雑談の広場:コメント投稿
[ 1243 ]
Re:落日4-5-2
[ 名前:
maxi
]
[ 日付:
2010年11月12日(金) 03時02分
]
思えば、この場所に連れられて来て野良犬たちの前で犯されたのは、夫が執拗に自分の躰に痕を残していったことと同じように、
連れて来た牝犬の所有者が誰であるのかを見せ付けるための行為だったのかもしれない。ただ、夫は妻を独占しようとし、
牡犬は他の牡犬たちにも牝犬の素晴らしさを教えようとした違いがあるように彩子には思えた。
「――野良犬たちに私のことを自慢したかったのよね?」
のそりと立ち上がったジョンが、問いに答えるように女主人の手を舐める。優しげな舌が腕に沿って這い上がり、
肩を通って、嬉しそうに綻ぶ唇へと辿り着く。逞しい牡犬の首に腕を廻し、彩子は飼い犬の舌を愉しみながら、
この牡犬に愛されているということだけは確かであると感じていた。それが自分の妄想から生まれた勘違いであるかもしれないとは微塵に思いもせずに。
「――さあ、帰りましょう。もう、お腹ペコペコよ」
牡犬と抱き合い、温かな気持ちに包まれていた彩子は、辺りが夕闇に染まっていることに気付くと同時に、
空腹を覚えて言った。ゆらりと立ち上がり、サマードレスを手に取る。下着を着けずに身に着けると、
ごわごわした生地に敏感になっている突起たちをくすぐられて、彩子は小さく甘やかな喘ぎを洩らした。
乱れた髪を指で梳き、目立つ埃などを払い落として身だしなみを整えると、サマードレスの汚れは暗がりでは目立たず、
腰辺りまである裂け目も手で押さえておけば、人とすれ違っても不審に思われることはなさそうだと彩子は安堵した。
「行きましょう。ジョン、なるべく人とすれ違わない道を選んでね」
牡犬のリードを手に取り、彩子が微笑みかける。了解したというようにジョンは一声鳴いた。
無事に人とすれ違うことなく家に辿り着いた彩子は、ジョンを庭に送り届けてから玄関に向かった。鍵を開け、
真っ暗な玄関に無言のまま入り込む。手探りで点けた照明に、眩しそうに手をかざした。
なかなか戻ってこない母親を玄関で待ち続け、いつの間にか階段にもたれかかって眠りこけていたあゆみは明るい照明に起こされ、泣き腫らした目を擦った。
「ママ……?」
寝ぼけ眼のあゆみが、ぼんやりとした水色の人影におずおずと声を掛ける。人影は突然掛けられた声にビクリとした。
「――あゆみ? ああ、ごめんなさい、遅くなってしまったわね……」
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> 思えば、この場所に連れられて来て野良犬たちの前で犯されたのは、夫が執拗に自分の躰に痕を残していったことと同じように、 > 連れて来た牝犬の所有者が誰であるのかを見せ付けるための行為だったのかもしれない。ただ、夫は妻を独占しようとし、 > 牡犬は他の牡犬たちにも牝犬の素晴らしさを教えようとした違いがあるように彩子には思えた。 > 「――野良犬たちに私のことを自慢したかったのよね?」 > のそりと立ち上がったジョンが、問いに答えるように女主人の手を舐める。優しげな舌が腕に沿って這い上がり、 > 肩を通って、嬉しそうに綻ぶ唇へと辿り着く。逞しい牡犬の首に腕を廻し、彩子は飼い犬の舌を愉しみながら、 > この牡犬に愛されているということだけは確かであると感じていた。それが自分の妄想から生まれた勘違いであるかもしれないとは微塵に思いもせずに。 > 「――さあ、帰りましょう。もう、お腹ペコペコよ」 > 牡犬と抱き合い、温かな気持ちに包まれていた彩子は、辺りが夕闇に染まっていることに気付くと同時に、 > 空腹を覚えて言った。ゆらりと立ち上がり、サマードレスを手に取る。下着を着けずに身に着けると、 > ごわごわした生地に敏感になっている突起たちをくすぐられて、彩子は小さく甘やかな喘ぎを洩らした。 > 乱れた髪を指で梳き、目立つ埃などを払い落として身だしなみを整えると、サマードレスの汚れは暗がりでは目立たず、 > 腰辺りまである裂け目も手で押さえておけば、人とすれ違っても不審に思われることはなさそうだと彩子は安堵した。 > 「行きましょう。ジョン、なるべく人とすれ違わない道を選んでね」 > 牡犬のリードを手に取り、彩子が微笑みかける。了解したというようにジョンは一声鳴いた。 > > 無事に人とすれ違うことなく家に辿り着いた彩子は、ジョンを庭に送り届けてから玄関に向かった。鍵を開け、 > 真っ暗な玄関に無言のまま入り込む。手探りで点けた照明に、眩しそうに手をかざした。 > なかなか戻ってこない母親を玄関で待ち続け、いつの間にか階段にもたれかかって眠りこけていたあゆみは明るい照明に起こされ、泣き腫らした目を擦った。 > 「ママ……?」 > 寝ぼけ眼のあゆみが、ぼんやりとした水色の人影におずおずと声を掛ける。人影は突然掛けられた声にビクリとした。 > 「――あゆみ? ああ、ごめんなさい、遅くなってしまったわね……」 >
連れて来た牝犬の所有者が誰であるのかを見せ付けるための行為だったのかもしれない。ただ、夫は妻を独占しようとし、
牡犬は他の牡犬たちにも牝犬の素晴らしさを教えようとした違いがあるように彩子には思えた。
「――野良犬たちに私のことを自慢したかったのよね?」
のそりと立ち上がったジョンが、問いに答えるように女主人の手を舐める。優しげな舌が腕に沿って這い上がり、
肩を通って、嬉しそうに綻ぶ唇へと辿り着く。逞しい牡犬の首に腕を廻し、彩子は飼い犬の舌を愉しみながら、
この牡犬に愛されているということだけは確かであると感じていた。それが自分の妄想から生まれた勘違いであるかもしれないとは微塵に思いもせずに。
「――さあ、帰りましょう。もう、お腹ペコペコよ」
牡犬と抱き合い、温かな気持ちに包まれていた彩子は、辺りが夕闇に染まっていることに気付くと同時に、
空腹を覚えて言った。ゆらりと立ち上がり、サマードレスを手に取る。下着を着けずに身に着けると、
ごわごわした生地に敏感になっている突起たちをくすぐられて、彩子は小さく甘やかな喘ぎを洩らした。
乱れた髪を指で梳き、目立つ埃などを払い落として身だしなみを整えると、サマードレスの汚れは暗がりでは目立たず、
腰辺りまである裂け目も手で押さえておけば、人とすれ違っても不審に思われることはなさそうだと彩子は安堵した。
「行きましょう。ジョン、なるべく人とすれ違わない道を選んでね」
牡犬のリードを手に取り、彩子が微笑みかける。了解したというようにジョンは一声鳴いた。
無事に人とすれ違うことなく家に辿り着いた彩子は、ジョンを庭に送り届けてから玄関に向かった。鍵を開け、
真っ暗な玄関に無言のまま入り込む。手探りで点けた照明に、眩しそうに手をかざした。
なかなか戻ってこない母親を玄関で待ち続け、いつの間にか階段にもたれかかって眠りこけていたあゆみは明るい照明に起こされ、泣き腫らした目を擦った。
「ママ……?」
寝ぼけ眼のあゆみが、ぼんやりとした水色の人影におずおずと声を掛ける。人影は突然掛けられた声にビクリとした。
「――あゆみ? ああ、ごめんなさい、遅くなってしまったわね……」