわからないかのように、頭を激しく振っている。

ガラス戸越しの同級生達が、声もたてずにその様子を見守っていた。

いよいよアレがくるんだ・・・。

間違いようもないおぞましい予感への期待に、息が熱く漏れ、自分の腕、バスタオル、ガラス戸の桟。何かを掴まないではいられなかった。

圭奈のお腹の中に、猿のアレが。

それはたちまち駆け上ってきた。

「くっ!いくぞっ、淫乱な雌ガキ・・・っっ」

ケンタがビクリと尻を震わせて深々と突き立てる。

「んくううぅ!」

お腹の中で、締め付けようとする膣肉を、肉棒が押し広げるように膨らんだような気がした。

それが一気に爆発する。

「っっ!・・・!!!!」

膣奥を叩く、何億もの猿の精子の奔流。

圭奈はその瞬間、白い中空に放り投げ上げられた気がした。

ドクドク流れ込んでくる脈動の響きが脳天を打ち、猿の精液が血管の中にまで入り込んできて、身体中の隅々にまで行き渡っているような気がする。それを、拒絶するでもなく、悲しむでもなく、圭奈はただ、牡の生殖の欲望を諾々として受け入れる、一匹の雌になっていた。



・・・猿は射精時間はとても短い。人間のように余韻に浸る事もない。

アイブザルの場合は、量が大量で勢いもその分激しいが、出してしまうと、それまでのネチっこい愛撫が嘘のように、サッと雌の身体から離れる。

私、竹本は、ホッと息をついて、ズボンのチャックから掴み出していた自分の分身を握っていた指から力を抜いた。目の前の木の根元に、私の栄養満点の白い液体が、大量に降り掛かっている。

私は、終わった、という感慨と共に、今までにないほどの満足感を感じて夜空を見上げた。

しかし、圭奈は、ケンタが離れても、まだ同じ四つん這いのカッコのまま、フルフルと尻を震わせて、動こうとしなかった。

真っ白い精液が、圭奈の華奢な陰部全体を覆っている。それは、少女の唾液まみれの恍惚とした表情と対照的に、酷く痛々しい光景だった。

猿の精液は粘性が強く、空気に触れるとすぐに固まり出して、ゴムのようになる。その光景は、外から見ると、まるで精液で栓をしているみたいだが、中は、膣の形にかたどりされたゴムが、しっかりハマッているようになっているはずだ。

私はそこで、ハッと気が付いた。

そのせいで圭奈は、もしかしてまだ、ケンタのモノが入っていると思っているのかも知れない。

そう思うと、私の分身は、またピクンと力を得たように反応し出した。

おそらく、人間の女の子の味を知ったケンタは、きっとまた、どこかで人間の女の子を襲うに違いない。

今はもうケンタは、どこかに行ってしまってそこにはいなかったが、恐る恐る出てくる圭奈の同級生の少女達のピンク色の肌を見ながら、私は心の中で

よーし、これからはケンタを集中的に観察するぞお

と固く決心していた。



でも、もうちょっと、ここから動けないみたい。



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