人間と異生物の交合をテーマにした短編集。官能小説としては、そそられる点は少ない。
この本の「解説」で、唐物語に犬と契る女の話が収録されている、とあったのが「雪々」を知ったそもそもの最初であった。
「唐物語」の写本の一つであるが、全27話の配列が他の写本と異なっていたり、文章の違いや欠文などがある。ちなみに「雪々」は他の写本では第27話にあるが、「異本 唐物語」では第6話である。
唐物語に収録されている物語はどれもそうなのだろうが、仏教にもとづいた説話を行うのが目的であるようだ。したがって「雪々」の結末でも、人と動物が契ることになったとしても、それもやはり前世の因縁なのだ、という結びになる。
なお、この「異本 唐物語」には解説はあるが現代語訳はない。[影印]とか[翻刻]とかいうのが載っているだけである。現代語に訳したものが読みたい人は、そういう本を探し出してなんとか入手するか、私の(超)訳で我慢していだだくしかない。
古語辞典。「唐物語」のような古文を訳そうと思うなら、必須。
どうでもいいが、私はあれやこれやと、ちと、買いすぎである。だから財布が壊れてしまうのだ。それとも前世の因縁か。