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[ 1242 ] Re:落日4-5-1
[ 名前:maxi  [ 日付:2010年11月12日(金) 03時01分 ] 


「きれいな空……」
 数え切れない法悦による放心状態から回復し、大量の獣液に濡れて変色したカーペットの上で仰向けになっていた彩子は、
夕闇の群青色と夕焼けの茜色が幻想的に混ざり合う空を見上げて呟いた。
時間を忘れ、幾度となく野良犬たちと交尾し続けた躰には乾きかけた獣液がこびり付き、鋭い爪による痛々しい赤い筋が数多く残されている。
そして、子宮に注ぎ込まれた獣液が赤らんだ秘裂から今も滲み出してくる。
「夕立に遭って……、ホテルに入り込んで……、ジョンに犯されて……、何匹もの野良犬とセックスして……」
 獣液と埃にまみれてくしゃくしゃになったサマードレスを腰のあたりに纏わり付かせ、彩子は記憶を辿りながら辺りに視線を彷徨わせた。
 すでに彩子と交尾していった野良犬たちの姿はなく、ジョンだけが荒淫の名残にまどろむ女主人の傍らで静かにうずくまっていた。
「ジョンに、ハスキーに、コーギー。それから……」
 子宮を次々と満たしていった牡犬を指折り数える。右手から左手に移ったあたりで記憶があやふやになり、
彩子は数えることを止めた。ただ、自分にはそれだけの数の牡を惹き付けるだけの魅力があり、そのすべてを満足させたということに、
不思議な感慨と病的な笑いがこみ上げてくる。相手が同じ種ではないことなど、とうの昔に忘れ去り、普通では味わえない快楽こそが狂える人妻の精神を支配していた。
「あーあ、躰中ドロドロだわ……」
 のろのろと身を起こして、彩子は自分の惨状に溜息を吐いた。吐く息に濃い獣液の匂いを嗅ぎ取って苦笑する。
指で押せば、躰のどこからでも濃い牡犬のエキスが滲み出してきそうだった。
「躰の芯まで牡犬の精液で染まっちゃったのかも……」
 大小さまざまな犬の生殖器を何本も受け入れた膣はヒリヒリとし、未だに全身が不思議な高揚感に包まれている。
牡犬と牝犬の分泌液にまみれた繊毛が、海岸に打ち上げられた海藻のようにべっとりと肌に張り付いた下腹部を愛しげにさすると、
子宮にたっぷりと溜まった獣液の重さを感じる。これほどたくさんの牡犬から求愛され、
これほどたくさんの子種を注ぎ込んでもらえる存在は、自分をおいては居ないだろうと彩子は勝ち誇ったような表情を浮かべた。
「まずは躰を拭かないと……」
 サマードレスを脱ぎ捨てて裸になると、彩子は手近なソファに掛けられていた白布の埃をはたき、躰中にこびり付いた獣液の残滓を拭い取り始めた。
「あら……。拓雄さんのプレゼントが……」
 新たに刻まれた朱線を数えながら動いていた手が、重く揺れる乳房の辺りで止まる。夫からプレゼントされたシルバーのクロスがなくなっていた。
「ま、いいか……」
 それが、飼い犬とのセックスに溺れている自分には不釣合いな代物だと前から思っていた彩子は、どうせなくなったことに夫は気付かないだろうし、
適当に言い訳をすれば誤魔化せるだろうと、辺りをさっと見渡しただけで探すのを諦めた。それよりも、
ストラップの切れたブラジャーと引き裂かれたパンティの方が惜しいとさえ思っていた。

「――ねえ。ジョンにとって私はどんな存在なの?」
 躰を拭き終えた彩子は白布に裸身を包み、物言わぬ愛人の隣に座って問い掛けた。
 浮気の疑いのある夫への意趣返しと、自分に魅力を感じてくれたことへの嬉しさから、飼い犬との情事に嵌り込んでいった自分を、
この愛しい牡犬がどのような目で見ているのかと彩子は考える。たとえ単なる性欲の捌け口だったとしても、
まだ自分にはメスとしての魅力が残されていることを気付かせてくれ、普通では味わえない快楽への扉を開いてくれたことには感謝したい気持ちだった。
 

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