Story Room へ戻る


クリスマスの贈り物

Ver 1.02

作:ZooM


Creative Commons License

この作品はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。



モーテルに戻ってきてから、ボビーがマフラーをしていないことに気がついた。

「あら、ボビー、マフラーはどうしたの?」とジェーンは尋ねた。6歳の息子は、尋ねられてはじめて、自分のマフラーが無くなっていることに気がついたようだった。「わかんない」ボビーは答えた。

「きっと、トナカイの橇に忘れてきたのよ」8歳になったばかりの娘のアミイが言った。「窮屈だからって、乗ってる途中で取っちゃったじゃない」

そう言えば、そうだったような気がする。あの時、ボビーの首からマフラーを外して、ちゃんと持ってるのよと言い聞かせて彼の手に握らせたのだ。だがその後、マフラーについての記憶はない。きっと、ボビーは他のことに夢中になってしまって、マフラーを手放してしまったのだ。たぶんまだ、橇の上に残っているだろう。あるいは、トナカイ牧場の誰かが見つけて拾っているか。

夕食の時間まではまだじゅうぶん時間がある。ジェーンは、トナカイ牧場まで戻ってマフラーを取ってくることにした。それにあのマフラーは、ボビーに良く似合っていたのだ。

子供たちのためにモーテルのテレビにゲーム・コンソールをセットしてやると、お部屋の外に出ちゃだめよと言い置いて、ジェーンはモーテルを出た。中古で手に入れたバンは、エンジンを切ってからまだ間もなかったのに、車内の空気は早くも冷え切っていた。キーを捻ってエンジンをかけると、ジェーンはバンを雪道に駆り出した。

子供たちのために、クリスマスのちょっとしたプレゼントとして思いついた旅行だった。とある牧場で、トナカイにひかせた橇に乗せてくれるサービスをしているというのだ。大したお金もかからないし、子供たちは旅行と聞けば大喜びするだろう。それで、週末を利用した2泊3日の旅行となったわけだ。旅行中は日程が取れないので、子供たちは旅行に出る前日に父親と会ってきていた。ジェーンとしては、旅行の後のほうが話題があって良いのではないかと思ったが、前日にと決めたのは別れた夫のほうだ。こちらの知ったことではない。

前夫と別れてから、もう2年以上になる。彼は警官としては優秀だったが、家庭人としてはあまり出来が良くなかった。だがそれは、ある程度仕方のないことだ。警官には夜も昼もない。それがたとえ何の事件も起こらないような田舎町であっても、警官とはそういうものだ。ジェーンだってそれは分かっていた。だが、決定的に許せない出来事があったせいで、彼女は離婚した。子供たちも引き取った。あんな男のところには置いておけなかった。

回想が過去の苦い記憶に差しかかりそうになったところで、ジェーンは牧場に到着した。ちょうど日が沈みつつある時刻で、細長くたなびいた幾条もの雲が絢爛な赤とオレンジ色に彩られていた。雪面に映ったバンの長い影の周囲が、炎のように紅く輝いている。一瞬、子供たちをつれてくれば良かったと思ったが、たぶん彼らはこんな景色には興味など持たないだろうと、思い直した。

ジェーンは牧場のオフィスの前にバンを停めた。オフィスの窓には明かりが灯っていたので、まだ誰か残っているのだろうと思ったのだが、ドアを開けてみるともぬけの空だった。ボビーのマフラーが拾得物として届け出されていないか聞こうと思ったのに。灯りを点けっぱなしで、何処へ行ったのだろう。

オフィスのドアを閉め、ジェーンは厩舎へ足を向けた。オフィスにいないなら、きっとトナカイの厩舎のほうにいるに違いない。

厩舎の中へ入ると、濃厚な獣たちの匂いが鼻を突いた。裸電球が、ぽつん、ぽつん、とわびしげにぶら下がっている。灯りがついていると言うことは、誰かいるに違いない。

「あのう、誰かいます?」入口のところから、ジェーンは声をかけてみた。

応えたのは、トナカイたちの低いざわめきだけだった。誰もいないのだろうか? オフィスも厩舎も灯りを点けっぱなしで、誰もいない? そんな馬鹿な。

ジェーンはゆっくりと厩舎の奥のほうへ進んでいった。トナカイたちはそれぞれ1頭ずつ、仕切り囲いに入れられている。囲いの中はじゅうぶんに広くて、清潔で、けっこういい暮らしをしているようだ。ジェーンが通りかかると、トナカイたちは不思議そうに彼女を見上げ、低い声で啼いた。橇に乗ったときもトナカイの啼き声は聞いたはずだが、今、この静寂の中で聞くと、その声は胸の奥に沁みるようなもの悲しい美しさを持っていた。

「いい仔ね、みんな」ジェーンは思わずそう言った。

厩舎の一番奥まで行ってしまうと、もはや他の人間は誰もいないことがはっきりした。ジェーンは立ち止まった。

しん、と静寂が厩舎を包みこんだ。ときおり、トナカイが低い声で啼いた。

ここには、誰もいない。自分以外は、誰も。

不意に、異世界に落ち込んだような目眩がジェーンを襲った。ここには誰もいないのだ。ここにいるのは、トナカイだけ。ここにいる人間は自分だけ……トナカイたちの群れの中で、人間は自分だけ……自分だけが、人間として考え、行動している。たった1人の、トナカイでない存在。その現実に、胸がどきりとした。

ふと、ジェーンの目が馴染みのあるものを捕らえた。一番奥の仕切りの中に、明るい色の布きれが落ちている。なんということだ、ボビーのマフラーだ。

ジェーンは舌打ちした。いったい、ここの牧場の管理はどうなっているのだろう。オフィスにも厩舎にも誰もいないのに、灯りは点けっぱなし。遺失物はトナカイと一緒に厩舎に放りっぱなし。いい加減にもほどがある。

マフラーは仕切りの中の、わりと奥の方に落ちていた。囲いのこちら側からでは、ちょっと手が届きそうにない。一瞬ためらった後、ジェーンは囲いの柵を乗り越えた。きちんと管理していない牧場が悪いのだ。牧場に来たときは誰かに話をしてマフラーを探してもらおうと思っていたが、もうそんなつもりはなかった。勝手に回収して、勝手に帰ることにしよう。

「ごめんね、ちょっとお邪魔させてちょうだい」

トナカイに断りを入れ、ジェーンは仕切りの奥に進んだ。トナカイはかん高い声で啼いたが、特に邪魔する様子はなかった。ただ、見事な角を載せた頭を、軽く振っただけだった。

ジェーンは地面に膝をついて、マフラーを拾い上げた。確かめてみると、たしかにボビーのマフラーだ。ジェーンが自分で刺繍した、ボビーのイニシャルが縫い取ってある。やんちゃなボビーは、外で遊ぶときはいつもこのマフラーを巻いて駆け回っている。

トナカイがのっそりと近寄ってきて、ジェーンの匂いを嗅ぎ回った。

「あら、ごめんなさい。もう用事は済んだから、出て行くわ」ジェーンは言った。「それとも、ボビーのマフラーを返してくれたお礼に、なにかプレゼントをあげなきゃ駄目かしら?」

ぐうっ、とトナカイが身体を押しつけてきた。「ち、ちょっと……!!」マフラーを手にしたまま、ジェーンは地面にしりもちをついた。そのジェーンに鼻面を突きつけ、トナカイはちょっと彼女の匂いを嗅ぎ、べろりと顔を舐めあげる。

ジェーンの目は、トナカイの後ろ脚の間に吸い寄せられた。まぎれもないオスの器官が、そこからせり出しつつあった。信じられないことに、このトナカイはジェーンに欲情したようだった。相手が人間でも構わないのだろうか。それとも、牝トナカイの代用品としてちょうどいいと思ったのか。

前夫の記憶が強烈に甦ってきた。ジェーンは、彼にとってはちょうどいい代用品だった。代用品でしかなかった。何年も一緒に暮らしていたのに、ジェーンはそのことにまったく気づかなかった。疑念さえ持たなかった。あの情景を目撃してしまうまでは。

彼は、獣姦嗜好者だった。彼が愛していたのは、牝犬だった。ジェーンと結婚したとき、それと前後して手に入れた、若い牝のグレートデーンだ。彼はそのグレートデーンを連れて散歩に行くのを、とても楽しみにしていた。ジェーンは、それはペットに対する愛情だろうと思っていたのだが、そうではなかった。彼はむしろ、そのグレートデーンと結婚していたのだ。ジェーンのほうは、体裁を繕うための見せかけ、グレートデーンの代わりに仔を産むための、代用の牝犬だったのだ。

ペットと散歩に行ったはずの彼を追って、林の奥に入っていった彼を見つけたとき、ジェーンはまだ何も疑ってはいなかった。林の奥にうち捨てられた廃屋に彼が入っていくのを見て、はじめて何か変だと思ったのだ。それでも彼女は、彼が警官としての義務感から、散歩のついでに見回りをしているのだろうと思った。だが、廃屋の中では……数分遅れてそこへ到着したジェーンが見たのは、牝犬と繋がった彼の痴態だった。ジェーンとの夜の営みでも見せたことの無いほど、彼は激しく行為していた。そして、ああ、あの愛の言葉の数々。彼はそのとろけるような肉感を讃え、自らの肉棒でつらぬいた牝犬に愛を誓った。彼は牝犬に向かって、自分の仔を産んでくれとまで言った。だが何より耐えがたかったのは、彼がこう言ったことだった。「僕の本当の妻は、お前だけだよ。一生、お前だけだ」

その2週間後、ジェーンは彼と別れた。

今、ジェーンの目の前には欲情したオスのトナカイが立っている。ここでも自分は、他の誰か、いや他の牝の代用品だというのだろうか。ジェーンとしてではなく。人間としてではなく。

トナカイが鼻を押しつけ、小さな声で啼いた。むっ、とする獣の匂いがジェーンを包んだ。

ここには、人間は誰もいない。

突然、さきほどの感覚が立ち戻ってきた。そうだ、ここには人間はいないのだ。ジェーン以外には。ここはトナカイたちの世界、彼らのための空間なのだ。侵入者であるジェーンだけが、ここで人間として振る舞っている。かつて牝犬の代用品だった彼女だけが。今、牝トナカイの代用で欲情されている彼女だけが。もし……もしジェーンさえ人間でいることを止めてしまえば……。ジェーンはぞくりとした。ここには人間はいなくなる。ジェーンも含めて。そしてトナカイたちだけが、低い声で啼きかわす世界が残されるだろう……いつの間にか増えた1頭の牝トナカイとともに。

いったい何故、そんなことをしてしまったのだろう。ジェーンは両手を地面につくと、トナカイの胴の下に顔を差し入れ、唇を開いた。そして頭を寄せると、舌を添えて、彼女はトナカイのペニスを受け入れた。

ねっとりした熱い唾液に乗って、欲情にそそり立ったものが彼女の喉を突いた。唇をすぼめ、舌を絡ませる。彼女は目を閉じた。頭を前後に動かして、セックスの玩具のように、ペニスのための快感を演出する。トナカイが啼いた。いまやジェーンの唇も、舌も、トナカイのための奉仕の道具だった。彼が快楽を得ることが、その使い道の全てだった。

トナカイが、また啼いた。

ジェーンは頭を離した。トナカイの息が荒くなっていたが、それはジェーンも同じだった。股間が熱く疼いていた。彼女の唾液にまみれたペニスが、濡れ濡れと光を反射して勃起している。それは、本物の牝をよこせと主張しているようだった。唇などではなく、しかし、トナカイなどでもなく、本物の快楽を与えてくれる牝を。ジェーンは手を上着にかけ……

ばたん、と音がして、厩舎の扉が開いた。はっ、とジェーンは身体をこわばらせた。誰か、来たのだ。

ボキャブラリーの限りを尽くして、悪態をつきたいところだった。何もこんな状況で来なくても。厩舎の中で、どこの誰とも知れぬ女が1人、仕切りの内に入って、トナカイの股間にひざまづいている。言い訳に苦しむのは明白だ。幸い、まだ彼女の姿は見られていない。厩舎の一番奥のここは、仕切り壁のせいで入口のほうからは見えない。

「ああ、ここも灯りがつきっぱなしだ」男の声だった。「まったく、マニュアルに書いて無くても分かりそうなもんだがな。用が済んだら、灯りを消すってことくらい。やれやれ」

お願い、こっちへ来ないで。ジェーンは心の中で祈った。こんな状況で見つかったら、どんな疑いをかけられるかわからない。お願いだから、このまま帰って。ここには誰もいないのよ。ここにいるのは、トナカイたちだけ。だから、お願い。

パチリと音がして、灯りが消えた。厩舎は闇に包まれた。扉が閉じる音がして、雪を踏む微かな音が遠ざかっていった。

男が行ってしまってもしばらくの間、ジェーンは暗闇の中で息を殺してじっとしていた。トナカイが身体を寄せ、毛皮を通して体温が伝わってくる。闇に目が慣れるまで、彼女はそうしてトナカイと身を寄せ合っていた。

ここには、誰もいない。

ぞくり、とするものが身体を這い登ってくる。ここには誰もいない。そして、誰も来ない。

ジェーンは地面に座ったまま、衣服を脱いで、一枚々々地面に放り捨てていった。空気は冷たかったが、寒くはなかった。ここには誰もいない。噛みしめるようにその言葉を心の中で繰り返す。スカートを脱ぐと、あとは下着だけだった。ブラジャーを外すと、まだ充分に張りのある乳房が揺れた。30前の彼女の肢体はよく引き締まって、しかし全体的にしっとりと脂がのり始めている。ここにいるのは、トナカイだけなのよ。人間はいない。そう、誰一人として。

最後の一枚を脱ぎ捨てると、ジェーンは優しくトナカイの背を、そして胸を愛撫した。「ねえ、あなたが欲しいのは牝のトナカイなの? それとも、あたし?」囁くように彼に問いかけた。「でも今は、どっちでもいいことにしてあげる。これは、ボビーのマフラーを返してくれたお礼の、クリスマス・プレゼントよ。あたしが、あなたの牝トナカイになってあげるわ」

ジェーンは四つん這いになると、トナカイの胴体の下に這いこんだ。そして尻をトナカイの股間に向けると、膝を伸ばし、尻をペニスの先端に向ける。両脚を開き気味にすると、ペニスの先端が彼女の襞をかすった。

「ああ……」ジェーンは呻いた。貫かれることを察知した性器が愛液を溢れさせ、とろとろと太腿を滴ってゆく。自分自身もまた、オスを求めていたことを、ジェーンは知った。離婚してから2年間、彼女は男を寄せつけなかった。だが彼女の女である部分は、女であることを忘れていなかったのだ。それは常に男を求めつづけていたに違いない。今、オスの生殖器の存在を知ったそれが、自身もメスの生殖器として活動したがっているのが、はっきりと感じられた。

ゆっくり、慎重に、ジェーンは尻を押し出していった。肉の中心に先端が押しあたるのが感じられた。息をこらし、ジェーンはぐうっと自分を後ろへ押し出した。ぬらり、と彼女の襞を押し分けて、彼が侵入してきた。トナカイが前脚を踏みならした。本当なら、ここで牝の背に乗って腰を使う状況なのだろう。だがジェーンは彼を乗せるだけの身長がない。だから代わりに、ジェーンのほうが腰を動かさねばならなかった。ゆっくりと、充分に感触を堪能できるように、彼女は前後に身体を揺らした。トナカイのものが体内を滑り、つらぬき、ジェーンの肉をえぐった。

「ああ……ああ……いいわ……」ジェーンは我を忘れた。欲望が燃え上がり、抑えようがなかった。「さあ、もっとよ……もっと、私を突いて……あなたの牝トナカイを、突いて……!!」

ここには誰もいない。再びあの感覚が彼女を捕らえた。そうだ、ここには誰もいない。ここにいるのは、トナカイだけ。人間は、一人もいない……誰一人として……彼女自身を含めてさえ。

「私をあげる……プレゼントしてあげる……だから、もっと突いて……私は牝よ……あなたのハーレムの、新しい牝トナカイよ」自分でももう、何を言っているかわからなかった。ただ思いつくままに、ジェーンは言葉を口走った。「突いて!! 犯して!! ああ、お願い……私にあなたの種を付けて……お願い……お願い……あぁっ、もっと、あぁっ!!……私にあなたの仔を孕ませて……あなたのような立派な角を持ったトナカイを、産ませてちょうだい!! 私に、牝の仕事を全うさせてちょうだい!! あぁ……お願い……」

トナカイの肉棒が彼女の股間をつらぬき、子宮の入口を突き上げる。ジェーンは呻き、尻をくねらせてそれに応えた。細長いそれは、容赦なく彼女を蹂躙した。肉の奥をえぐられながら、彼女は歯を食いしばり、歓喜に啼いた。至福の時だった。

不意に胴体を身震いさせ、トナカイが頂点に達した。そのペニスが激しく脈打つのが感じられたかと思うと、ジェーンの内部で熱い奔流がほとばしった。下腹部の中で、熱い塊が膨れあがり、渦巻いた。

ジェーンはすすり泣いた。注ぎこまれた精液が、自分の子宮を満たすのが感じられる。結婚生活のときは決して得られなかった感覚だった。それは熱くて、生命力に溢れていた。

トナカイが後ずさってジェーンから離れた。地面にぐったりとくずおれ、彼女はセックスの余韻にひたった。股間からトナカイの種が流れ出し、太腿を濡らした。粘りつくその感覚でさえ、彼女には愛おしかった。ここには人間はいない、と彼女は繰り返し思った。ここにいるのは、トナカイだけ。逞しい雄のトナカイと、淫らな牝のトナカイだけよ。

◆ ◆ ◆

戻るのが遅くなったにもかかわらず、ゲームに夢中になっていた子供たちは、そんなことをまったく気にしていないようだった。夕食に行くからゲームを止めなさいと言ったら、不満そうな顔をされたくらいだ。

「さあ、さあ、クリスマスのごちそうが楽しみじゃないの?」ジェーンは子供たちを追い立てた。ボビーがジャケットを着るのを手伝ってやり、その首に、回収してきたばかりのマフラーを巻きつける。アミイのほうは、お姉さん然として自分できちんと身繕いをしていたが、ジェーンがチェックすると、ブラウスが後ろでちょっと曲がっていた。

アミイのブラウスを直してやっていると、娘はじっと母親の顔を見つめて、言った。

「ママ、なにか良いことあったの? なんだか、嬉しそう」

「そうね。ちょっと良いことがあったのよ」内心どきりとしながらも、動揺をなんとか押さえ込んで、ジェーンは澄まして言った。「素敵なクリスマス・プレゼントがあったの」

子供たちはいっせいに不満の声をあげた。「ママばっかり、ずるーい!!」

「大丈夫、あなたたちにも、きっといいクリスマスの贈り物があるわ」ジェーンは言った。実はもう買ってあって、今夜のディナーの後で渡そうと思っていたのだが。「さあ、もう出発しましょう。ディナーに遅れちゃうわ」

「ぼくねえ、来年もここに来たいな」ボビーが言った。「それで、ぼくもママみたいにプレゼントもらうの」

「そうね、来年も来ましょう」ジェーンは胸をときめかせて言った。「でも来年は、マフラーをなくしちゃ、駄目よ」


更新履歴

Story Room へ戻る