雑談の広場:コメント投稿


[ 768 ] Re:小説を書いてみたいと思います。
[ 名前:ノリチカ  [ 日付:2006年08月01日(火) 20時55分 ] 
 夕紀と武丸の二匹はテーブルをひとつひとつ丁寧に挨拶をしてまわった。顔をあからめながらも恥ずかしい犬芸を見せながらまわっていった夕紀だったが最後のテーブルだけは足が重かった。しかし一匹の牝犬でしかない夕紀に嫌がる自由などなかった。智美に引き綱を引っ張られ引きづられるように最後のテーブルにつれてこられた。
「さあ、恥ずかしがっていないで早く挨拶しなさい!」
 智美にせかされても夕紀はうつむいたままなかなか顔をあげることができなかった。
「さあ、早くしなさい!」
 智美に強くせかされて夕紀はのろのろと顔をあげた。夕紀の目ににこにこと微笑む早智子の姿が映った。そして早智子の隣には早智子と同じく夕紀のかっての教え子の一人の母親である京子と、同じ職場で働いていた先輩の順子がいた。
「お久しぶりね、夕紀先生。ちゃんと一人前の牝犬になれたようね」
 京子も順子も他意もなく夕紀が一人前の牝犬になって幸せな結婚を迎えたことを純粋に喜んでいるようだったが、それがかえって牝犬になりきったはずの夕紀の心に人間だった日々を思い出させ惨めな気持ちにさせた。
 夕紀は顔を赤らめてうつむけた。他のテーブルでは戸惑うことなく性器すらさらけ出して恥ずかしい犬芸を繰り返してきた夕紀でも人間だった日々を知る人たちの視線だけはやはりつらかった。
 硬直してしまった夕紀に他のテーブルの人たちの視線まで集まってきた。静まり返った会場の緊張感がますます夕紀を追い詰めた。

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