「エロゲの未来は3Dだと信じている」などと言っておいて、じゃあ自分の環境で3D性能はどの程度なのかというと、実は使っているグラフィックス・チップが GeForce4 MX(マザーボードのオンボード・チップセット)だったりする。GeForce シリーズの中では、もはや2世代くらい前のチップだ。
GeForce4 とはどの程度のグラフィックス・チップなのか? 例えてみるなら、それはリック・ドムのようなもの、と言えるだろう。ただし一年戦争末期の、ア・バオア・クーで激戦が展開されている時期における MS-09R だが。
いちおう言っておくが、リック・ドムはけっして性能の低い機体ではない。たしかに、たった一体のガンダムに12機ものリック・ドムが秒殺されたりもしているけれど、あれは相手が悪かっただけだ。通常の宇宙戦闘シーンにおいては、充分に現役を務められる機体なのだ。セイラさんも言っている。「さすが、新型」と。っていつの話だ。ア・バオア・クー攻略戦の時期って前提じゃなかったのか。
例え話のほうに熱を入れてどうする。
ま、とにかく、そういう2世代も前のモビル・スーツ……じゃなくてグラフィックス・チップでは、未来を担うべき3Dアダルトゲームを充分に堪能するには、いささか心もとないわけだ。心もとないとなればより高性能なチップが欲しくなるのは、ごく普通の人情というもの。一線級の最新機とは言わない。でも、せめて二線級の堅実な機体が欲しい。ジオングのような用途も使用者も限定されるような特殊最新機は、要らない。シャア専用ゲルググのような高チューニングされた高性能機も、要らない。でも、せめてノーマルのゲルググくらいは欲しいのだ。だから例え話のほうに熱くなるんじゃないって。
てわけで買っちゃいました、GeForce6600 GT(128MB/AGP)。本体価格でおよそ 22,000 円。
ボードのメーカーは「玄人指向」。入れ物の箱もシンプルだし、なによりもお値段安心の低価格。同じグラフィックス・チップを採用していても、これが他のメーカーのボードだと、いきなり 25,000 円超。モノによっては 29,000 円くらいしたりする。消費税も含めたら3万円超えてしまいますがな。いやいやそれどころか、ハイエンド機種の 6800、それも 6800 GT とか 6800 Ultra とかになると、平気で4万円とか5万円とか6万円とかいう値段がついている。さすがシャア専用機、さすが完成まで待てませんのジオング、と言ったところか。
まあ、そんな高級機はどうでもよろしい。私が購入したのは 6600 GT なのだ。それなりに手の届く値段で、それなりの性能が出る機体。それで文句は無い。
文句はないが、ところでどの程度の性能アップになるんだろう?
少々気になったので、どこぞ性能比較を掲載しているサイトでもないものかと Google で検索してみた。……が、残念ながら GeForce4 と GeForce6600 を直接比較しているサイトは無いようだ。GeForce5xxx シリーズと GeForce6xxx シリーズを比較したものはあるのだが、さすがに2世代前のシリーズとの比較はやっていないのだろう。
じゃあ「GeForce4 vs GeForce5xxx」と「GeForce5xxx vs GeForce6xxx」を見つけて、間接的に比較を……と思ったら、今度は使っているベンチマークが別物だったりする。GeForce4 は2世代前のチップなので、当時と今ではベンチマーク用ソフトのバージョンが変わってしまっているのだ。うーむ、いくら間接比較とはいえ、そもそも戦った土俵そのものが違っているのではなあ。地上でドムとギャンを比較した結果と、宇宙でギャンとゲルググを比較した結果をくっつけるようなものだ。まったく無意味とは言わないが、あまりあてになる比較でも無かろう。
仕方がないので、自分でベンチマークを採った。無いのなら作ってしまえ、の精神だ。
まず、マシンの基本的な仕様を掲げておく。
そしてベンチマークだが、とりあえず手軽に入手できるベンチマークとして「Final Fantasy XI Official Benchmark」と「人工少女」を使った。「人工少女2」のほうは純然たるエロゲーで、もちろん純然たる商品だ。しかし「人工少女」のほうはむしろ環境ソフトみたいなもので、ありがたいことに無料でダウンロードできる。しかもベンチマーク機能もついていたりするので、今回はこれを使ったわけだ。
まずは GeForce4 のベンチマーク結果から。
そして GeForce6600 GT でのベンチマーク結果。
高解像度での性能値が、いきなり2倍以上になっている。うーむ、すごい。まさかこれほどまでとは……。さすがゲルググ、さすが次世代標準機。その例えはもう無意味だから。
実際、高解像度での描画性能は、ベンチマークの様子を見ていてはっきりと性能の違いを認識できるほどだった。たとえば「人工少女 ベンチマーク」では、GeForce4 の場合、10人を超える頃からモーションの欠け(というか飛びというか)が発生し、15人以上だと欠け欠けで「可哀相だからもう勘弁してやって」と言いたくなるほど。対して GeForce6600 GT では、10人だろうが15人だろうが、まったく欠けなし。20人近くなってようやく「モーションがぎこちないかな?」と感じる程度。
もっとも、これはベンチマークだからあえて負荷の高い状態を作っているわけで、実際のゲームでそれほど差が出るかと言うと、うーん、どうだろうなあ。
ゲームの側で用意してあるデータが粗いと、いくら性能が高くてもあまり意味がない。描画性能なんてのは「天井はどの程度の高さですか?」みたいなものだから、天井にぜんぜん届かない状態なら、天井の高さが2倍だろうと3倍だろうと関係なかったりする。拠点防衛任務しかやらなくて、攻めてくる敵機はボールのみ、という状態では、こちらの機体がリック・ドムだろうがゲルググだろうが、ほとんど関係ないってことだ。そりゃボールの数が20機とか30機とかになればだいぶ違ってくるけど、そこまで負荷のかかるゲームでなければ無問題。
そして実際、ゲームというのはそこまで負荷をかけないように製作されるものだし。メーカー側としてはゲームを実行できる環境はなるべく多い方がいい。どんな凄いゲームだろうと、実行できないのに買う人は居ないからね。だから「推奨環境」をクリアする程度の性能なら、実際のゲーム内容でさほど差が出ることも無いだろう。
ということは、ベンチマークのスコアなんて所詮は参考数値でしかないってことか。
待て!! じゃあ私が GeForce6600 GT に買い換えた意味って、いったい……。○| ̄|_