【1】その情景


まだ拡がりはせいぜい2センチというところだ。先っぽの、そのまた端っこしか挿入らない。

腰の位置を微妙に調整し、わずかに腰を上向かせる。押しあてた先端がずれないように細心の注意を払って、じわり、じわり、と亀頭をめり込ませてゆく。3センチ……、4センチ……。これでようやく、先端の向きが膣の奥を向いた。しかし軸の向きが合ったと言うだけで、拡がりはまだまだ足りない。裂けてしまう。ペニスを持っている手が、疲労で震えた。ああ、まだ何も挿入ってなどいないのに!!

真っ黒な馬体が、焦れたようにのしかかる。藁を積み上げただけのベッドと、逞しい馬体にはさまれて、息が苦しい。開いた脚を伸ばして馬の腰にまわすと、馬の毛がちくちくと太腿を刺した。本当に受け入れられるのだろうか。握り拳のような亀頭、腕ほどもありそうなペニス、そして付け根にはリンゴを2つぶら下げたような睾丸が揺れている。

深呼吸して下腹部を精一杯リラックスさせ、おそるおそる、ペニスを送り込む手に力を込める。5センチ……? ああ、ああ……、無理よ……。大きく口を開くと、肺の奥から空気が這い出してきた。弱々しい、まるでめり込んだ先端の分の容積しかないような、わずかな吐息。慎重に、慎重に、押しやられた肉が自身の弾力で戻ってゆくのを待ちながら、押しつける力を一定に保つ。さあ、もうじきよ。さあ、もうちょっと。左側が、そして右側が亀頭を包む。さあ、頑張って。わずかに、ほんのわずかに力を込めて、亀頭が押しつけられる。挿入る……、6センチくらい……?、ああ……、挿入った……。

どうしたらよいのか、分からない。唇を引きしぼり、ひらき、空気の足りない魚のように開閉をくり返す。ペニスがめり込む……。膣はもう限界まで引き伸ばされている。これ以上太い部分が挿入ってきたら、たちまち裂けてしまいそうだ。

いや、だいじょうぶ。信じよう、きっとだいじょうぶだ。

腰を上げ、通路をまっすぐ向けてやる。さあ、来て……来て……来て!!

「っ……!! あぁーーーっ!!」

巨根が膣をつらぬいた。

それは処刑だった。馬はたった半歩ふみこんだだけなのに、人間を串刺しにするには、それで充分だ。大型家畜の生殖器は腕のように太く、ハムのように硬い弾力に満ちて、そしてなによりも……性欲に漲っていた。

「ーーーーーっ!!」

言葉にならない悲鳴をあげ、内臓をえぐられるままに仰け反る。太く、長く、巨きな肉柱。これこそは真実のペニス。ああ、世界は何と悪意に満ちていることか。人によって使役され、いっさいの権利を認められず、繁殖すら自らの自由にはならない家畜たち。だがその家畜でなければ、真実のセックスを実現できないなんて……!!

私は歓喜する。腕のごときペニス。これこそ本物のペニスだ。絶滅するがいい、人間の男ども。私はつらぬかれ、略奪される。四つ足で立つ、真実の愛を与える彼によって。その巨大なペニスによって。ああ、いっそ壊して!! すべての女を、そのペニスで引き裂いて!! もっと太く!! もっと長く!! その全長で私をつらぬいて!!



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