獣のように -- 第1部 --
ディーにとって、それは長い週末だった。内なる妄想を吐き出し、性欲の極みを探索し尽くしたのだから。彼女は疲れ果てて帰宅した。消耗しきってはいたが、充分に満ち足りてもいた。それでもなお、可能性と組み合わせのことで心がざわめいている。女2人と動物たちの組み合わせは、本当に彼女たちを歓喜の極限へと連れて行ってくれたのだろうか? 動機を振り返ることは、本当にもう無用なことなのだろうか?
そういった疑問は、温かい湯船の中で心がくつろいで浮かんだものだった。その疑問には早くも回答があった。両手が彼女の体を滑り降りてゆき、倒錯的な愉悦の中で過ぎ去ったあの瞬間の感覚を再現しようと試みた。今や直立した乳首を指がまさぐり、張りつめた円錐をじらす。周辺にうずめられた口に懇願し、ちらりとひらめく舌先が嬲る。快感が思い起こされ、彼女はため息をついた。自分の淫花が、人間にも、獣にも、ともにつらぬかれた快感。どちらも、その独特の快楽を彼女の柔軟な肉体にもたらしてくれた。
彼女はマスターベーションをした。初めのうちはゆっくりと、指を暖かい女陰の内部へと埋没させ、その一方で、自由な方の手でクリトリスを刺激する。快楽の波が急速に、次第に高まって、打ち砕くようなオルガスムスとなって全身に打ち寄せた。彼女はバスタブの中で仰け反って到達した。だが同時に、空しくもあった。あの感じを追体験したいのに、自分では再現できないなんて。自分の人生は、もう同じではないのだろうか? 彼女は堕落した悦しみを夢見ながら、ベッドにもぐり込んだ。
来る日も来る日も、いつものように平凡と退屈が続き、彼女の人生を占領しているように思われた。彼女は、サムも、ナターシャも、振り向かせることが出来なかった。それはディーには残酷きわまりないものに思えた。彼らの興味を曳こうだなんて、まるで絶対に満たされることのない虚無の中に吊り下げられているようなものだ。
ディーは、自分がお気に入りの田園での散歩をしていることに気がついた。うまくいっていないと思えるときはいつも戻ってくる場所だ。それはいつもは彼女を励ましてくれるのだが、この暖かな黄昏でさえも彼女を失望させる。彼女はベンチに腰を下ろすと、太陽が最後の暖かい光線を投げかけている谷間を見渡した。と、背後の微かな物音が、彼女の注意を引いた。それは何かの半分……思い出された歓喜、彼女がずっと忘れていたもので……気のせいに違いない。物音は、もう一度あった。そして今度こそは間違いない。その歓喜のむせび泣きは、彼女の真後ろにある木のほうからだった。
彼女は物音の源のほうへそうっと歩み寄ると、小さな木の陰に屈み込んだ。目の当たりにした光景は、彼女を驚愕させるものだった。一人の女性と、一頭ではなく二頭のグレートデーンがおり、そして犬たちのうち一頭が、もう一頭がその肉棒を吸わせているのを平然と眺めている。ひとたび、最初の衝撃から立ち直ると、ディーは眼前の光景にもっと注意を向けた。二頭の犬は美しく黒いグレートデーンで、立っているときの体格は小柄なポニーほどだ。彼らは、一緒にいる女性と見事な対照をなしていた。ディーは、彼女は20代の前半だろうと見当をつけた。彼女はスティレット・ヒール[訳註:かかとの先端が極めて細くなったハイヒール]とボタンを外したロングコートを身に着けていたが、その下に何も身に着けていないのはディーには明らかに思えた。一見して分かったことには、彼女の胸は豊かで、しかも誇らしげに盛り上がっているということだ。その黒ずんだ乳首は、冷たい空気によってか、それとも性的な興奮によってか、明らかに直立していた。その女性は素朴な小麦色の肌のおかげで、いかにも健康的に見えたし、しかも、その女性の剃りあげられた淫部を見たのがとどめの一撃となって、ディーは魅惑されるままに注視した。
ディーの指が股間へ向かってさまよい降りてゆき、ジーンズの布ごしに、そうっと淫唇をこすり始めた。犬が腰を振り始めることになるのは、明らかだ。彼は、すぐにもそうするつもりに違いない。彼の肉棒は、女の口腔で愛をこめてマッサージされている。呑み込まれたサイズは、とても彼女の口に入れるのは不可能なように見えたのだが、いったいどうやったのか、喉の奥まで受け入れてしまっている。巨大な肉棒が、前へ、後ろへと突き動かされ、深紅の剣は誇らしげに屹立して、静脈を浮かび上がらせていた。肉棒の根元にある瘤は、大きさがグレープフルーツほどもある。女はそいつの全長に沿って舌を走らせたり、吸い上げたりを交互に繰り返している。そして最後のひと突きと共に、彼女の口腔から解き放たれた犬の肉棒が暴発し、大量の精液がどくどくと地面の上にぶちまけられた。と同時に女は、肉棒を口に戻し、むさぼるように飲み下し始めた。彼女の顔には、ただ純粋な歓喜だけがあった。それは明らかに、彼女が悦しんでいる出来事だった。
ディーはプッシーを触りやすくしようとして前へ動いた。とたんに、木の根に足をとられ、前のめりに転んでしまった。その物音が女を驚かせ、肉棒が口から跳ね上がると、唇の端から精液の残滓が滴った。
ディーも女も、ただ顔を見合わせた。2人ともなんと言ったら良いか分からなかった。どちらも、気まずかった。
黒い髪をした女のほうが、沈黙を破った。「女が本気で悦しんでいるところを、そうあからさまに鑑賞するべきじゃないと思うけど?」その言葉は告発のように発せられ、ディーはしばし無言で立ちすくんだ。
「ち、ちがうの、ただちょっと、そのう、何か音がしたかなぁ、って。ごめんなさい、お騒がせして。ほんとにお楽しみだったみたいね」ディーはそう言って、こっそり伸び上がった。
「もちろん、あたしはこれを悦しんでたわ。道徳的なお怒りを向けられるのは、お断りよ」彼女は挑戦的な眼差しでディーを睨みつけた。まるで彼女に意見を要求しているかのようだ。
「分かって欲しいんだけど、私、これは本当に興奮させられたわ」自分の口から飛び出した言葉に、ディーは自分でも驚いた。「実際、妬ましかったくらいよ。あれは本当にすごい見物だったわ」
「一般公開するためにやったわけじゃないわ。あなたが理解してくれるのは分かったけど、他の人はそうじゃないだろうし」
彼女は立ちあがるとコートで身を包んだ。ディーには、その素晴らしい肉体を一瞥する間もなかった。彼女は犬たちの先頭に立って立ち去ろうとした。
「行かないで」ディーは言った。「本気なのよ、興味を持ったって言ったのは」
「一緒に来なさい。それで、あなたのことをもっと話してちょうだい」
2人の女は一緒に小道を下って、空き地の奥に横たわるコテージへと歩いていった。黒い髪の女は、デビーと名乗った。彼女は、マックスとブラッキーという2匹の犬、それに1頭の馬といっしょに、独りで暮らしているのだと言った。このコテージは、不動産で財をなした祖父から受け継いだ莫大な遺産を使って購入したのだ、とも。それはデビーが経済的に独立していることを意味していた。そして、この田舎に一人っきりで、馬や犬たちへの情熱を自由に発揮できるわけだ。彼女はディーを招き入れて飲み物を出すと、着替えに行った。彼女が戻ってくると、ディーはキッチンの中を歩きまわる彼女を観察した。彼女はだいたい5フィート7インチ[訳註:およそ 170cm]くらいで、長くて黒い髪をもった姿は、にじみ出すように艶っぽい。2人が出会ってからというもの、ディーはだんだん、この女性のセックスの相手としての可能性を考えるようになってきていた。大衆誌を買って、グラビアを飾る女性をじっくり眺めるように。デビーならきっと、自分の愛液を溢れさせてくれるだろうと確信できる。どうやったら彼女に歩み寄らせることが出来るだろう? デビーは応えてくれるだろうか?
彼らは夜がふけるまで、気楽に、互いにおしゃべりを楽しんだ。2人にはたくさん共通点があるのがわかった。そして満たされたワインが、相手に対して感じていたかも知れない抑制を取り除くのを手伝ってくれた。会話は、午後のあの場面のことへと変わっていった。デビーの話によると、彼女はこのコテージに来て以来、男どもにはなんの魅力も感じないのが分かったという。彼女は犬たちを相手に試してみることにしたが、セックスに関してはグレートデーンで完全に満足できることが、すぐに分かった。その感じは、どんな男であろうと真似できない物だった。論理的に導かれた次の段階として、彼女は馬に挑戦してみた。彼女には2頭の種馬と1頭の牝馬がいた。そしてやはり、馬によってもたらされた絶頂感の強烈さは、形容しがたいものだった。彼女はもう、自分の動物たちのスペルマ中毒だった。飲み下すか、あるいは自らの淫部の中へ溜め込むかのどちらかだ。その絶頂感、それら巨大な肉棒が精液でもって自分をいっぱいにする感覚は、まるで極楽だった。
ディーはその説明にいたく興奮をかき立てられた。知らず知らずのうちに秘部から溢れた愛液が、パンティーを濡らしてゆくのが感じられる。淫部が解放を求めて疼く。それが何を求めてのことなのか、自分は知っている。
「デビー、お願い。あなたが犬とするところを、見せてくれる? 私、今の今まで、発情したみたいになってここに座ってたのよ。もうこれ以上、パンティーが吸収してくれそうにないの」
デビーは微笑むと、立ちあがってドアのところに行って、犬たちを呼んだ。すぐさま、彼らがドアを通って飛び跳ねてくるのが見えた。誓ってもいいが、それは彼らが交尾可能になっているということだ。
2匹はデビーの足元に座ると、期待するかのように見上げた。デビーは背中に手を回し、ジッパーを下ろすと、服を床に落とした。彼女はハイヒールを履いただけの裸体でそこに立つと、こちらへおいでとディーを手招きした。そちらへ近づいた彼女は、背骨に沿って優しく指を走らせ、そして両手でそうっと尻たぶを掴んだ。デビーが自分の胸を晒し、ディーは身震いした。それは、いとも簡単に彼女の手のひらに収まった。人差し指と親指が、挟み込んだ乳首を弄ぶ。その後、彼女はソファーに引き下がった。眼前で繰り広げられる光景を見守るために。
ディーは足からパンティーを引き抜いて、自分を露出させた。潤んだ淫部を見れるようにと、デビーのほうを向く。そして自らの内から湧き上がる蜜汁を披露するために、ゆっくりと花びらを押しひらいていった。彼女は喰い入るようにデビーを見守った。一瞬、デビーを自由にすることができる2匹の獣たちに対して、本気でジェラシーを感じた。
2匹の犬が立ちあがり、デビーが跪いて肉棒に触れやすいようにした。今や、彼女のすぐ目の前だ。彼女は彼らの鞘を握ると、強く、しかし慎重に、肉棒が勃ち上がるまで愛撫を行った。それから彼らの下に寝ころぶと、肉棒を手にとって、ゆっくり、自分の口の中へと導いてゆく。あっという間に、マックスもブラッキーも、その極限までも隆々と勃起した。デビーの唾液が滴って、ぎらりと灯りを照り返す。
犬たちは両方とも、自分たちに何を期待されているのか分かっているようだった。一匹は、その棘をリズミカルに脈動させて、そこにじっと立っている。そしてもう一方は、デビーを自分の前に跪かせるために後ろへ退いた。デビーは最初の犬のほうへ移動すると、ふたたび、その棘を自らの口内ふかくへと頬ばり始めた。マックスがデビーの後ろへ移動し、細心の注意をこめて、彼女にのしかかる。彼の肉棒は、まさに淫唇を撫で上げんばかりだ。淫液と犬の先走りが渾然一体となりつつ、しかし彼は肉棒を淫唇に押しつけたまま、見事な自制心を見せた。ディーは両脚をひろげて、クリトリスを撫で上げ始めた。魅惑的で、ぐっとくるような刺激的な見物だ。
片手で犬の肉棒を包みこみ、飢えたようにそれを吸い上げながら、デビーは自由な方の手を使って、汁を滴らせている直立を自分の濡れた淫花の内へと誘導した。尖塔の頂点がゆっくりと濡れた唇のふちを押し拡げ、少しずつ、少しずつ彼女の内部に滑りこんでくる。
その巨大な肉棒が自分をさらに大きく押しひらいてゆくと、デビーは興奮に嬌声をあげた。彼女の淫部は、その怪物じみた突き棒に合わせようと、必死に努力していた。愛液は、実際に交合うのに充分なだけの滑りを、与えてくれてはいたのだが。彼女が犬のほうへ突き上げ始めたのが合図になって、彼のほうも、彼女の吸い込むようなプッシーに瘤が打ち当たるほどに、ペースを速め始めた。デビーが息をはずませ、呻く。バックから天国へイかされそうだ。彼女はまだなんとか、もう一匹の犬にフェラチオを続けていた。口の中で肉棒が脈打ち、デビーの口の横から精液が流れ落ちてゆくのが、ディーには見えた。彼のペースが速くなってゆく。殺到する射精をデビーが呑み下す。まるで永遠に続くかのような射精だ。その潮の香りが好きなのだ。自分の喉へ流し込まれるそれを、彼女は一滴あまさず味わった。
プッシーの中では、肉棒の硬さが衰えていった。犬は彼をしっかり咥えているその潤った女性器の中へ、自分の瘤を押し込もうとした。それに応じるのは彼女には無理に思えたのだが、それはゆっくりと彼女の内部へと滑り込み、彼女の唇をこれ以上は無理だという極限の大きさまで割り開いていく。デビーは息を喘がせ、呻いた。瘤が、開いた彼女を裂こうとしていた。ディーは、ほんの出来心と歪んだ願望から行動した。デビーの前に行って仰向けに寝転ぶと、彼女の両脚を広げたのだ。彼女が淫花を差し出すと、デビーは熱烈にそれを受け取った。唇を尖らせ、しっかりと結んだ口を、そのぽっかり開いた洞穴にかたく押しつける。女性器をデビーの熱心な舌でまさぐられ、ディーは喘いだ。ディーの中で高まってゆく絶頂に合わせようと、デビーはタイミングを計り、絶叫と共に2人は絡み合ってくずおれた。それからたっぷり10分間ものあいだデビーはマックスと結合していたが、やがてねっとりした精液の噴出とともに、瘤がデビーの淫唇の間から滑り出ていった。
ブラッキーのほうは明らかに別の行為をする用意が出来ていたので、ディーは素早く四つん這いになると、口をあけた自分の性器を晒した。ブラッキーが彼女にのしかかると、デビーがその肉棒を掴み、ディーのプッシーの中へ巨大な肉棒を優しく挿入する。電撃を受けたような感じだった。怪物兵器を受け入れるために、彼女はおおきく引き伸ばされた。そして欲情した鋭敏な感覚のすべてが、背後からどっと押し寄せる。デビーは肉棒を握ると、ディーの濡れたプッシーの中で前後に動かし始めた。ディーは切れ切れな悲鳴をあげ、歓喜に喉を鳴らした。その獣じみた邂逅を彼女は、まるでそんな趣味のある女のように悦しまされた。出入りする突き棒が押しこまれ、ひと突きごとに子宮頚をつつく。デビーの指がクリトリスとを探り当て、肉棒が突き上げる瞬間に揉みあげる。これこそ至福だ。思い出せるかぎりどんな男だって、彼女が得たこの境地に迫ったことは無い。
デビーは、彼女の絶頂が近づいてくるのを感じ取った。ブラッキーの肉棒を瘤まで押し込み、肉棒を締め上げる唇を通過させる。苦痛と歓喜に、ディーは悲鳴をあげた。ぐぅっと犬が締め上げられ、激しい歓喜が永遠に続くかと思われた。やっとのことで肉棒が抜けたとき、デビーはそれを口に入れると、むさぼるように吸い上げた。ブラッキーの肉棒に纏いついた、犬の精液とプッシーのジュースが混じり合ったのものを味わうために。それが干涸らびるほど、吸いつくす。
「なんて、素敵なの」ディーは言った。
「馬と会うまで、お待ちなさい」デビーが言う。「あなたには、まだもう1つレッスンがあるのよ!」