1.序章


倉田は所謂、妻子ある身で、夫婦仲が悪い訳では無かったが、しばしば遊び相手を見つけては、こっそり不倫を楽しんでいた。

家庭を壊すつもりはなく、互いの楽しみとして会っている事は、互いに了解の上のはずだったが、行き止まりが見えている関係に次第に醒めてくるのか、無理が出来ない立場では、そうそう会う機会も作れない事が不満なのか、1年ほどで離れてゆく女が多かった。そんな事を幾度か繰り返し、アラフォーと呼ばれる年代になっていた。

和恵とは、アバターを操ってチャットする類のサイトで知り合い、LINEを交換した後は、急速に一度会いましょう、という話に発展し、実際に会う事になった。

和恵は三十七だと言っていた。二十代半ばで結婚したが子供は出来なかったらしい。それが原因というわけでも無いが、三十になった頃には夫婦はすれ違うようになり、程なく分かれてしまった。

実家に帰って来いと両親は言ったが、安いアパート引っ越して、働きながら過ごすうちに、こんな歳になっていたと言った。

再婚を考えないでもなかったが、どうも踏み切れるような相手とは出会えなかったらしい。

倉田の印象としては和恵は、一般的には可もなく不可も無い容姿なのだろうが、少し幼顔であり、やや色白で派手ではないが標準的なバランスの顔は逆に文句をつける部分も無く、倉田は、これなら上玉だと思った。

髪は黒く肩甲骨の辺りまでの長さで、前髪は眉の辺りで直線で切り揃えられているのが、日本人形のような顔だちと相まって、見ようによっては高校生くらいに見間違える事もあるかもしれない、と思わせた。

身長は160にやや足りないくらいで、それほど背が高く無い倉田には丁度良かった。



和恵の家は倉田の家から車で30分くらいの所だったが、最初は和恵の住む街の郊外の公園の駐車場で待ち合わせ、倉田の車で夜のドライブに繰り出した。

チャットで話していた印象では和恵は感性が鋭く芸術家肌な人物を思わせていたが、実際に会って話すと、おっとりとした、やや内気な感じだが、口数が少ないわけではなく、少しゆっくりなペースで他愛もないことをよく喋った。

和恵は仕事の愚痴やら、子供の頃や学生の頃の話など、話し続けた。

倉田は和恵の少しハスキーな声が心地よく思ったが、ほとんど「うん」か「へー」しか言わずに話に付き合い続けた。

和恵のなんだか、たどたどしく、けれども一生懸命喋っている様な話し方は倉田に娘と喋っている様な妙な感じを思わせたが、それが倉田の父性的なものに訴える結果となり、和恵に対する気持ちを深める方向に働いた。

夕食後にライトアップされた橋を見に暗い堤防を歩く二人は自然と手を繋いでいた。

倉田はそのままホテルに連れ込もうとも考えたが、きっかけを掴めず、結局ものと駐車場に戻ってきて、そろそろ今夜はおひらきにしよう、という段になってようやくキスに漕ぎつけた。

無論再会の約束はとりつけた。



二回目に会った二人はとうとう結ばれた。

裸身となった和恵は思っていた以上に華奢でパッドを取り去った乳房は想像以上にささやかだったが、日ごろ見慣れた妻の身体やここ数年のの内に関係を持った女達の身体と比べれば、貧弱ではあるが弛みも少なく若々しく新鮮に思えた。

掌にちょうど収まるその胸の膨らみは、小さいながらも女の乳房特有の溶けそうな柔らかさと温かさを備えており、倉田は思わず顔埋めた(埋まるほど無いので擦り付けたという方が正しい)

倉田は全身舐めまわす勢いで愛撫し和恵の身体を味わいつくそうとした。

可愛らしい乳首を舌で転がすと和恵は声をあげて悶えた。やはり子供に乳をやってない乳首違うもんだなと倉田は思った。

下腹が少々弛んでいる事は年齢からしても、仕方が無いだろう。良く保っている方だと思う事にした。

尻の形はまずまずだ。もう少し大きければウエストが引き立ったかもしれない。

下腹から先に進むと、こじんまりとした茂みがあり、ぷっくりとした唇が顔を覗かせていた。手入れした跡は見当たらないので毛は薄めらしい。

大陰唇を開くと小さめの小陰唇が現れる。少し色素が沈着して黒めだが、割れ目からはみ出さない大きさで花弁の厚さも薄い。

花弁の合わさった先端には小さなピンクの真珠のような陰核が覗いている。倉田が舌先で突くと和恵は切ない声を上げた。

前戯もたけなわとなり、蜜が溢れてシーツに染みができるほどに濡れているそこに、倉田は猛り立った一物をゆっくり沈めて行った。腹圧が高いのか和恵の膣は倉田の一物を握るような強さで包み込んだ。入り口の締め付けやら、襞のうねる感触やら、これは堪らんと倉田は思った。案の定それほど長く耐えられず果てたが、和恵は「凄く良かった。何度も逝った」と言い、満ち足りた顔でごろりと横たわった。



それから概ね月に2回ずつ逢瀬を重ね、出会ってから3カ月ほど経ったった。

最初はホテルで抱き合っていたが、独り暮らしの和恵の部屋で愛し合うようになっていた。

馴れて来ると倉田は変態な本性を現してきた。倉田は異物挿入が好きらしい。

しかし和恵は性的な許容度が広いらしく、倉田は身の回りの入りそうな物を見つけては挿入したが、和恵はほとんど受け入れた。

そのうちローターやら電動こけしが持ち込まれたが、和恵は「今度は何を持って来たの?」と咎めるように言いながらも、結局受け入れ、「気持ち良い!」と声を出す事もあった。

調子に乗った倉田は和恵の、まだ処女だというアナルに手を伸ばし、とうとう奪ってしまった。

変態行為に寛容なのか、倉田だから寛容なのか(おそらく後者に違いないのだが)和恵は倉田の求める行為をこれまでの所全て受け入れてくれた。

そして和恵の態度は、倉田が長年密かに温め続けてきた、願望に再び火を灯す事となった。

和恵なら倉田の願う本当の変態行為を受け入れてくれるのではないか…

季節は夏に向かおうとしていた。



二人は夜の公園のベンチで抱き合っていた。

夜中には滅多に人が来ない所なので少々大胆になっていた様である。

倉田は和恵のシャツのボタンを外し、少しブカブカのブラジャーに手を差し入れ小ぶりな乳首を弄びながら、舌を絡めていた。

まだ盛夏には早いが、かなり蒸し暑く、汗が噴き出て来る。

シャツをはだけて、鎖骨から首筋にかけて、唇を這わすと和恵はうめき声をあげた。虫除けの苦みが口の中に広がった。

と、その時、突然ブーンという羽音とともに「キャ!」と和恵が声を上げた。

見ると首筋に小さなコガネムシが張り付いていた。

倉田は少し悪戯な気分になってコガネムシを捕まえて和恵の乳首にしがみ付かせた。

和恵は「あん!もう、変な事しないで」と言ったが虫を払いのけるでもなく、倉田のするがままになっていた。

倉田は反対の胸や腹などに虫を移動させたりしていたが、立ちあがると和恵にベンチを移動しようと言いだした。

和恵ははだけたシャツの前を押さえながら倉田について数十メートル歩くと、照明ポールのすぐ下に別のベンチがあった。

この季節に明るい照明の下にあるベンチは沢山の虫が集まっていた。

倉田は和恵のはだけたシャツを脱がし、ホックを外されて垂れ下っているブラを剥ぎ取って上半身裸にしてしまった。

そしてベンチの上にいる甲虫やバッタの類を捕まえては和恵の肌にとまらせていった。

スカートを脱がせるのは流石に憚られたが、スカートの中の内腿にも虫をとまらせた。

和恵は「ひー こそばい!ちくちくする」といって身をくねらせていた。

ベンチに残っていた羽虫の類は飛んでしまうし、潰れやすいので追い払ってから、和恵に自分に集っている虫を潰さない様に座らせた。

スカートをまくり上げ、パンティーを露出させると、すでに湿った染みが出来ている陰部の布を引っ張って食いこませ、割れ目を浮き上がらせると、その上にコガネムシやカナブンを這わせた。

和恵は興奮した様子で、倉田が手を掴んで誘導すると、片手で乳首を摘まみ、片手をパンツに差し込みクリトリスを刺激し始めた。

倉田は、すぐ逃げ去る虫達を捕まえては置き直す作業しながら、虫にまみれてオナニーする和恵の壮絶な姿に、どうしようもなく興奮し、ついに我慢しきれず和恵を立たせるとベンチの背もたれにつかまる様に指示し、スカートをまくり上げ、パンツをずらすと後ろから激しく犯し始めた。和恵は激しくよがり声をあげた。

果てた後ベンチにへたり込む和恵を促し虫を払い、着衣を整えて二人はほとんど無言で、そそくさと駐車場の車に戻ってきた。

そして和恵はドリンクホルダーのミネラルウォーターをゴクゴクと飲むと、人心地ついたのか、シートにドサッともたれると、「凄い事しちゃったね」と倉田を見た。倉田は流石に無理強いしたかと気遣ったが、和恵は「結構楽しかった。凄くドキドキした。でも虫は硬いから痛いな。」と言い、股間にあてがったティッシュを窓から投げ捨てていた。

倉田は女心の機微には疎い方なので少し逡巡したが、今こそ絶好の好機が到来していると考え「痛くない虫なら、またやっても良い?」と兼ねてからの構想を話し始めた。



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