加代が嫁いでいったのは16歳のときで、まだ両親は健在だった。

だがその翌年、流行病で母が倒れ、さらにその1年後には父がふとした事故がもとで逝った。離縁されて戻ってきた加代には、弟と二人きりの家は空虚なものに感じられたが、同時に、出戻ってきた理由を詮索されずにすむ安堵もあった。